牛伏古墳群は、水戸市内の友部丘陵部にあるこの付近では大規模な部類に入る古墳群で、古墳公園として整備されたなかにいくつもの古墳を見ることができます。
発見容易
公園として整備
複数の古墳に登頂可能
説明板あり
日本一大きな埴輪(?)あり
お勧め度:
*** 本ページの目次 *** 1.基本情報 2.諸元 3.探訪レポート 4.補足 5.参考資料 |
1.基本情報
所在地
茨城県水戸市牛伏町201-2
現況
くれふしの里古墳公園
史跡指定
出土遺物が見られる場所
2.諸元
築造時期
牛伏4号墳
6世紀後半
墳丘
牛伏4号墳
形状:前方後円墳
周濠を含めた長さ:72m
墳丘長:52m
後円部径:30.5m、後円部高:6.8m、前方部幅:35.4m、前方部高:6m
段築:2段築成
葺石:
埴輪:3条の円筒埴輪、形象埴輪
主体部
牛伏4号墳
横穴式石室(見学不可)
花崗岩使用
出土遺物
太刀・鉄鏃・鎌・雲珠、6世紀後半の須恵器・土師器
周堀
2か所に陸橋を伴う楯形周溝
3.探訪レポート
2019年3月23日(土)
この時の探訪箇所
【3月22日】
宝塚古墳 → 日下ヶ塚古墳 → 磯浜海防陣屋跡 → 車塚古墳 → ひたちなか市埋蔵文化財調査センター → 虎塚古墳 → 十五郎穴横穴墓群 → 馬渡埴輪製作遺跡 → 梵天山古墳 → 泉坂下遺跡 → 茨城県立歴史館
【3月23日】
愛宕塚古墳 → 馬塚古墳 → 台渡官衙遺跡群 → 牛伏古墳群 → 舟塚古墳 → 府中愛宕山古墳 → 舟塚山古墳 → 風返稲荷山古墳 → 太子古墳 → 富士見塚古墳 → 富士見塚古墳展示館 → かすみがうら市歴史博物館
つづいてツアーで訪れる牛伏(うしぶせ)古墳群へ行きます。
牛伏古墳群は公園になっているので見つけやすいです。
くれふしの里古墳公園に到着して駐車場に侵入すると早速墳丘が出迎えてくれました。
それでは行きますよ。
説明板を読んでみましょう。
説明板に書いてある通り、「くれふしの里」という名前は「常陸国風土記」からとった名前で、古墳群の名前は「うしぶせ」ですよ。
狭い範囲に前方後円墳が6基も密集しているのは面白いですし、それ以外にも帆立貝形が1基と円墳が9基あり、きちんと発掘調査をされたのは4号墳のみなので全体の築造順は分からないものの、後期の古墳群として考えてよいような雰囲気です。
前方後円墳の向きがあっち向いたりこっち向いたりで、まるで仲が悪かったように見えますが、決してそうではなく、台地の下から見上げたときに見える台地縁の部分だったり、後期だと横穴式石室が普及してきますから、石室開口部の向きを考えた結果こうなってしまったのでしょう。
台地を降りたところにある(図の下側に書かれている)舟塚古墳はこのあと行ってみます。
こちらは公園の案内図ですが、こちらの方が番号が分かりやすいです。
公園として整備されている状態では前方後円墳は4基のようですね。
楽しみだあ。
まずはさきほど駐車場からも見えていた4号墳です。
こちらは発掘調査が行われたせいか個別に説明板があります。
墳丘長52mの二段築成の前方後円墳で、6世紀後半の築造です。
横穴式石室の石材がことごとく抜き取られていたというのは盗掘した人の凄まじい欲望を想像させられますが、花崗岩は現代でも高価な石です。
ただ、硬くて加工が大変ということもあり畿内では凝灰岩に移行していきます。
墳丘長は52mなのに後円部径が30mあってポッチャリしています。
周溝が描かれていなくて残念だ。
では、墳丘へ行きましょう。
おー、円筒埴輪も並んでいていい感じですねえ。
登ろうかな、と思ったら2号墳の看板が目に入ってしまいました。
こういう看板の形で古墳の形状を表すという工夫はたまに見ますが、いいアイディアですよね。
墳丘長45mの2号墳から見てみましょう。
前方部側からの眺め。
後円部の墳頂には社があります。
では今度こそ4号墳へ。
鞍部墳頂から後円部を見ます。
円筒埴輪が並ぶ様子はやっぱりいいですねえ。
後円部から東側の眺望。
後円部から前方部を見ます。
後円部・前方部ともに2段築成です。
前方部の1段目を見下ろします。
下に降りて前方部裾エッヂ部分からのいつものアングル。
ではもっと公園の奥に行きますよ。
ところで、今日は天気があまりよくないせいか、公園内は人がいませんね。
墳丘長44mの3号墳の看板がありました。
これは盛り土整備もほとんどされていないような感じです。
台地縁の部分にはもうひとつ墳丘らしきものが見えます。
前方後円墳の1号墳ですが、これは最初に見た公園の案内図にはありませんでしたね。
状態がよくないため、敢えて目立たせようとしていないのかもしれません。
こちらはどなたかな?
