のち
ジェイムス・マンゴールド監督、ラッセル・クロウ&クリスチャン・ベイル主演映画『3時10分、決断のとき』、DVDおよびBlue-ray ディスクが、この11月20日に発売されます。
まだ公開中、またはこれから公開予定の地域もあるはずなので、ずいぶん早い気がしますが、海外では2年前に公開され、とっくにソフト化されている作品なので、日本でも既に準備は出来ていたのかも知れません。
それでも、この作品は是非とも劇場でご覧になることをお奨めします。
私も今週の月曜日にやっと新宿ピカデリーまで足を運ぶことが出来ました。
既に海外版DVDで鑑賞済みではありましたが、日本の映画館でようやくこの作品を観ることが出来た幸福を噛み締めています。
夏休み中のピカデリーは、平日昼間でもいつもほぼ満席だったと聞いています。上映館が少なく、シネコンはほぼ「お子ちゃま」映画で占められているという事情もあり、「近頃観る映画がなくて」と嘆く高年齢層の観客や、往年の西部劇ファンを取り込むことに成功した──というような分析も可能ですが、それより何より、やはり作品そのものが素晴らしかったということが一番の理由でしょう。
『3時10分、決断のとき』公式サイト
ストーリー:辺境の地で細々と牧場を営むダン・エヴァンス(クリスチャン・ベイル)一家。南北戦争で片脚を失い、下の息子には持病もある。借金はかさみ、金を貸している地主の嫌がらせなどもあって、生活は困窮する一方。妻との仲もぎくしゃくし、長男からは軽侮の目を向けられるどん底の日々に堪えていたダンだが、或るとき、悪名高いベン・ウェイド(ラッセル・クロウ)一味の駅馬車強盗現場に遭遇する。
やがて町で捕えられ、三日後3時10分発ユマ行き列車で刑務所に送られることとなったベンの護送を、ダンは200ドルの報酬目当てに引き受けた。
ベンを取り返そうとチャーリー・プリンス(ベン・フォスター)ら子分どもは追って来るし、鉄道会社の重役やピンカートン探偵社の賞金稼ぎ(ピーター・フォンダ)等からなる一行は一触即発状態。アパッチ族の襲撃などもある中、彼らは無事にベンを駅まで送り届けることが出来るのか?
そして、その旅の中でダンが見出そうとしたものとは──
原作はエルモア・レナードの短編小説『3:10 to Yuma』。日本でも昔『ミステリ・マガジン』に訳出されたことがあるそうですが、自分は未読です。
同じ原作に基づいた1957年製作のグレン・フォード、バン・ヘフリン主演『決断の3時10分』という作品があり、そちらはDVDで観ました。
リメイク元の映画は、西部劇全盛時代にあっては「異色西部劇」と呼ばれたことでしょう。ガンファイトも殆どなく、ほぼ男二人の心理ドラマとして成立している作品です。
しかし、今回のマンゴールド作品は、アクションや銃撃戦もふんだんに取り入れるなど、むしろ「西部劇らしさ」を前面に出しています。開巻間もなくの駅馬車強盗シーンには胸躍りました。何しろガトリングガンまで派手にぶっぱなしてましたから。
一方、やはりこれはマカロニウェスタンやクリント・イーストウッド作品等を経た上での「西部劇」でもあります。話の本筋はリメイク元とほぼ同一ながら、たとえばベンの凶悪ぶりの描写などは、50年代の作品ではあり得ないものだったでしょう。元作品にないダンの長男の扱いも、物語に厚みを加えていました。
それでも、この作品の眼目が、ベンとダンというおよそ異なる生き方をしてきた男二人の間に生まれる絆であることに変わりはありません。
ベンを護送する一行は一人欠け、二人欠け、逆に敵対者は増える一方で、ベン本人からは「見逃してくれたらもっと大金をやる」などと誘惑され、それでも、たとえ一人になっても、ダンが「自分の仕事」をやり遂げようとする動機とは?
