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ニュージーズ(1992)~クリスチャン・ベイルにはまる(笑)

2006-12-22 12:50:57 | クリスチャン・ベイル
ニュージーズ

ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント

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のち
1992年アメリカ映画。クリスチャン・ベイルが子役から青年役に移行しつつある時期に主演したミュージカル。
この映画を観て、彼とヒュー・ジャックマンの間に、実は "The Prestige" で共演する十数年も前から驚くべき縁(えにし)が存在していたことを知りました。が、その話は後ほど。

ストーリイ:19世紀末、ニューヨークの新聞少年たちのお話。
大半が孤児や親に見捨てられたなど事情のある少年たちは、寮(?)で共同生活しながら、毎朝元気に新聞配達に励み、逞しく生きていた。
或る時、『ワールド』紙の経営者ピュリッツァー(ロバート・デュヴァル)の唱導により、大新聞社がこぞって新聞の卸値の(販売価格ではなく)値上げを断行、それを買い取って販売していた少年たちに打撃を与える。
これに対抗すべく、彼らのリーダー的存在である「カウボーイ」ことジャック・ケリー(ベイル)がストライキを発案、やがてそれは、ニューヨーク中の新聞少年たちを巻き込んだ大きな動きとなって行く。
ミュージック・ホールの花形歌手メッダ(アン・マーグレット)や、彼らの行動を逐一報道する『サン』紙のデントン記者(ビル・プルマン)など、味方になってくれる大人たちもいるが、新聞社側は暴力組織を雇い、ストを鎮圧にかかる。
一方でジャックは少年感化院の脱走者であり、そこの看守に執拗に追われる身でもあった。そのことを知ったピュリッツァーはジャックに接近、彼自身と仲間たちの安全を餌に、懐柔(脅迫)を試みるが──

感想:実話に基づくストーリイということですが、ピュリッツァー賞にその名を残すジョセフ・ピュリッツァーもここでは完全なる悪役。でも「単純な」悪役になっていない所は、さすがロバート・デュヴァルです。
彼の出演作では、このところ子役や少年役がメインの映画ばかり観ている気がしますが、もしかして子役の扱いも上手い人なんでしょうか?それとも「子役と動物には勝てない」と言われる映画界で、簡単に負けてなんかやらない力量を持っている人ということなのかも。

その子役や少年たちも個性ある面々が揃い、中でもブルックリン一帯を仕切る「スポット」が、見た感じローティーンみたいなのに、カリスマ性あり腕も立ちで、たいへん魅力的でした。

主人公ジャックを演じるのは、前述の通り、少年役を脱しつつあったクリスチャン・ベイルくん。この頃17、8歳の筈ですが、台詞回しなどは、既に紛うかたなき「クリスチャン・ベイル」ですね。
上を向いた時と目を伏せた時とで別人の如く印象が違って見えるのも、当時から変わらず。ジャックの強気で前向きなところと、時おり見せる寂しげな顔とに、それがうまく生かされていたと思います。そんな感じで表情がクルクル変化して可愛いかったです。

難を言えば、つらい境遇に育ち、何度も修羅場をくぐって来た海千山千の少年──の筈なのに、お育ちのいい坊ちゃんにしか見えない所かな。
大人になってからもそうだけど、どんな役を演じても、良くも悪くも「下品さ」が微塵も感じられない俳優さんですね、彼は。
それも含めて、子役の頃から現在に到るまで、(けっこうカメレオン俳優でもあるのに)「芯」の部分が全く揺らいでいない人でもあります。そういう所は、同じく子役出身のジョディ・フォスターと似ているかも。

さて、この映画、正直ミュージカルとしては今いち垢抜けないと言うか、「見せ方」があまり上手くないですが、少年たちの群舞はきびきびして、なかなか迫力がありました。
そして「ミュージカル」だからして、クリスチャンも歌っちゃうんですよ。踊っちゃうんですよ!
群舞になると、なぜかモブに紛れてしまうので、ずっとそれで行くかと思いきや、いきなりソロで踊り出した時には、もうどうしようかと思いましたよ(ご、ごめんなさい)。いや、一所懸命やっているとは思います……