円墳の5号墳でした。
9基ある円墳の中では最も大きくて直径が28mあります。
今度も円墳の7号墳。
7号墳と並ぶようにほとんど古墳と分からないような小円墳のようなものが3基並んでいます。
でも、これらは最初に見た地形図上にプロットされた古墳分布図でも番号が振られていないですし、円墳が全部で9基という数を勘案すると、古墳として認定されていないのでしょう。
まれにですが、古墳群に中世の塚が混じることがあるのですが気になります。
こちらは少し大きい。
小さい円墳のようなものの奥がその正体です。
手前の小円墳のようなものも、さきほどのものと同様に古墳としては認定されていないようです。
その後ろが唯一の帆立貝形古墳である墳丘長30mの6号墳です。
全長が30mで、そのうち後円部の径が25mありますから、微妙に造出付きの円墳に思われなくもないです。
お、例のアレが見えてきましたよ。
実はここに来る前の事前調査の段階から気になっていたんですよね。
バーン!
はに丸タワーです!
登れるようなので行ってみましょう。
日本一の埴輪!
確かにおっしゃる通りです。
でも、もしこんな大きな埴輪の存在をヤマトの大王が知ったら激怒して牛伏の王はヤマトに呼び出しを食らいますよ。
階段を登って行くと内部にも顔がありますが、どういう装置なのか良く分かりません。
てっぺんに到着!
さすが良い眺めだ。
次に見に行く前方後円墳の17号墳。
東屋の屋根も前方後円形なんですね。
では、下界に降りて17号墳を見にいきましょう。
墳丘長60mで、「お富士様古墳」の通称があるということは、古くから地元の人たちには存在を知られていたんですね。
現在の墳丘の高さは低いですが、往時はもっと高さがあったのでしょう。
後円部墳頂に祠があります。
「お富士様古墳」の名称のもととなった神様でしょう。
麓の方を見下ろすと鳥居も見えます。
この古墳はいまでも信仰の場となっているのでしょう。
17号墳からみるはに丸タワー。
17号墳の前方部から後円部を見ます。
公園の一番奥まで来たので駐車場へ戻りますよ。
これはまだ見てなかったな。
円墳の10号墳です。
これで公園の案内図に書いてあったすべての古墳と壊れかかった1号墳を見ることができました。
おや、水道だ。
千葉で魚の形の埴輪を見たことがありますが、それを模しているのかな?
ところで、こういう公園の水道って最近は水が出な・・・
うわ、ちゃんと出た!
滾々と湧き出る水に生命の尊さを感じます。
4号墳に戻ってきました。
古墳ゾーンに隣接して遊具ゾーンもあるんですね。
でも結局今日は公園内で誰とも会わなかった。
仕事の一環としてトイレをチェックします。
チェックって、別に掃除の仕事の一環ではなくてツアーの仕事の一環ですよ。
さて、楽しい公園でした。
ツアー当日はお客様たちとはに丸タワーに登ろうと思いますが、その前に牛伏古墳群の考察をしなければ当日説明ができませんね。
(つづく)
4.補足
5.参考資料
・現地説明板