日本史大戦略 ~日本各地の古代・中世史探訪~

列島各地の遺跡に突如出現する「現地講師」稲用章のブログです。

中二子古墳(大室古墳群)|群馬県前橋市 ~大室古墳群の中で最大の墳丘長111mを誇る前方後円墳~

2020-09-15 22:19:57 | 歴史探訪


 

中二子古墳は大室古墳群の中で最大の墳丘長111mを誇る前方後円墳で、二重周堀の中堤には埴輪列が復元されています。

発見容易
中堤に復元埴輪列あり
墳丘登頂可能
詳しい説明板あり

お勧め度:(ただし、草が刈ってあれば!)

 *** 本ページの目次 *** 

1.基本情報
2.諸元
3.探訪レポート
4.補足
5.参考資料

 

1.基本情報                           


所在地


群馬県前橋市西大室町



現況


日本キャンパック大室公園

史跡指定


国指定史跡
史跡指定日:昭和2年4月8日

出土遺物が見られる場所



 

2.諸元                             


築造時期


前方後円墳集成編年:9期

墳丘


形状:前方後円墳
墳丘長:111m
段築:前方部・後円部ともに2段
葺石:
埴輪:円筒Ⅴ式

主体部


横穴式石室のはずだが未発見

出土遺物




周堀


楯形
二重
中堤あり(埴輪配列)

 

3.探訪レポート                         


2017年4月2日(日)



この日の探訪箇所
岩宿遺跡 → 前二子古墳 → 中二子古墳

 
 時代的には前二子古墳の次に中二子古墳が築かれましたが、その場所は前二子古墳のすぐ北側です。

 中二子古墳の大きな墳丘と埴輪列が見えますよ。



 中二子古墳は大室古墳群で最大の前方後円墳で、墳丘長は111mあります。

 前二子ちゃん、さようなら。



 前二子ちゃんはポッチャリしていて可愛いですね。

 中二子古墳の周堀は二重になっており外堀のさらに外に来ました。



 先ほど見えた埴輪列は中堤に立てられていたものですね。

 後円部側(東側)へ回ってみます。



 説明板があるので読んでみましょう。



 トレンチを入れた写真がいくつか乗っており、葺石が検出された様子が分かると思います。

 中二子古墳の面白いところは、川原石(丸っこい奴)と山石(カクカクしている奴)の2種類の石で葺いているところで、墳丘や中堤の場所によって使い分けています。

 中二子古墳は主体部が見つかっておらず、非破壊(地下レーダー探査)で調べてみて、後円部で石室らしい反応があったためトレンチを開けてみたのですが、結局見つからず、反応したのは石室ではなく種類の違う土だったとのことです。

 でも、種類の違う土が一定範囲にあるというのは何やら不可思議ですよね。

 この人面付円筒埴輪は珍しいですよ。



 前方部北側の中堤に立っていたと考えらえる埴輪で、こういったものは北関東で数点見つかっており、中二子出土の物も目の下に入れ墨を表現した線刻がありますが、他の古墳で見つかったものも入れ墨を表現しているものがあります。

 線刻によって入れ墨を表現するのは弥生時代以来の伝統的な手法です。

 少し離れてみましょう。



 中堤に乗ります。



 南側中堤を前方部方向へ歩きます。

 中堤には、普通の円筒埴輪以外に朝顔形円筒埴輪と盾持埴輪が復元されて並べられています。



 ただし、見つかったものをすべて復元しているわけではなく、ここの一部分のみの復元です。

 振り返って後円部を見ます。



 2段築成になっているのが分かりますね。

 なお、さきほどの説明板に書かれていた通り、往時は墳丘全面(下段および上段)に渡って葺石が葺かれており、中堤にも葺石が葺かれていましたが、この古墳は南側から見られることを意識して造られており、南側中堤の葺石は、南から見える外側にしか葺かれておらず、北側中堤も、やはり南側からの景観を意識して、内側にしか葺かれていませんでした。

 墳丘に登ってみましょう。

 後円部墳頂。



 後円部から前方部を見ます。



 中二子古墳はいわゆる「下野型古墳」と同様にテラス部分が広いんですよね。

 前方部側の周堀には北側と西側に渡り堤が造られており、北側の渡り堤が見えます。



 前方部先端から前二子ちゃんを見ます。



 なんで、前二子は「ちゃん付け」なんでしょうか。

 前方部から後円部を見ます。



 北側を望みますが、樹木のせいで眺望はきいていませんね。



 では、墳丘を降ります。

 北の方には後二子古墳の墳丘が見えます。



 内堀。



 いいねえ。



 内堀の渡り堤。



 いつもの好きなアングルに挑みますが、後期古墳はあんまりウエストがくびれていないんですよね。



 前期古墳にはモデル体型が多いですが、後期は後期でグラマラスなのが魅力なのです。

 向こうには後二子古墳が見えますが、後で行くとします。



 カッコいい画だなあ。



 中二子古墳とその向こうには前二子ちゃん。

 墳丘の形。



 素敵な古墳ですね。



 つぎはM-4古墳を見に行きたいと思います。

2017年4月8日(土)


 クラブツーリズムにて案内してきました。

 探訪記事は制作中です。
 

2019年8月18日(日) 前編



この日の探訪箇所
前二子古墳 → 中二子古墳(前編) → M-4号墳 → 後二子古墳 → 小二子古墳 → M-1号墳 → 中二子古墳(後編)

 
 探訪記事は制作中です。

2019年8月25日(日)


 クラブツーリズムにて案内してきました。

 探訪記事は制作中ですが、一週間前に下見で行った時と何ら変わらず酷い状態の古墳をお客様に案内してきました・・・

 

4.補足                             



 

5.参考資料                           


・現地説明板
・『群馬県史 資料編3 原始古代3』 群馬県史編さん委員会/編 1981年
・『群馬県史 通史編1 原始古代1』 群馬県史編さん委員会/編 1990年
・『東国大豪族の威勢』 前原豊/著 2009年
・『赤城南麓の大豪族の威勢 前橋市大室古墳群』 前橋市教育委員会/編 2017年
・『群馬の古墳物語 上巻』 右島和夫/著 2018年
・「国指定文化財等データベース」 文化庁
・「前方後円墳データベース」 奈良女子大学



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