ジャックに対するサブキャラの位置にいるのが、幼い弟と共に新聞配達を始めたばかりのデイヴィッドくん。
強引にジャックの「相棒」にされた彼には珍しく両親が揃っていて、きちんとした躾を受けて育ったことを感じさせます。仲間たちの荒っぽさや行儀の悪さに面食らいつつ、頭が良く弁も立つことから、いつしか参謀役になって行く彼とジャックの友情も爽やかです。

デイヴィッド兄弟の家では、父親が怪我で失業中のため、彼らのお姉さんも含め子供たちが働きに出ているのですが、そういう事情があっても家族は仲良く、そこに招かれたジャックが、初めて家庭の温かさに触れて、ちょっと切なくなるというエピソードがあります。
それは自分とは無縁のものだと感じているジャックの思いに、観ている方も切なくなります。もっとも、その後で彼は、兄弟のお姉さんとちゃっかり恋仲になったりするんですが(笑)。

さあ、そしてこのデイヴィッドの家のシーンで、彼のお母さん役の女優さんの顔を見た時、わたくし驚愕のあまり思わず声を上げてしまいました。

デ、デボラ……!?

そう、現ヒュー・ジャックマン夫人こと、デボラ=リー・ファーネスさんその人だったんですよ!
このページの出演者一覧で(moreを開いて)ご確認下さい。

ヒュー・ファンの皆様、またはベイルさんファンの方たちも、ご存知でしたか?私は初めて知りました。
もちろんヒューとデボラが出会うより前のこと……と言うか、当時ヒューは俳優としてデビューさえしていません。おそらく、WAAPAにはいったばかりの頃なんじゃないでしょうか。
その頃から、クリスチャンくんは様々な映画で主役を張って活躍していたんですねぇ……
彼とデボラさんの年齢差は14歳ほどですから、お母さん役としてはちょっと若かったことになりますが、それにしてもまあ……

"The Prestige" で、ダンナさんの共演者として彼と再会することになって、デボラさんはどう思ったんでしょう?「あら、大きくなったわねえ」かな?(笑)
いや、ダンナさんの共演者と言うより、自らがかつての共演者だった訳ですね。
そう言えば、プレミアの動画で、ベイル氏がデボラさんに軽くキスするシーンも観た憶えがあります。
お互い似た年頃のお嬢ちゃんもいるし、撮影中、家族ぐるみで一緒にお出かけもしていたという話(ヒューのインタビューより)には、そういう背景もあったかも知れませんね。

という訳で、ヒュー・ジャックマンさんみたいに三十過ぎてからあれよあれよと言う間にスターダムを駆け上った人を見るのも、それはそれでワクワクしますが、ベイルさんみたいに子役時代からの軌跡を辿れるのもいいですね。
そんな感じで、ベイルさんにはまりつつある今日このごろの私です。

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7 コメント

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クリスチャンも好きです(^^)。 (may)
2006-12-23 02:09:26
久しぶりにお邪魔します、こんばんは。
私はどこかのサイトでたまたま見かけ、デボラさん目当てで買いました。(無茶苦茶邪道です;;。)
それでも「お母さん」役だったのに驚いてやっぱり声が出ましたが(^^;)。
クリスくんのファンになったのはバットマン・ビギンズで、リベリオン(ショーンも出ています)やニュー・ワールド(特に後半)を楽しく見ました。この人もキレイで可愛くカメレオンな方ですよね。

これからQさんのクリスチャン映画のレビューなど読めるかもしれませんね。嬉しいです~。
返信する
俳優歴20年 (Q)
2006-12-23 12:24:49
may様こんにちは。お久しぶりです。
クリスチャン・ベイル主演映画と言うと、最初に観たのが『太陽の帝国』で、次が『バットマン・ビギンズ』で……って、その間何年経ってるんだ!?という感じです
その20年くらいの年月を少しずつ埋めて行きたいなあ、と思っています。

