同課が入居する林業センターがあるのは安倍川右岸を走る県道沿い。ヤギは体高約90センチ、体重約32キロ、アルパイン種の雌。昨年11月、市営の井川牧場(同区井川)から引き取った。
同課の担当者によると、試験的に6月まで同市清水区宍原の草地に放牧したところ、雑草をきれいに食べ尽くした。
7月に同センターに引っ越してから、草を食べたり、木陰で休んだりしながら、のんびりと日々を過ごしている。おとなしくて人なつっこい性格で、近隣住人からは思い思いの愛称で呼ばれている。
ヤギが“PR”に一役買っているのは市が4月から始めた補助制度。制度を利用すると、除草を目的とした家畜購入代金の50~90%(最大10万円)が助成される。イノシシなど、野生動物の「隠れ家」や「寝場所」になりやすい耕作放棄地や未整備のやぶに、ヤギや牛を放牧して雑草を食べさせ、農作物や木の苗への食害を防ぐ試みは近年、全国に広がっている。
10月下旬に偶然、ヤギを見つけ、ドライブ中に立ち寄った女性たちは「かわいい」「癒やされる」とつぶやきながら、携帯電話のカメラで撮影。「(食害対策のPRという)そんな大役があるとは驚き。頑張ってほしい」とエールを送った。
同課の担当者は「鳴き声が大きいなどの課題はあるが、農家や林業関係者はぜひ検討してほしい」と期待している。
補助制度に関する問い合わせは同課〈電054(294)8805〉へ。