QOOTESの脳ミソ

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タオルを畳みながら、浩宮さまとボーイスカウト活動を懐かしく思い出す夜。

2024-09-27 01:02:48 | 日記
洗濯したバスタオルなどを畳んで棚に収納していたらふと思い出した。

僕は高校生までボーイスカウト活動をしていた。なんで思い出したかと言うと、タオルの畳み方だ。

基本的に規律が重んじられて、野外生活をするときにキャンプや野外活動施設を利用するのだが、その野外活動施設もどえらい規律でがんじがらめ。

施設ではどこに行っても朝起きた後の寝具はきれいに畳んでベッドの足元に置いておかなければならなかったのだ。そういう施設なのでふかふかの布団はない、ベッドの上に毛布があるのみ。寒いときは2~3枚使うことくらいは許される。だけど、起きたらとにかくきれいに整えなければならない。

毛布を畳むときは端と端を寸分たがわずきっちりと合わせる。隅が合っていないと、施設長にできるまでやり直しを命じられる。

きれいに折りたたんだ後も気が抜けない。

毛布は通常と同じで3~4回折り畳んで長方形の状態にするのだが、それをベッドの足元に置くときには、折り目が山になった方を入り口の方に向けておかなければならない。ビラビラになった方は入り口からは見えない方に向ける。そうすると部屋に入ってベッドを見た時にきれいに見えるからだ。

それを18になるまできっちりやっていたからか、今でも毛布やタオルなどを畳んで収納するときは、無意識に見える側に折り目の山側がくるようにしている。

自宅できっちりとした生活をしていない仲間はいつもやり直しを命じられて非常に苦労していた。習慣がないから仕方ないですね。

僕には習慣はなかったけれども「きれいに見えるので、必ずこのように整理整頓をするように」と施設の人に言われたときに、(なるほどなぁ、きれいだよなぁ)と納得したので、特に抵抗もなく習慣化できた。

今のコスパ・タイパ至上主義の皆さんに言うと「それ、意味あるんすか?」ってことになるだろう。「棚に置いてあるバスタオルのこっち側にビラビラが来ていても山側が来ていても、利便性に何の違いもないじゃないっすかぁ。」ってな感じで(笑)。

「美味けりゃどんな食べ方してもいいじゃないっすかぁ」って言いながら片膝立てて犬食いする人を見るときと一緒で、僕はそういう考え方が好きではない。

とバスタオルを畳みながら考えていた。

両親が共働きだったことと、母が僕に毎日行く学校とは全く違う別の世界を持たせたかったのがそもそものきっかけで、小学1年生くらいの頃に活動を始めた。18の頃までやって、大学は故郷を離れることにしたのでそれをきっかけに退団した。

母の思惑通り、ボーイスカウトの仲間たちはそれぞれ別の学校に通っていたので、僕には毎日行く学校とは違うコミュニティができて、それが視野を少し広くしてくれたのだと思う。学校ではひどくいじめられたこともあったけれども(全然きれいじゃない。いじめる方もしたことがある)、自分にはこことは別の世界があると思っていたから「くだらねえ」と思っていた。

毎年真夏と酷寒の真冬にキャンプがあったが、真冬のキャンプの方が数倍楽しかった。凍えるような寒さの中、夜は寝袋にくるまって仲間とおしゃべりをした。

ボーイスカウトにはジャンボリーと呼ばれる世界大会が数年ごとに世界のどこかであって世界中からスカウトが集まるのだが、ジャンボリーは中学生の隊員向けで僕は行ったことが無い。しかし、退団する直前に高校生向けの「ベンチャースカウト大会」という世界大会があり、それに参加した。

規模は数千人。もしかしたら一万人はゆうに超えていたのかもしれない。僕の時は富士山麓の朝霧高原にある自衛隊の演習場全体が貸し出され、そこに国内外からおびただしい数のスカウトが集まって10日間ほど野営をして暮らした。

いろいろな国から来た仲間と中学高校の英語の授業で習った単語や表現をつなぎ合わせて、コミュニケーションを取った。なんとかなるもんだと思った(笑)。

自衛隊の演習場と言うのは、広大な一つの町のようで、その中に水場のある「町内」的なエリアがたくさんあった。僕らはそれぞれのグループごとに割り当てられた「町内」をキャンプ地とした。

世界中からスカウトが集まるので、朝は各宗教の集いが催され、仏教徒は和尚さんと一緒にお経を詠じたり、キリスト教徒向けには牧師さんがやってきてミサや礼拝を行っていた。その他各種宗教の集いがあった。あ、もちろん神道の集いもあった。みんな自分の信心に合った集いに参加する。

昼間はそれぞれに活動プログラムが用意されていて、富士山に登りに行ったり、富士五湖でカヌーの技術習得をしたり、木工細工をしたり、ありとあらゆるプログラムがあった。

今考えると、集団行動が苦手な僕がよくあそこまで楽しめたなと思う。

当時の総裁は(名誉総裁だったかな)、おそらくまだ30歳前後の頃の浩宮さま(今上天皇陛下)で、僕らの10日ほどの野営中一日視察に来られたことがあった。僕は工作か何かをしていたと思うが、その近くを通られたので5~10mの至近距離で拝見することができた。

ああいう方と言うのは、こちらが好意的に思っているか思っていないかに関わらず、尋常じゃないオーラがある。皇室好きな人はもちろんそれをビンビン感じるのだろうが、共産思想なんかを色濃く持っていて普段皇室自体を強く批判をしているような人であっても、いざ目の当たりにすると気圧されてしまうのだろうと思う。

ボーイスカウトにはいろいろな技術の習熟度に従ってランクがあって(柔道の帯の色みたいなものかな)、高校生の部でその最高位に達すると(日本全体で年にほんの数人しかいない)、浩宮様に拝謁・歓談する機会が与えられる。僕はその機会には恵まれなかった。

浩宮さま拝謁についてボーイスカウト内部で語られている「伝説」のようなものがあった。習熟度がそのランクまで達した優秀なスカウトと言えど所詮は高校生である。あるスカウトが実際に浩宮さまに拝謁できることとなったときのことだ。

その時、あろうことかそいつはいきなり、

「浩宮様は女性の下着はどのようなものがお好きでしょうか?」

と無礼な質問をしたそうだ。それに対するお答えがさすがということで伝説になっていた。是非あの微笑みを思い浮かべながら読んでほしい。

浩宮さま、すなわち今上天皇陛下は静かに微笑みつつ、こうおっしゃった。

「あなたと同じです。」

伝説なのでたぶん作り話だと思うし、たぶんボーイスカウトと言うところを入れ替えた同じ話が山ほどあるんだろうと思う(笑)。

だが、うまくできた答えだなと思う。だれも傷つけない、きれいぶってもいない、だけど汚らしくもない。

ということで、皇室の存在について特に政治的な意見は持っていないが、18歳のあの夏に至近距離でお見掛けした今上天皇陛下にはいい印象を持っているのだ。

さ、タオルの収納続きしよ。




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