消費税が平成26年4月1日に8%に上がることが一応決まりましたが、不動産のような高価な買い物は、その前の駆け込み需要が予想されます。
そして、アパート建築もマンション購入も高額なため、「消費税が上がる前に、相続対策で是非…。」等と勧誘されてサブリース契約も増えることが予想されます。
もちろん、サブリース契約自体がすべて不当だとは言いませんが、現状は、リスクの高い商品でありながら、勧誘の態様、契約の形態に何ら規制がありません。したがって一般法によって対処するしかない状態です。
同じくリスクの高い金融商品が、「不招請勧誘の禁止」(金融商品取引法38条4号)をはじめとする勧誘の態様に関して規制を受けるのと違い(同法38条各号)、行き過ぎた営業活動によって、思いもよらないリスクを負ってしまう方が増えるのではないかが心配です。
しかも、アパート建築をする、賃貸業を営むためにマンションを購入すると決めて取引をはじめた段階で、消費者契約法にいう「消費者」(同法2条1項)で無くなると一般に考えられていますので、情報量や交渉力に格段の差があるにもかからず、消費者取引の一般法である同法の保護も受けることができなくなる可能性が高いのです。
特に請負契約の場合、いったん契約を交わし、工事着工段階になって、将来リスクに気づいて契約を撤回しようとすると、業者から違約金等として高額の金員を請求されることが通常です。
また、いったん建物を建てた場合、その後になってサブリース契約の内容を知って、話しが違うとなっても、実際上建築行為を取消すことはできません。その建物を受け入れるしかないのです。
したがって、「30年一括借上げ」、「管理はすべてお任せ」、「10年間賃料保証」等の甘言に惑わされず、ご自分でサブリース契約に関する知識を付け、当該企業に関する情報も十分に収集なさって、契約を締結するか否かを判断なさって下さい。サブリースは、昔のように、業者が運用すれば賃貸業は一応成り立って行くという時代でなくなったと思います。
サブリースがリスクが高いと思うのは、繰返しになりますが、
- 上記述べたように高額の出資(負債を負うもの)であること
- ご自分の土地・建物等価値の高い自己資産を他人の運用に任せるものであること
- 情報量、交渉力は圧倒的に業者が有利であること
- しかし、今のところ何ら規制はないこと
- むしろ業者の方が賃借人として保護される傾向にあること
- よって、請負・賃貸借契約を締結する段階で業者は、説明義務を負うわけで無く、法定書面の交付も要求されず(宅建物取引業法35条、37条)、契約内容が不透明になりやすいこと
等からです。
ご自分でネットから情報収集できる方はいろいろな意見を参考にできるのでいいのですが、田舎にご両親がおられる、親戚がいるというような方は、安易に契約しないよう注意することを忠告された方がよいと思います。地方の高齢者を狙ってくる営業は、まず怪しいと思った方がよいと思います。
また、契約書をもらったら、その場で直ぐに署名押印してしまわず、契約書を持って、無料の法律相談や消費者センターに行きみてもらった方がよいですし、消費者センターではその企業についての情報も尋ねる等した方がよいと思います。
電話での相談もできますが、お年寄りにはやはり使いにくいかなと思われます。