一寸の兎にも五分の魂~展覧会おぼえがき

美術展のおぼえがきと関連情報をすこしばかり。

小村雪岱、木村荘八、木村直道のKKKが光る@「たまもの」埼玉県立近代美術館大コレクション展

2013-05-03 | 展覧会
昨年30周年を迎えたという埼玉県立近代美術館。

その収蔵作品(コレクション)約1000点。

なかには通常展示されないめずらしい作品も公開されているという「たまもの 埼玉県立近代美術館大コレクション」展




「時代やジャンルにとらわれない、32の多彩なテーマで構成された展示では、作品と作品との意外な出会いや、新たなつながりを発見できることでしょう」とある通り、ふつうならあまり一緒に展示されることはないような作品が、隣どおしで展示されていたりします。

たとえば、1つめのテーマ「面ざし」は次のようなラインナップ。

ジョルジュ・ルオー[1871-1958]
パウル・クレー[1879-1940]
斎藤与里[1885-1959]
田中保[1886-1941]
キスリング[1891-1953]
奥瀬英三[1891-1975]
ルフィーノ・タマヨ[1899-1991]
山路真護[1900-1969]
里見明正[1912-1974]
駒井哲郎[1920-1976]
富張広司[1936-]
谷口茂[1948-]
柄澤齊[1950-]  

これだけのバラエティに富んだラインナップが、ひとつの展示室に並べられるのは、なかなかめずらしい光景です。

数年前の回顧展で人気を集めた小村雪岱にも、再会できます。

思ったよりたくさんの作品が展示されており、「湯島夜景」や「青柳」の繊細や描写や色合いをあらためて堪能。柳の葉の小さな一枚一枚が、ふくらんだようにひとつひとつ描写されているのは、見ごたえがあります。

個人的に、大変気に入ったのは、木村直道(1923年-1972年)の彫刻作品。

木村自身が、スクラップ(scrap:廃材)とスカルプチュアー(sculpture:彫刻)をかけ合わせて、スクラプチュアー(scrapture)という造語で呼んでいたそうです。

身近な廃品を組み合わせ、熊や象やライオンなど身近な動物をユーモアたっぷりに表現した作品がとてもおもしろく、楽しめました。

それから、東京ステーションギャラリーの展覧会で話題を呼んでいる木村荘八のユニークな壁新聞が見逃せません。

荘八が参加していた美術団体「春陽会」で、メンバー同士の情報交換のために(おそらく即興的に)書かれた(殴り書きされた)壁新聞の数々。

たとえば春陽会の展示会最終日に書かれたと思われる「閉会日ニュース」には、こんな一文も。

「今年度絵ハガキの売れ高ではトップが鳥海の道化と中川の百合ださうですがつまりこれが今年のニンキ役者なんですな。この罰に二君はエハガキ残部を会へはき出して然るべし」

「小村隆一宅で『春陽会雑報』を徹夜で刷る」という漫画も(作家名は書いてません)。


(美術館HPより)

画家同士の交流がしのばれる、ほほえましい展示です。ステーションギャラリーで木村荘八を気に入った方は、ぜひ観にいってみてください。

それから、これは展示作品とは関係ないと思うのですが……。

ロッカーを利用しようと思ったら、こんな光景が……。



これは一体……。



JR北浦和駅から徒歩3分で、都心からのアクセスも思ったより楽ちん。美術館を出たら、緑深い公園をお散歩もできます。





****以下、美術館HPより****
企画展 2F たまもの 埼玉県立近代美術館大コレクション展 

2013.4.4 [木] - 5.19 [日]

この展覧会は、企画展示室・常設展示室の両方を使い、エントランスや図書室など、館内のさまざまなエリアも活用して、前代未聞の規模で当館の収蔵品を紹介する試みです。出品作品は目標1,000点!
時代やジャンルにとらわれない、32の多彩なテーマで構成された展示では、作品と作品との意外な出会いや、新たなつながりを発見できることでしょう。お馴染みの巨匠の作品から、普段はめったに展示されない資料や書籍まで、美術館がこれまでに授かった「たまもの」=「コレクション」の魅力をたっぷりとお楽しみください。

会期 2013.4.4 [木] - 5.19 [日]
休館日 月曜日(4月29日、5月6日は開館)
開館時間 午前10時~午後5時30分(入場は閉館の30分前まで)
観覧料

一般800円(640円)、大高生640円(510円)
※( )内は20名以上の団体料金。
※中学生以下と65歳以上、障害者手帳をお持ちの方(付き添い1名を含む)はいずれも無料です。展覧会入場時に確認いたしますので
・65歳以上の方は、年齢を確認できるもの(運転免許証、健康保険証等)をご持参ください。
・障害者手帳をお持ちの方は、手帳をご持参ください。
主催 埼玉県立近代美術館
後援 JR東日本大宮支社、FM NACK5
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