以前から何度かこの時期になると取り上げている作品ですが、今年もやっぱり記事にします。
スティーブン・スピルバーグ監督の『太陽の帝国』。今やアカデミー賞俳優となったクリスチャン・ベイル、13歳の時の主演作品です。
子供にとってのこの世界の苛酷さ、理不尽さ、暴力性──スピルバーグ作品に於いては、自ら監督するときも製作に回るときも、それが重要なテーマまたはモチーフであることが多いと思います。
今も世界のどこかに「ジム」はいる。そして日本にも。
これからの日本にとって、「あの戦争」の戦後復興計画に基づいてシミュレートした復興絵図が果たして有効なものであるかどうかは疑問です。
小さい子供たちが飢えたり傷ついたり、身体的な苦痛を被るのは、想像するだにつらいことですが、同時に彼らが確固たるモデルケースも未来図もないまま、これからの世界を生きて行かなくてはならないことを思うと、暗澹たる気持ちになります。むしろ「世界」を自らに内在させて生存して行くしかない子供の前で、「夢」や「希望」を安直に語ることなど、もう出来ないでしょう。
映画のラストでクリスチャン=ジムが見せた「あの目」が、今も心に焼き付いています。おそらくこれからもずっと。
当ブログで『太陽の帝国』を取り上げた記事は下記の通り。
この時期だから──『太陽の帝国』
『太陽の帝国』~A difficult boy
今年もまた─『太陽の帝国』
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