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映画・舞台の感想や俳優さん情報等。基本各種メディア込みのレ・ミゼラブル廃。近頃は「ただの日記」多し。

父と子

2006-08-30 13:04:03 | 映画・舞台等関連情報や雑感
ときどき
シネマトゥデイで見たこのニュース
なんで画像がこの人なんだ?ってことは置いといて、胸打たれたのが香川照之に触れた文章でした。

彼の出自はこの記事にもある通り。
東大を卒業した後、俳優としての道を選んだ経歴については、昔のインタビューで「(母)親のコネを使って、この業界に就職したようなもの」という意味のことを語ったこともありました。
頭がいい人ならではの屈折も感じられますが、そう言いながらも、彼が今や屈指の演技派としての地位を確立しているのは周知の事実です。

若い頃、猿之助に会いに行って、「あなたは私の人生とは関係ない人です」と言われたというエピソードも、一部では知られています。
まあ猿之助にしてみれば、生物学上の父親であるという以外、彼に何をしてあげた訳でも、その先してあげられる訳でもないし、自分が原因で別れた子に対して「あのままでいればこの子が跡取りに…」(猿之助には、結局ほかに実子はいない)なんて思ったところで、今更仕方ないし──ということだったのかも知れません。
同じ世界に実子がいなかったからこそ、血縁や家柄、門閥によらず若い役者たちを見出し、育成することが出来た、というプラス面もあったし。
この件については、香川氏本人も「そんな感動的な再会じゃなかったですよ」という感じの、例によって屈折した物言いで語っていたこともありますが、やはり胸に秘めた思いというものはあったのでしょうか。

夏の歌舞伎座と言えば、かつて猿之助が「奮闘公演」で演出上の様々な試みを行ない、閑忙期に観客を呼び戻すことが出来たという歴史があります。
海老蔵に「成田屋!」の声が掛かるのは当然として、香川氏に「沢潟屋(おもだかや)!」と声を掛けた人はいなかったかも知れない。
それでも、父親が「夏の王」として君臨していた場所で、その花道を歩きながら、彼の胸に去来したものを思うと、「役者の血」というものについて、やはりいろいろと考えさせられます。

今回の「顔見世」の中心が市川宗家の跡取りであることにも因縁を感じます。
かつてはあり得ないことでしたが、父親同士も歌舞伎座の舞台で共演したり、変則的な形であっても、演出面で協力し合ったりしていて、市川宗家(団十郎家)と猿之助の家の百年以上にも及ぶ確執も、過去のものとなったことに感慨を覚えずにいられません。

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