一寸の兎にも五分の魂~展覧会おぼえがき

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「つきしま かるかや」展、図録が超充実!@日本民藝館

2013-08-12 | 展覧会
開催前から楽しみにしていたにもかかわらず、前期は見逃した「つきしま かるかや-素朴表現の絵巻と説話画」展



日本民藝館所蔵の「つきしま」(築島物語絵巻)とサントリー美術館所蔵の絵入本「かるかや」が展示されます。

ともに「ニッポンの「かわいい-はにわからハローキティまで」(『芸術新潮』2011年9月号)や『日本の素朴絵』(矢島新、ピエ・ブックス、2011年)あるいは奈良絵本・絵巻関連の書籍等でたびたび紹介され、いつかはちゃんと見てみたいなあと思っていた作品。


(「つきしま かるかや」展図録)


(ちゃんと函に入ってます)

その両方が一度に見られるとは! さすが日本民藝館!

しかもすばらしいのは、図録には全図が詞書とともに収録されていることです。これは、資料としてはとてつもなく価値があります。


(驚きの全画面収録)

適宜、拡大図もふんだんに収録されており、展示替えで見られない場面があっても、確認することができます。

解説は山下祐二先生と矢島新先生。

これは、絶対に「買い」です。

「つきしま」も「かるかや」も色もとてもきれいです。

少しでも興味がある方は、時間がなくても時間をつくってぜひ、行ってみてください。

そのほか、「浦島絵巻」や「曽我物語屏風」などふだん展覧会や美術館ではなかなか見ることができない素朴でゆるいタッチの作品がたくさん並んでいます。


(「浦島絵巻(甲本)」より。これは、亀……)

そして、図録によれば「つきしま」は表具案が柳宋悦、陶軸は濱田庄司作だそうです。

濱田が造った陶軸は、図録で確認すると赤と薄い緑の縞模様なのですが、「つきしま」のテーマカラーはまさにこの赤と、薄い緑色なので、そうしたところにも、作品に対するこまやかな愛を感じるのでした。

というわけで、書きたいことはいろいろあるのですが、とりあえずご紹介まで。

8月18日(日)まで。10時~17時まで。月曜休館。




(この場所にいられることが幸せ、と思えるような木造の建物)

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