こぬひとを したにまちつつ ひさかたの つきをあはれど いはぬよぞなき
来ぬ人を したに待ちつつ 久方の 月をあはれと いはぬ夜ぞなき
訪問して来ない人を内心で待ちながら、月が美しいから起きているのだと虚勢を言わない夜はないのです。
一人で月を眺めながら、愛しい人の訪れを待つ女性の心中を詠んだ歌ですね。「久方の」は、ここでは「月」にかかる枕詞。「光」「天」「雨」「空」など、天空に関わる多くの語に掛かります。
この歌は、拾遺和歌集(巻第十八 「雑賀」 第1195番)にも入集しています
驚きます。
和歌の調子を整える役目でありながら
美しい表現方法ではないかと思います。
いつもご来訪いただいている上、コメントまで頂戴してありがとうございます。
ご記載いただいた通りで、和歌の世界は枕詞はもちろん、序詞、縁語、掛詞など、レトリック(修辞法)満載です。名歌にでくわすと、いつも「どうしてたった31文字でこんなにうまく情景と気持ちを表現できるのだろう」と思います。
そんな世界を少しでも伝えていけたらと思います。
気が向かれたときには、引き続きご来訪ください。
よろしくお願いします。 ^^