残業代(割増賃金)計算エクセルの再アップ
残業代を計算するための、エクセルソフトです。オンラインストレージの保存期間が切れたため、再アップしておきます。
下図のように、作業(労働)の始まりの時刻と終わりの時刻を入力すると、残業代(法定の割増賃金となる部分)が自動計算されます(下図)。
したがって、本ソフトはタイムカードが無いため、時刻を入力して労働時間を計算しなければならない場合に向いています。例えば、トラックのタコグラフやパソコンの作業ログから労働時間を算出するような場合です。利用される方は、ご自由にダウンロードして下さい。
ダウンロード用URL:https://7.gigafile.nu/0721-cc346850396a72feb0389057822fc30f7
↓その際は、下記の使用上の注意および使用方法を参照して下さい(2022年2月8日のブログの内容です。)。↓
残業代(割増賃金)計算エクセル
以前、未払賃金請求事件(割増賃金分等の請求)の時に使った賃金額を計算するソフトです。エクセル関数を使って作成しています。
タイムカードではなく、勤務の開始/終了時間が分かるような資料(タコグラフ等)から労働時間を計算したい場合に適しています。利用できそうであればご利用ください。
(1カ月分用と予め1月~12月まで準備、合算計算するようになっている1年分用があります。1年分用は、結構容量が大きいので、ダウンロードや保存の場合、時間がかかるかも知れません。ご注意下さい。)
本エクセル計算ソフトの特徴
本エクセル計算ソフトの特徴は、
1.労働の始まり、休憩の始まり(=労働の終了)の時刻を入力するだけで、
- 1日8時間超、週40時間超、深夜早朝、法定休日、の各割増賃金を計算します。
(月60時間超の割増には対応しておりません。)
- 1日の終了時刻(定時)を超えて、日付を跨いで労働した場合も、労働基準局の通達に従って、継続日労働と翌日の労働に入る分を分けて自動計算します。
2.1年分用のエクセルを利用した場合は、当月から翌月へ引継ぐべきデータがあれば(週労働時間等)を。自動的に翌月に引き継ぎます。
本エクセル計算ソフトの利用が適していると思われる業務形態
以上の特徴から、冒頭でも述べましたがタイムカードが無いような、不規則な労働形態の業種の賃金計算に合っていると思います。
例えば、長距離トラックの運転業務等です(実際に私が担当した事件も、長距離トラックの運転業務でした。)。運転業務は、タイムカードでの労働時間管理が難しく、また到着時間が決まっているのに、交通の状況は一定ではなく、事故渋滞等があれば、しばしば就業時間外の運転となり、さらに夜通し運転するということもあるからです。したがって、タイムカードに打刻して労働時間を管理する…というような方法は業務形態に合わず、タイムカードが労働実態を反映していない、そもそもタイムカードが打てない…という場合も多く存在します。
ただ、長距離運送用のトラック等には、タコグラフ(運転記録計)が装着されていることが多く、その記録を見れば走行と停止の時刻が分かり、走行=運転業務=労働時間と考えることができるので、タコグラフがあれば労働時間がかなり正確に把握できることになります。
ただ、「走行開始-走行-停止」という行程は多数繰り返されるので、そこから運転時間を抽出し、それを合計し労働時間を計算するのは、かなり煩雑な作業になります。
その労力をできるだけ軽くしようと思い、本計算エクセルを作成しました。
本エクセル計算ソフトを利用される方に注意していただきたいこと。
利用したい方がいらっしゃれば、ご自由に利用して頂いて結構なのですが、以下の点はご了承、ご注意ください。
1.自己責任で使用して下さい。
一応実際の訴訟で使用し、賃金訴訟では良く利用されていると思われる、『残業代計算ソフト(エクセルシート)「給与第一」』(京都第一法律事務所 弁護士 渡辺 輝人先生の作品)の計算結果と基本的に同じ結果でしたので、利用した範囲では計算間違い等のバグは無いと思います。しかし、本業の傍らで、私一人で作ったものなので、いろいろなテストをしておりません。ですので、潜在するバグが無いとは言えません。それを了承して、利用者の自己責任でご利用下さい。当方は一切の責任を負いかねます。
(私は、以前富士通のソフト開発部門にいました。その時は、ソフトができれば、条件に合わせてテスト項目を作成し、個人・チームでテストし、また別途検査課がテストしたりしてましたが、そのような十分なテストは、およそできておりません。その点ご注意下さい。)
2.著作権について
賃金計算する為に、当方には連絡不要です。ご自由にコピーしてご利用なさって下さい(但し、保護してないとしても、今回提供するエクセルの行、列を、コピー、挿入、削除等で単純に増減すると労働時間の計算は出来なくなりますのでご注意ください。その点、単なる表ではなくアプリのように扱ってください。)。