そうまでして彼が守ろうとした「人としての誇り」が、否、そうしようとする彼の姿そのものが、やがてベンの心をも動かして行く、その過程が胸に迫り、目頭が熱くなります。
主演の二人、ラッセル・クロウ、クリスチャン・ベイルの演技は、どちらも素晴らしいものでした。
ベンのカリスマ性、人を惹き付ける魅力や口のうまさと共に、ダークな部分や残忍さをも体現したラッセルも見事ですが、泥にまみれ、どん底にありながら、芯の「綺麗さ」を決してを失わないダンは、まさにクリスチャンの真骨頂でした。
ベンが描いたあのスケッチ、そして彼が為した「決断」とは、「男心に男が惚れて」と言うより、ただもうそこに侵し難く綺麗なものを見てしまったがゆえだったのではないかと、私は思っております。
・ネタバレ→でも、あの終盤については、57年作品とどちらが良いか、また好きか、と問われると、答えに困る感じです。元作品のハッピーエンディング、手に手を取っての駆け落ち(?)も自分は好きだったもので。←
・こぼれ話:ビッチのチャーリー「プリンセス」ことチャーリー・プリンス役のベン・フォスターは『X-MEN:ファイナル ディシジョン』のエンジェル役、いやらしい笑みが印象的なタッカー役ケヴィン・デュランドは『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』のフレッド(ブロブ)役──と、X-MENメンバーが二人も!(笑)
・残念なこと:新宿ピカデリーではパンフレットが品切れでした!売店のおねえさんは「再入荷すると思います」と言っていましたが、そのためだけに再び出かけるのも……
いや、もう一度観ればいいんだな、うん。
3時10分、決断のとき [DVD]ジェネオン・ユニバーサルこのアイテムの詳細を見る |
3時10分、決断のとき [Blu-ray]ジェネオン・ユニバーサルこのアイテムの詳細を見る |
ジェイムス・マンゴールド監督、ラッセル・クロウ&クリスチャン・ベイル主演映画『3時10分、決断のとき』、DVDおよびBlue-ray ディスクが、この11月20日に発売されます。
まだ公開中、またはこれから公開予定の地域もあるはずなので、ずいぶん早い気がしますが、海外では2年前に公開され、とっくにソフト化されている作品なので、日本でも既に準備は出来ていたのかも知れません。
それでも、この作品は是非とも劇場でご覧になることをお奨めします。
私も今週の月曜日にやっと新宿ピカデリーまで足を運ぶことが出来ました。
既に海外版DVDで鑑賞済みではありましたが、日本の映画館でようやくこの作品を観ることが出来た幸福を噛み締めています。
夏休み中のピカデリーは、平日昼間でもいつもほぼ満席だったと聞いています。上映館が少なく、シネコンはほぼ「お子ちゃま」映画で占められているという事情もあり、「近頃観る映画がなくて」と嘆く高年齢層の観客や、往年の西部劇ファンを取り込むことに成功した──というような分析も可能ですが、それより何より、やはり作品そのものが素晴らしかったということが一番の理由でしょう。
『3時10分、決断のとき』公式サイト
ストーリー:辺境の地で細々と牧場を営むダン・エヴァンス(クリスチャン・ベイル)一家。南北戦争で片脚を失い、下の息子には持病もある。借金はかさみ、金を貸している地主の嫌がらせなどもあって、生活は困窮する一方。妻との仲もぎくしゃくし、長男からは軽侮の目を向けられるどん底の日々に堪えていたダンだが、或るとき、悪名高いベン・ウェイド(ラッセル・クロウ)一味の駅馬車強盗現場に遭遇する。
やがて町で捕えられ、三日後3時10分発ユマ行き列車で刑務所に送られることとなったベンの護送を、ダンは200ドルの報酬目当てに引き受けた。
ベンを取り返そうとチャーリー・プリンス(ベン・フォスター)ら子分どもは追って来るし、鉄道会社の重役やピンカートン探偵社の賞金稼ぎ(ピーター・フォンダ)等からなる一行は一触即発状態。アパッチ族の襲撃などもある中、彼らは無事にベンを駅まで送り届けることが出来るのか?
