日生劇場で上演中のミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』、本日そのマチネを観ました。同作品二回目の観劇。出演者は上の写真の通りです。画質が悪くてすみません。
二回目ということで、少しは印象が変わるかなと期待したのですが、やはり脚本が本当にひどい。と改めて思わずにいられませんでした。ごめんなさい。
ストーリーがどうこう言う以前に、そもそもの設定自体がキモオタの妄想としか思えず……
美術や装置は息を飲むほど豪華かつ幻想的で、出演者の皆様の歌唱も演技も更に進化して、本当に素晴らしかったです。それだけに設定のひどさが残念でなりません。
クライマックスの橋(?)のシーンなど、2時間サスペンスか!とツッコミを入れたくなりました。
実は今日の座席は「グランドサークル」端席という場所で、それだけに1階センター前方だった前回より冷めた目で観てしまったのかもしれません。一方、その席だと二重盆の動きもよく見えて、それについては本当に見事だと感服しました。
演者についても少し。
グスタフの大前優樹くんは、まさに天使のようなボーイソプラノで、エリックの息子と言うよりファントムが新たに見出だした才能として納得できました。前回の加藤憲史郎くんは演技が素晴らしく、既に一人の役者としての力を見せてくれました。
ラウルは前回が小野田龍之介さんで、今回は田代万里生さん。小野田ラウルは登場時から人生もクリスティーヌとのことも半ば諦めている感が漂っていましたが、田代ラウルは貴族の誇りにしがみつきながら、思うに任せぬ人生に焦燥し嘆き、クリスティーヌへの想いにも「なぜこんなことに…」と苦しみもがき続けていました。
ファントムとの「賭け」について、小野田ラウルは「この勝負に自分は敗れたのだ。ならば引き下がろう」という雰囲気でしたが(ギャンブラー気質?)、田代ラウルは一時の激情で愚かな賭けをしてしまったことを心底後悔していました。
一方ラストシーンで、小野田ラウルからは「触るな。わたしの妻だ」という決然たる意志を、田代ラウルからは取り返しのつかないことへの深い悔恨を感じました。
同じ役でも演じる人による違いを見られるのがダブルキャストの醍醐味ですが、このたびのラウルについては、真逆と言えるほど異なることに驚かされました。この作品に於けるラウルの扱いは初演時から物議をかもし、大いに批判もされましたが、演じる人にとっては逆にやり甲斐があるのかもしれませんね。
それにしても──
わたくしは石丸幹二さんのファンですし、この日本に於ける現在最高のミュージカル俳優であると言っても過言ではないと思っていますが、その人をもってしても許せない作品というものはあると、つくづく思う次第です。
願わくは、この出演者で『オペラ座の怪人』本編が観たい。現状、叶わぬ夢であることはわかっていますが。