10月中にネットを騒がせていた『スター・トレック』映画第11作のキャスティングについて。
以下、カール・アーバン氏ファンのかたは読まない方がいいと思います。ご気分を害する可能性大ですので、むしろお読みにならないで下さい。
初め見て驚いたのが、eiga.com 10/18付の記事。
「スター・トレック11」のカーク船長役が決定!
[eiga.com 映画ニュース] J・J・エイブラムス監督の「スター・トレック11」で、カーク船長役の有力候補に挙げられていた若手俳優クリス・パインが、そのまま大役を獲得したようだ。
パインは、同作と撮影時期が重なるジョー・カーナハン監督の「ホワイト・ジャズ」(原作ジェームズ・エルロイ)でも、ジョージ・クルーニーが演じるデイブ・クライン警部捕の相棒であるジョージ・ステモンズ巡査部長(愛称ジュニア)役にオファーされていたが、カーナハン監督が10月16日、自身の公式ブログで“ジュニア役が空席になった”と記した。
これにより事実上、パインが、オリジナルTV版でウィリアム・シャトナーが演じて絶大な人気を博したU.S.S.エンタープライズ号のジェームズ・T・カーク船長役に“就任”したことが判明したもの(一時は「ポセイドン」やエイブラハムの新作パニック映画「1-18-08」のマイク・ボーゲルも候補だった)。
なお、カーナハン監督は同ブログで、「ホワイト・ジャズ」の次に撮影に入る「キリング・パブロ(Killing Pablo)」で、パインが重要な役で出演すると公表している。同作はコロンビアの麻薬王パブロ・エスコバル(ハビエル・バルデム)を追う米デルタフォース(リーダーはクリスチャン・ベール)を描いたアクション映画。
カーク船長も決まったことで、次の注目は、まだ正式発表されていなかった船医ドクター・レナード・マッコイ役。噂では、「ロード・オブ・ザ・リング」のカール・アーバンに決定したという。これは、ファンサイトTrekMovie.comや米ニュースサイトAin'tItCoolNewsが“すでに契約を済ませた”と報じた記事を受けてのものらしい。
カーク役のクリス・パインについては、こちらに知識のないこともあって、特に意見はありません。まあ、幾らなんでも現在のシャトナーを引っ張り出す訳には行かないもんねえ……『X-MEN:ファイナル ディシジョン』冒頭でパトリック・スチュアート(この人もエンタープライズ艦長の一人でしたね)、イアン・マッケランご両人に施されたようなCG加工にも限度があるだろうし。
また、既にクリスチャン・ベイル・ファンサイト様で話題になっている『Killing Pablo』のことも置いといて──
最も驚いたのは、やはり
「まだ正式発表されていなかった船医ドクター・レナード・マッコイ役。噂では、「ロード・オブ・ザ・リング」のカール・アーバンに決定したという。」
の件りです。
…………なぜか好評を以て迎えられているらしいこのキャスティング、申し訳ないけれど、私にとっては到底容認し難いものです。
それどころか、「うがー!!」と叫びながら髪をかきむしりたくなるほどの拒否感でいっぱいです。
断っておきますが、カール・アーバンさんご本人に恨みがある訳でも嫌いな訳でもありませんよ。ただもう、彼の演じるドクター・レナード・マッコイ、通称「ボーンズ」さんを想像することが堪えられないのです。
これまで多くのファンが妄想して来た「エンタープライズはじめて物語」を、今更観たいかと言われれば、それも……だし、カール自身がどうこうではなくて、寧ろ「パラマウントめ!」という気持ちが大きいですね。
そのドクター・マッコイ、カークやスポックより10歳は年上で、映画の時代設定をカークが29歳でエンタープライズ艦長として着任した当時とするなら、その時点でも40歳くらいのはずです。
赤毛で青い目でアイルランド系(とか言うと誰かさんみたいだけど、それも置いといて)。アメリカ南部の出身。皮肉屋で毒舌で、駄洒落大好き。時にはカークに厳しく直言し、スポックとは口喧嘩ばっかり、でも根底にはしっかり友情と信頼がある──という人なんです。
どういう人かは、オリジナル・シリーズでこの役を演じたデフォレスト・ケリーさんの画像も載っている下記をご覧下さい。
STARTREK.COM
画像だと髪は黒っぽく見えますが、実際は前述の通り赤毛です。TVシリーズでは、ご覧のようにけっこう悪人面ですが、映画シリーズが進むに従って、髪や目の色も淡く、ずいぶん美老人となっていました。
で、この役にカールがキャスティングされたという情報は、同じ STAR TREK.COM でも勿論取り上げています。→こちら
やっぱり確定なのかなあ……
その他のキャスティング情報は、シネマトゥデイが詳しく追ってくれていますが、IMDbにも既に一覧が出ています。
→こちら
ああ……シャトナーは出なくても、レナード・ニモイ御大はお出ましになるのねえ……もしかして、老スポックの回想という話になるのかも。
若いスポックはザッカリー・クイント。画像を観た感じでは確かに「ヴァルカン顔」ですね。
エリック・バナが悪役を演じるそうですが、ラッセル・クロウがクリンゴン人に扮するという噂はどうなったんでしょう?やっぱりガセ?それでも、カールのドクターよりは百倍観たかったですよ。
ああそれなのに、IGNにはわざわざ主役3人の画像を並べた比較図まで!
