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ヘルシング 8

2006-08-02 15:50:58 | 本・マンガ・雑誌
HELLSING 8 (8)

少年画報社

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先月末やっと出ました。
7巻の展開も凄まじかったけど、新刊はまた輪をかけて凄いことに……!

ああ、アーカードの旦那、本当に「あの」伯爵で、本当にワラキア公ブラド・ツェペシだったんだねえ。
信仰の徒であった彼が、なぜ虐殺者となり、なぜ化け物(ドラクール)となったかが、ブラド・ツェペシのどんな評伝よりも理解できた気がします。
だからこそ、彼がセラスに向ける笑顔や、あくまでも「人間」の側に踏みとどまろうとする者たちへの敬意、そこを逸脱してしまった者への悲しみなどが、胸に迫る訳で。
そう、どんな阿鼻叫喚の地獄絵図が繰り広げられようと、どれほど残虐な描写が続き、おぞましいモンスターたちが跳梁跋扈しようと、この作品の根底にあるのは「人間の尊厳」そのものです。
最も端的にそれを体現していたのが今は亡きペンウッド卿で、アワーズ最新号でも、繰り返しそのことに触れていますね。(もしかして、力ない老人であったはずのエイブラハム・ヴァン=ヘルシング教授も、そういう人だったのかも知れない。)
でも、自分は「人間」に倒されなくてはならない、と旦那が思っているということは、その行く末はやはり……?
それを考えると、今から涙が出そうです。

そして8巻と言えば、やはりアンデルセン神父様ですね。
自分は神の為の殺人装置でいい、その為なら自らをヒトではないものに変えても──と言い切る神父様の姿は、信仰者としての覚悟の一つの有り様だと思います。なまじ「イスカリオテ」は名乗っていない。
だからこそ、彼は「神」そのものではなく「神の力」を求めたマクスウェルが許せなかったのでしょう。
しょーもないヤツだけど、マクスウェルの最期も可哀想だったなあ……
でも、某所で見かけた、アンデルセンはあそこで彼に「先生、助けて!」じゃなくて「神よ、助けたまえ!」と言ってほしかったんじゃないか、というご意見に、妙に納得してしまいました。
という訳で、表紙(カバー)はこの二人でした。

あと、やや旧聞に属しますが、こういうニュースもありました。旦那=伯爵もなかなか安らかには眠れないようで。

さて、同じアワーズ連載でも、『ヘルシング』じゃなくて『ピルグリム・イェーガー』関連の話題。(あちらも現在、本誌ではすごいことになっていますが…)
先月終わりの31日は、聖イグナチオ・ロヨラの記念日だったんですね。
こちらのカレンダーをご覧下さい。
また、来たる8/15は、日本では終戦記念日ですが、カトリックに於いては聖母被昇天日とされ、加えて聖フランシスコ・ザビエルが日本を訪れた日でもあります。
更に、以前も触れたかも知れませんが、今年はザビエル生誕500年にも当たります。
以上、詳しくはカトリック中央協議会のページでどうぞ。

うちなんかからこんな話題でリンクされても、あちらもお困りになるかも知れませんが、でも話の種に(?)バチカン組織図もご覧下さい。
十三課だの怪しい地下組織だのは存在しないことがお判り頂けるのではないかと

でも『ヘルシング』も『ピルグリム~』もそうですが、日本のマンガではこれまでネタや「記号」、または知的遊戯としてしか扱われなかったキリスト教、特にカトリックの信仰というものが、けっこう深い部分まで描かれていると思います。

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