一寸の兎にも五分の魂~展覧会おぼえがき

美術展のおぼえがきと関連情報をすこしばかり。

カフカ 『変身』

2012-05-11 | 読書
先日、「断捨離」よろしく片付けをしていたら、近頃とんと読まない本がつまった段ボールがでてきた。

片付けの最中にそういうものを見つけると、ちっともはかどらない。

そのなかに、カフカの『変身』が。

最初に読んだのは、たしか中学2年か3年くらいのときだったか。ドイツ文学にかぶれだした矢先のことだったような気がする。

それ以来、一度も読み返していないのだが、ぱらぱらっとめくったらふと気になって、ちゃんと読んで見ることにした。

そうしたら、これがまた、

おもしろい!

主人公のグレゴール・ザムザが変身した巨大な虫(どうやらいも虫っぽい形状のようである)の描写が妙にリアルで。

カフカは本当にいも虫になったことがあるのか!?と思うほど、なんだか実感のこもった書きっぷりなのである。

そして、あの妹の描写の繊細なこと。

実際に妹がいたらしいけれど、なんというか実に鋭い観察眼。年頃の、兄さん思いでしっかり者の妹が、実に生き生きと描かれている。

カフカといえば、大学生くらいになると「『変身』?いや、やっぱり『審判』でしょ、いや『城』でしょ」とひねりをきかせて通ぶったりしてみたくなるものだが、いや、『変身』捨てたもんじゃない、と再認識しました。

いや実は、『城』は途中まで読んだけど、なんだか頭がぼやーっとしてきて挫折したのだが。

近いうち再挑戦してみようかな。

いや、やっぱり片付けはしてみるものですよ。

といっても、結局、その片付けの結果、手放せた本は初期の村上春樹の3部作くらいで、「断捨離」の精神からは程遠い結果となって終わったのでした。いや、やっぱり捨てられませんよね~。本は。なかなか。


後日追加

グレゴールが変身した虫は、いも虫ではないですね。よく考えると。足がいっぱいついているみたいなので。でも、むかでにしては厚みがある感じだし……。具体的な虫というより、虫から連想されるいろいろなイメージを複合させたものなんでしょうか、おそらく。

でもとにかく、妙にリアル。
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