また、ソースもオープンにしておきますので(保護しておりませんので、関数の内容は自由に見ることが可能です。また、非表示部分の再表示も自由にできます。)、必要に応じて改良(変更)して頂いても結構です。
ただ、そのような需要は無いと思いますが、このソフトを販売したりする等、当該ソフト自体を対象とした営業(利益)行為をする場合は、当方の承諾を得て下さい。無断でそのような行為をなされますと、著作権侵害となる可能性があります。ソースを多少の改良(変更)をしたとしても、同一性が認められる限り、著作権の対象となります。
3.個別の質問等にはお答えできません。
分からないことや問題が発生したとしても、個別のご質問にはお答えできません。
コメントでのご質問にもお答えいたしかねます。
当方、現在、個人的な事情で弁護士業を廃業したこともあって、マンパワーが足りません。その点、何卒ご了承ください。
以下にアップしていますので、そこよりダウンロードして下さい(本日より7月21日までダウンロード可能です。)。 1カ月分用は、当ブログで説明したのと同じデータ(10月6日~9日)が入っています。ご注意ください。
ダウンロード用URL:https://7.gigafile.nu/0721-cc346850396a72feb0389057822fc30f7
本エクセル計算ソフトの使い方(入力例で示します。)
では、以上を前提に、ここからは使用方法を説明していきたいと思います。
運転業務を想定し、デジタコ(デジタルタコグラフ)の入力を例に、具体的例で説明したいと思います(細かい使い方は、マニュアル(現在、作成中)をダウンロードして参照下さい。)。
1カ月分用と1年分用がありますが、入力方法は同じなので、1カ月分用(「割増賃金計算(1カ月分用)」)への入力例を説明していきます。
1.入力するデジタコ(デジタルタコグラフ)
佐藤太郎という運転手さんの、2021年10月6日~9日の、以下のようなデジタコ(デジタルタコグラフ)があったとして、それを入力していきます。
2.未払賃金を請求する会社の勤務、給与関係の条件等
佐藤さんが所属し、未払賃金を請求する会社の、勤務および給与関係で、本エクセルでの計算に必要な条件は以下のとおりです。
1.始業:午前8時30分・終業17時30分の1日8時間労働(昼休み1時間)
2.法定休日:毎週日曜日
3.給与の支払い:毎月20日締めで、翌月10日支払い
4.佐藤さんの基礎賃金(時給換算):1132円/時 (給与規定・就業規則から、月給20万円/月、令和3年度所定労働日数265日…で計算)
また、
5.運転中断があっても休憩とせず、「労働している」とする中断時間を 30分
6.午前0時を過ぎて運転した場合に、運転を中断しても翌日の労働とならない中断時間の上限を 4時間 とします(→ “午前0時を越えてから4時間を超える休憩をとると、その後の運転は次の日の労働分となる”という意味です = 8時間超となる場合が減る。)。
最後の2つ(5と6)は、絶対必要なものではなく、設定しなくても構いません。本例では、「実際の妥当性」という観点から、設定したということにします。
3.入力作業その1 エクセルの「計算用必要事項入力」シートへの入力
上記1.の条件を、エクセルの最初のシートである「計算用必要事項入力」に入力します(以下)。
割増賃金を計算する元となる基本条件のデータの設定です。
(上記で、法定休日は、日~土を選択できるようにしているのですが、週の労働時間の起算点は、“日”固定です。その点、選択できるになっていません。すみません。)
4.入力作業その2 エクセルの「労働時間計算」シートへの入力
(1)時間の基本的入力方法
10月6日のデジタルタコメ(デジタコ)の入力を例に、時間(時刻)データの基本的入力方法を説明します。
先にも示しましたが、10月6日のデータは以下でした。このデジタコには、速度、 回転数、距離等のグラフが載っていますが、一番変化の分かり易い「速度」のグラフから、「運転=労働」、「停止=休み」と考えて、その時刻を入力していくことにします。
もちろん、停止中でも、運送業務なら、荷物の積み下ろしや、給油等の労働があります。その場合は、速度がゼロに関わらず労働時間として、労働時間項目のエリアに入力します。 しかし今回は、分かり易いように「運転」と「停止」だけにしています(その方が後のチェックはし易いです。)。
上記を、「労働時間計算」シートの、時間(時刻)入力エリアに入力したものが、次ページのものです。
