「不可視の両刃」放射線に挑む~英国大学院博士課程留学~

英国に留学して放射線研究に取り組む日本人医師ブログ

「救急医学の父」とRoyal Victoria Hospital

2018-11-22 | ベルファストのスポット
実験室で色々と行き詰まってしまい、盗んだバイクで走り出し、夜の校舎の窓ガラスを全部割りたくなったので、なんとなく散歩に出掛けることにしました。一言で言えば、現実逃避です。

そして向かった先は英国北アイルランド屈指の大病院 Royal Victoria Hospitalです。
日本がまだ江戸時代をやっている頃に総合病院として設立され、1875年に大英帝国ヴィクトリア女王から勅許を得て「Royal Hospital」となったこの病院からは、その長い歴史の中で有名な医療従事者が輩出されましたが、その中の1人がパントリッジ教授 Prof. James "Frank" Pantridgeです。彼はAED(携帯型除細動器)の開発に携わり、それを救急車へ搭載させて、現代救急医療の基盤を作ったことから、現在では「救急医学の父」と呼ばれています。
「そんなん知らんがな~」と思った方、大丈夫です。私も医療従事者になって何年も経ちますが、恥ずかしながら、パントリッジ教授のことはちっとも知りませんでした。たぶん、うちの母校の医学部でもパントリッジ教授について講義していなかったような気がしますし、決して日本でも有名な方ではありません。とはいえ、AEDを救急医学に初めて導入したといえば、「なるほど、大したものだな」と一般の方にもすごさがちょっと伝わるのではないでしょうか。
それにしても、救急医学の歴史の一頁がこの地で書かれたというのは、すこし感慨深いものがありました。医学の歴史は、おそらく人類開闢以来の長さがありますが、その中の一部に名を遺すのはとても大変なことですから。


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