そして、その旅の中でダンが見出そうとしたものとは──
原作はエルモア・レナードの短編小説『3:10 to Yuma』。日本でも昔『ミステリ・マガジン』に訳出されたことがあるそうですが、自分は未読です。
同じ原作に基づいた1957年製作のグレン・フォード、バン・ヘフリン主演『決断の3時10分』という作品があり、そちらはDVDで観ました。
リメイク元の映画は、西部劇全盛時代にあっては「異色西部劇」と呼ばれたことでしょう。ガンファイトも殆どなく、ほぼ男二人の心理ドラマとして成立している作品です。
しかし、今回のマンゴールド作品は、アクションや銃撃戦もふんだんに取り入れるなど、むしろ「西部劇らしさ」を前面に出しています。開巻間もなくの駅馬車強盗シーンには胸躍りました。何しろガトリングガンまで派手にぶっぱなしてましたから。
一方、やはりこれはマカロニウェスタンやクリント・イーストウッド作品等を経た上での「西部劇」でもあります。話の本筋はリメイク元とほぼ同一ながら、たとえばベンの凶悪ぶりの描写などは、50年代の作品ではあり得ないものだったでしょう。元作品にないダンの長男の扱いも、物語に厚みを加えていました。
それでも、この作品の眼目が、ベンとダンというおよそ異なる生き方をしてきた男二人の間に生まれる絆であることに変わりはありません。
ベンを護送する一行は一人欠け、二人欠け、逆に敵対者は増える一方で、ベン本人からは「見逃してくれたらもっと大金をやる」などと誘惑され、それでも、たとえ一人になっても、ダンが「自分の仕事」をやり遂げようとする動機とは?
そうまでして彼が守ろうとした「人としての誇り」が、否、そうしようとする彼の姿そのものが、やがてベンの心をも動かして行く、その過程が胸に迫り、目頭が熱くなります。
主演の二人、ラッセル・クロウ、クリスチャン・ベイルの演技は、どちらも素晴らしいものでした。
ベンのカリスマ性、人を惹き付ける魅力や口のうまさと共に、ダークな部分や残忍さをも体現したラッセルも見事ですが、泥にまみれ、どん底にありながら、芯の「綺麗さ」を決してを失わないダンは、まさにクリスチャンの真骨頂でした。
ベンが描いたあのスケッチ、そして彼が為した「決断」とは、「男心に男が惚れて」と言うより、ただもうそこに侵し難く綺麗なものを見てしまったがゆえだったのではないかと、私は思っております。
・ネタバレ→でも、あの終盤については、57年作品とどちらが良いか、また好きか、と問われると、答えに困る感じです。元作品のハッピーエンディング、手に手を取っての駆け落ち(?)も自分は好きだったもので。←
・こぼれ話:ビッチのチャーリー「プリンセス」ことチャーリー・プリンス役のベン・フォスターは『X-MEN:ファイナル ディシジョン』のエンジェル役、いやらしい笑みが印象的なタッカー役ケヴィン・デュランドは『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』のフレッド(ブロブ)役──と、X-MENメンバーが二人も!(笑)
・残念なこと:新宿ピカデリーではパンフレットが品切れでした!売店のおねえさんは「再入荷すると思います」と言っていましたが、そのためだけに再び出かけるのも……
いや、もう一度観ればいいんだな、うん。
決断の3時10分 [DVD]ソニー・ピクチャーズエンタテインメントこのアイテムの詳細を見る |
見応えあったし、見て良かったな、と思える作品でした。
クリスチャン・ベイルもラッセル・クロウも、確かな演技で素敵でした。
そして、ベン・フォスターって聞いたことあるなあと思っていたら、エンジェルだったんですね!思い出せなかったです
そしてタッカーもどこかで見たことあるよなあと思っていたら、フレッドだったんだ
どちらもX-MENとは違う人に見えたので、さすが俳優さんですよね。
脇の俳優さんたちも良かったです。
満足出来る映画でした!