一寸の兎にも五分の魂~展覧会おぼえがき

美術展のおぼえがきと関連情報をすこしばかり。

白隠@Bunkamuraザ・ミュージアム

2013-01-18 | 展覧会
行ってきました。白隠展

辻先生の著作はもちろんのこと、もう本でも雑誌でもテレビでも、白隠、白隠とあちらこちらで大絶賛なので、白隠の作品がこれだけ一堂に会する稀な機会だし、見ない手はないだろう、ということで行ってみました。

ひゃー、やっぱり混んでますね。

展覧会にしてはめずらしく、男性が多い。全体的に年齢層は高め。時間帯や曜日にもよるのかもしれませんが。

入っていきなり、特大の達磨さんがお出迎え。

いや、大きい。白隠の作品は大きいとは聞いていたけれど、実際、こんなに大きいとは。

よく考えてみれば、お寺にかけて説法のときに使ったりするのだから、小さかったら見えないものね。

でもまあ、この大きさを体感してはじめて、白隠のよさがわかるのか? 逆にいうと、画集とか小さい画面で見るとやっぱり迫力が伝わりきらないような気が……。

特に、今回の展示でうれしいのは、ガラスケースの間近に寄ってみられるようになっていること。

前に手すりがあったりして、ある程度距離がないと見られない展示ではなく、後ろの人の邪魔にならなければ、ケースの近くに寄ってみられるので、細部の描写まで見やすいのです。

作品の大きさにあわせて特注のケースだと思うので、展示にお金がかかったと思いますが……。

大きい作品は少し離れて全体を見るのがもちろん大事ですが、せっかく生で見ているので近くによって線や墨の流れなど細かいところをじっくり見たいのも人情。でも、手すりなどのため近くに寄れないと、どうしても限界があるので……。

それにしても、今回、はじめて白隠の生をたくさん見て、「白隠がいい!」という人の気持ちはわかったような気がします。

たしかに、あれだけの大画面を隅々まで支配している緊張感というか、「圧力」のようなものは感じますね。それも、どこまで計算してやっているのか。なにかもう、勘というか、天性で押し切っているのではないかと。

白隠はもちろん、禅の教えを広めるために描いているので、その部分を切り離してしまうと作品の本質からそれてしまうのでしょうが、しかしまあ、そういう方面とどこまで対峙できるかは見る側のコンディションにもよるので、とりあえずそこらへんはおいておいて、単純に「絵」として楽しみにいくというもありではないかと勝手に思っております。

と同時に、お客さんに男性、それも比較的年齢の高い男性の割合が多いというのは、やっぱり白隠の「禅」の要素のせいなのでしょうか。おそらく、「絵」が売りの展覧会だったら、男性はこんなに集まらないのではないかと。「禅」とか「悟り」とかいう形而上学的要素が濃いから、男性が多いのかな?と(女性が形而上学的なものが苦手だとかいう意味ではありませんので、念のため)。だって、渋谷という立地条件で、あれだけおじいさんたちが来るっていうのもたいしたものだと思うのです。よっぽど興味がなくちゃ、行かないのでは。

ま、いずれにせよ、白隠好きな人も、苦手な人も、興味ある人もない人も、行ってみるとそれなりのおもしろさがあると思います。

2月24日(日)まで。

今回の「お持ち帰りしたい一品」(もし、お持ち帰りしていいと言われたらしたい作品):んー、特にいいかな……。大きすぎるし。でもまあ、敢えて言うなら、有名な《緋達磨》(チラシにも使われている赤い衣の大きい作品)。赤の色もきれいだし、よく見るとピンクのほっぺがけっこうかわいい

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