なお、時刻の入力は、極力テンキーだけでできるように、時間と分の区切りは「:」(コロン)ではなく「.」(ピリオド)で行います(この点、前述した「計算用必要事項入力」シートへの時間入力と異なります。) 例えば、“10時13分”なら「10.13」です。
なお、最後尾のゼロは省略できます。よって、10時10分なら「10.1」で大丈夫です。
今回は入力方法を説明するために、かなり細かく時間(時刻)を入力しています。例えば1~2分程度で運転―停止している時刻も入力しています。
実際の作業では、どこまで細かく入力するかは、入力者の裁量です。あまり大雑把だと、相手方との交渉に差し支えが出たり、訴訟では計算の信用性に響く可能性もあります。一方で、あまり細かいと作業が煩雑になるばかりでなく、チェックも大変ですし、ミスも多くなり、かえって不正確になります。また、1~2分の走行が突然ちょこっと現れているだけなら、使用者側から「業務の走行じゃない」等と主張されることもあるでしょう。もちろん、目的地について荷降ろしの間に、ちょっと車両を移動することもあるので、1~2分の走行だって業務中ということは全然あると思います。
ですので、入力者の方は、予めどういう方針で時刻を入力していくかを考えて入力し、相手方や裁判官から質問があれば、方針を説明して説得するということが重要です。
なお、時刻を入力する時、昇順に並べたり、詰めて入力する必要はありません。その項目のエリア内なら自由に入力してもらって結構です。時間計算時に自動的にソートして計算します。
ですので、入力後のチェックで、抜けや間違いが見つかったとしても、全体を並べ直す必要はありません。後ろに追加したり、余分なものを削除するだけで結構です。
例えば、10月6日のデータも以下のようにバラバラに入力しても大丈夫です。
最後に、残りの10月7日~9日の速度チャートからの時刻の入力は下記です。
10月7日
10月8日
10月9
5.割増賃金の計算結果
以上で、時間(時刻)の入力は終了です。
上記4日分の入力および割増賃金の計算結果は、「賃金計算(最終議考慮)」シートに表示されます(以下)。
1カ月用であろうと、1年用であろうと、時間のデータがある部分だけ入力すれば計算します。
※ 上記、労働時間の表記で、週40時間超と1日8時間超が重複するときは、40時間超のみ表示され、8時間超は表示されません。
もし、残業代等として支払われている金額があれば、既払金を入力する部分に、その金額を入力して下さい。手当名(例えば、深夜手当とか休日手当等)は記載してもしなくても結構です(以下)。
6.チェック時に役立つ計算過程の表示について
入力部分や計算結果ではないですが、入力後に時刻の入力が正しいか確認するのに、役に立つかもしれない情報がありますので紹介しておきます。
それは、上記4日分の計算過程を表した部分です。
「労働時間計算」シートの、時刻入力部分(黄色エリア)の右側の部分です(下図)。
通常は気にする必要はありませんが、上部の「労働」(又は「休み」の)項目部分と開始時刻の表示は、後で入力時刻が正しいか、抜けが無いか等をチェックする時に使えると思います。
7.「1年分用」利用時の注意点
今まで説明してきた、「1カ月分用」の入力方法と、「1年分用」は、まったく同じ入力方法ですが、1年分を利用して、複数月を一度に入力する場合に、下記を実践して頂ければ、より正確な賃金計算ができます(1カ月分を利用して、連続する月を処理する場合も同じです。)。
以下、説明いたします。
(1)各月の「労働時間計算」シートへの時間データは、当月分+翌月分の初日(=賃金締切日の翌日分)まで入力する。
最初に説明したように、「1年分用のエクセルを利用した場合は、当月から翌月へ引継ぐべきデータがあれば(週労働時間等)を。自動的に翌月に引き継ぎます。」
その為には、各月の入力時、賃金締切日の翌日分(=次の賃金期間の開始日)を、当月の「労働時間計算」シートに入力して下さい。
(なお、そして、翌月の「労働時間計算」シートの初日には、その入力データ部分をコピーして下さい。そうすれば、再度一から入力する手間が省けます。)
(2)理由
賃金期間が次の月に変わっても、週の労働時間、また午前0時を跨いで1日の労働が翌日まで継続する場合の1日の労働時間は、賃金締切日を跨いで継続します。
したがって、それを反映しないと、正確な超過勤務(40時間超、8時間超)が賃金計算に反映されません。
そこで、賃金締切日(当月の賃金計算対象期間の最終日)と、賃金開始日(翌月の賃金計算対象期間の初日)を、同じシートに入力することで、引継ぎ時間を計算しています。
(以下、「労働時間計算」シートの引継ぎ時間計算部分を参照されたい。)
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