『リベリオン』も『ニュー・ワールド』も(それぞれ映画自体はいろいろ微妙ですが、彼自身は)良かったですねー。
後者のおかげで、『指輪物語』原作の或る登場人物が、すっかり彼のイメージになってしまいました。映画にも出て来るキャラクターですが、あくまでも原作設定でのその役ということで。
実は『サラマンダー』もけっこう好きだったりします
そんな訳で、今後の楽しみが増えました。
返信する
楽しみがいっぱい。 (may)
2006-12-23 16:53:25
私も初見は『太陽の帝国』で、その次が『バットマン・ビギンズ』でした;;。『サラマンダー』のお話もドラゴンも実は結構好きです。
まだまだ若いので、これからの作品も大いに期待できるのが嬉しいです。
指輪の或る方というのは、後ろから姫君を優しく見守る高潔なあの方のことでしょうか・・・。
返信する
クリスチャン。 (mahito)
2006-12-23 21:11:05
こんばんは!
 おひさしぶりです。クリスチャン・ベイル、と言うと私は『リベリオン』(ショーン目当て)ですっかりハマった感じですが『サラマンダー』はDVD持ってますし見ていないものもありますがハマりまくっていろいろみてます。
『スウィング・キッズ』なども良いと思います。極めつけはやっぱり『アメリカン・サイコ』ですがこれは万人向けじゃないので…
 時間があいたらコンプリートで切る限りしてみたい俳優さんの一人、です。
 Qさんのレヴューが増えたら嬉しいです^^
返信する
老い(?)も若きも (Q)
2006-12-27 01:38:14
コメントありがとうございます。お返事が遅くなって失礼しました。

>may様
このところ、十代終わりから二十代初めくらいの役を少しずつ観て行こうかな、と思っています。
その年齢でなくては演じられなかった役を、その年齢とは思えない演技力と、その年齢だからこその美少年ぶり(笑)で見せてくれるのが嬉しいです。
指輪の或る役については……いずれ明らかになると思います(丸わかりですが

>mahito様
お久しぶりです!mahito様もベイルお好きでしたよね!
『リベリオン』、ツッコミ所も多々ありますが好きです。ショーン・ビーンさんも出番こそ短かったけれど、後半になって重要な意味を担う儲け役でしたね。例の詩を彼の美しい声で朗読されたら、それは効果絶大だと思います(笑)。
儲け役と言えば、『サラマンダー』のバトラーさんもいい役でしたね。

『スィング・キッズ』は未見ですが、若ベイルも出来るだけ観て行きたいです。
『アメリカン・サイコ』は迷い中で……でも「映画化不可能」と言われた非難ごうごうの作品の主役を、若い身空で選択した彼の勇気を信じて、観てみるべきでしょうか……

それにしてもベイル出演映画は、古いものでもちゃんとレンタルにあったり、日本版DVDが購入できたりするので嬉しいです。
と言うか、なぜ豪方面だけあんな苦労しなくちゃいけないんでしょうか?
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Unknown (ファルコ)
2007-01-07 20:21:35
こんばんわ。あちこちにすみません。
わー本当だ!!。ヒューの奥様のことがぁぁわわわわ♪。イヤもう本当にありがとうございました。助かりましたー♪。
ところで若栗ですか?(笑)。わしは『シークレット・エージェント』なんかをオススメ致します。
ついでに『コーンウォールの森へ』と合わせて御覧になっていただければ、その凄さががっつり伝わるとわしは信じておりますけん。前者は先天的、後者は後天的な障害を持った若者二人の違いを、栗のくせに見事に演じわけていますので必見です。
またその前後の作品とそれらを比べてみても、「この人の中身は一体どうなってんだー」とますます面白くなること請け合いです。
わし的にはメリケンサイコは後回しでもいいと思うので、是非これらの栗を完走なされる日を夢見て、日参させていただきますね♪。
とても楽しみですわくわく♪。
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はまってます(笑) (Q)
2007-01-08 23:21:35
ファルコ様こんばんは。
こちらにもありがとうございます。
デボラさんとしては、クリスチャンくんがタテに大きくなったのはいいとしても、ヨコに大きくなるのは許せないかも知れませんです(笑)。

ところで『コーンウォール』も『シークレット』も、現在アマゾン・ジャパンでは入手できないんですね。これはまた海外に手を伸ばすことになるんでしょうか…うう……
そう言えば『デビルズ・パイレーツ』ことTreasure Islandが、米でさえDVD化されていないのも不思議です。例の海賊映画の便乗でもいいから、DVD発売してくれないかと、かすかに期待しております。
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