Star Trek Casting Comparison
うが~~っっ!!
許せん!やはりこれは絶対認められんぞ!
願わくは、カールには私のこんな暴言を良い方向に裏切る演技を見せて貰いたいです。
今日のところは、サイドバーのラッセル&クリスチャン・インタビュー動画(3:10 to Yuma)でも観て和むとしよう……
以前F様の所でも取り上げて下さっていましたが、クリスチャンの「クリンゴン」とアレな手つきが笑えます
私が今回のキャスティングに拒否感があるのは、ふらっとさんが書かれた理由すべてによるものです。
自分は自分で考えていた以上に「デフォレスト・ケリー氏のドクター・マッコイ」に愛着があったのだということを、今回の件で思い知りました。
昔、STの世界に私を導いてくれた友人の言葉で、今でも印象深く記憶しているのが、映画シリーズも含めての展開の中で「スポックは広がっていったキャラクターで、ドクターは固まっていったキャラクター」というものです。
ドクター・マッコイは(もしかしたらカークやスポック以上に)デフォレスト・ケリー氏の個性や演技と分ち難く結びつき、長年かけて氏が作り上げたものだったと思います。
外見も含めて、まさに「他の役者では考えたくない」のです。
その点を譲歩するにしても、カールではいかにも若過ぎるし、あまりにも(私の抱く)イメージとかけ離れています。
もちろんカール自身が悪いのではなく、「許せない」のは役のイメージやファンの心情など全く考慮していないとしか思えない製作側です。
こんな風にかつての遺産を食いつぶし、二次創作にもなり得ないような企画をぶち上げてシリーズを続けて行くことに何の意味があるのか?憂いと憤りを覚えずにいられません。
私は実はそもそものオリジナルを見るよりブリッシュのノベライズを読んだ方が先だったのですが、読み始めてすぐにTV再放送が始まって(この辺、記憶があやふや…)見るようになり、ノベライズも脳内上映するのが大好きでしたので(挿絵も当然のことながら俳優まんまですし)、役者さんとキャラクターは不可分になっていますので、お気持ちは分かります。
それにしても思うのは、映画業界でのリメイクの多さです。技術の進歩もあって、特に視覚効果的には元作より優れたものになっても、あまりに安易じゃないだろうかと思ったりします。消費される娯楽としてそれも一つの方向性だろうとは思いますが、何だか芸が無い、という気分になります……
新映画のキャスティング情報は殆ど上がって来ていますが、信頼性の高い映画サイトでは「ドクター・マッコイ=カール・アーバン」とは明記されていないので、まだまだ確定ではないかも知れません。
言い換えると、主要人物の中でボーンズ氏だけが未定ということです。
普通の「ヒーロー」的な容貌と演技で一応何とかなるカーク(でも、自分はシャトナー=カークが好きですが)、あのメイクで一応カタチにはなるスポック(ニモイ御大が出てくれる安心感もあるし)と違い、実はドクターこそが最も難役なのかも知れません。
何にしても、問題の新作を観る意欲は著しく減退しています。
それにしても、日本映画でもアメリカでも、本当にリメイクが多いですね。技術は進歩しても企画の貧困を感じます。