日本史大戦略 ~日本各地の古代・中世史探訪~

列島各地の遺跡に突如出現する「現地講師」稲用章のブログです。

勅使塚古墳|富山県富山市 ~富山県内で2番目の規模を誇る前方後方墳~

2021-07-24 16:05:58 | 歴史探訪
 

3.探訪レポート                         


2021年7月20日(火) 北陸ツアー下見1日目<越中探訪>④



この日の探訪箇所
稚児塚古墳 → 富山市考古資料館 → 王塚古墳および各願寺 → 勅使塚古墳 → 富崎墳墓群 → 富崎千里古墳群 → 勝興寺(越中国府跡) → 柳田布尾山古墳および古墳館 → 桜谷古墳群 → 越中国分寺跡


 王塚古墳はなかなか好印象な古墳でしたが、問題はどこにバスを止めるかですね。

 でも周辺を調べたので作戦は思いつきました。

 つづいて、勅使塚古墳へ行ってみます。

 ここから歩くと遠いのは分かっていますので、いったん駐車場へ戻り、車で行きますよ。

 細い道を勅使塚古墳のほうへ向かっていると、東屋やトイレ、それに駐車場もある場所に出ました。

 池では釣りをしている人もいます。

 説明板らしきものが見えるので、車を止めて行ってみましょう。



 全体的な説明でしたね。

 一応、山の中に入っていく道はあります。



 でも、ここから勅使塚古墳は遠いですし、違う場所を探してみます。

 ・・・うーん、いい場所がないですね。

 結局は最初に車を停めた「富山市婦中ふるさと自然公園」の駐車場から歩いていくほかないですな。

 とりあえず自分で歩いてみて、ツアーで歩くことが可能が調べてみます。

 トボトボと歩き出すと、右手には各願寺へ向かう散策路があります。



 最初に見た「ウォーキングコース」の看板が示唆している通り、周辺には散策路が張り巡らされているのですが、最近は維持管理が追い付かないようで、歩ける箇所が少ないようです。

 ハス池だ!







 おっと・・・

 見たくないものが現れた・・・



 もう、これから山の中に入っていくのにこういう表示があると怖いじゃないの。

 では、山登りを始めますよ。



 少し歩いては上を見上げて、古墳はまだですかー、とつい口に出してしまいます。



 案内板はこうなってしまうとすでに案内の機能を喪失しているため、ただの「板」ですね。



 クマさんが出てきたら嫌なので、無駄に大声を張り上げながら登ります。

 いや、これが逆効果で、「うるせえなあ」と排除しようと思って近づいてきたらどうしよう?

 こ、古墳はまだかな・・・



 お、上のほうに説明板が見える!

 ありました!

 バーン!



 おや、これは後方部ですね。

 全体の写真を撮ろうとしてもこれ以上引けないので無理です。

 前方部側。



 5分も登っていないので大したことはないのですが、クマさんのプレッシャーがかかるので時間が長く感じる。

 説明板を読んでみます。



 説明板に書いてある通り、県内で2番目の大きさの前方後方墳で、墳丘長は先ほど訪れた王塚古墳よりも8m大きい66mです。

 ちなみに、富山県で最も大きい前方後方墳は、本日中に訪れる予定ですが、墳丘長107.5mを誇る氷見市の柳田布尾山古墳で前方後方墳としては北陸で最大となります。

 築造時期は、王塚古墳よりも古いですが、説明板に「県内最古」とあるのは、その後の調査の結果でさらに古い前方後方墳が見つかっています。

 富山市考古資料館に展示してあった編年図を再掲します。



 また、説明板の内容からすると、主体部の墓壙は掘り下げてはいるものの、「木棺が安置されていると推測される槨の痕跡がある」という歯がゆい表現になっているため、結局のところ主体部は不明ということでしょうか。

 確かなのは墓壙の大きさですね。

 墳丘図はこちら。



 こちらの図はトレンチの場所も書かれています。

 王塚古墳は段築がないようですが、勅使塚古墳の後方部は2段になっていますね。



 ただ、削られ方が不自然で、後世の改変が大きいんじゃないでしょうか。

 東側には富山平野が展開しているのですが、木々に遮られており眺望はきいていません。



 段築(?)の角度が急すぎて登れないのですが、反対側に回ると登れそうな場所がありました。



 後方部墳頂。





 後方部から前方部を見ます。









 王塚古墳と同様、葺石は確認できません。





 墳丘から降ります。



 ここも雪が降る前の冬場に来ればもっとはっきり形が分かるんだろうと思います。



 この古墳は到達するために5分程度の山登りがありますが、お客様には頑張って登ってもらおうと思います。

 つづいて、周囲にツアー向きの遺跡があるか、もう少し探索してみますよ。

 ⇒この続きはこちら

 

4.補足                             



 

5.参考資料                           


・『王塚・千坊山遺跡群』 大野英子/著 2007年


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