貫之集 119
簗やなみれば かはかぜいたく ふくときぞ なみのはなさへ おちまさりける簗見れば 川風いたく 吹くときぞ 波の花さへ 落ちまさりける 簗簗を見ると、川風が強く吹く時は、波
貫之集 118
川のほとりの松まつをのみ ときはとおもへば よとともに ながるるみづも みどりなりけり松をのみ 常盤と思えば 世とともに 流るる水も 緑なりけり...
貫之集 113
延喜十八年、承香殿御屏風の歌、仰せによりて奉る十四首梅の花咲けるところうめのはな まだ...
貫之集 100
七月をぎのはの そよぐおとこそ あきかぜの ひとにしらるる はじめなりけれ荻の葉の そよぐ音こそ 秋風の 人に知らるる はじめなりけれ...
貫之集 087
しらなみの ふるさとなれや もみぢばの にしきをきつつ たちかへるらむ白波の 故郷なれや もみぢ葉の 錦をきつつ たちかへるらむ...
貫之集 080
こぬひとを したにまちつつ ひさかたの つきをあはれと いはぬよぞなき来ぬ人を したに待ちつつ 久方の 月をあはれと いはぬ夜ぞなき...
貫之集 067
うめがえに ふりかかりてぞ しらゆきの はなのたよりに をらるべらなる梅が枝に 降りかかりてぞ 白雪の 花のたよりに 折らるべらなる...
貫之集 065
雪の庭に満てりけるよるならば つきとぞみまし わがやどの にはしろたへに ふりしけるゆき夜ならば 月とぞ見まし わがやどの 庭白妙に 降りしける雪...
貫之集 064
海のほとりに生ひたる松のもとに、道行く人の休みたるところいくよへし いそべのまつぞ む...
貫之集 063
滝のほとりに人来て見るながれよる たきのいとこそ よわからし ぬけとみだれて おつるしらたま流れよる 滝の糸こそ 弱からし ぬけど乱れて 落つる白玉...
貫之集 046
人の木のもとに休みて、川面に桜の花見たるをちかたの はなもみだるる しらなみの ともにやわれは たちわたらましをちかたの 花も乱るる 白波の ともにやわれは 立ちわたらまし...