【事例紹介】
夜、ベッドに入った娘(6歳)が話し出した。
子 : 今日ね、幼稚園でね・・・(涙ぐむ)
母 :
幼稚園で何かあったんだね
子 : NちゃんとMちゃんに「何してるの?って聞いたんだけど、
「あっちに走っていったら教えてあげる」って言われて・・・
(沈黙・・もっと涙ぐむ)
母 :
NちゃんとMちゃんと何かあったんだね。
子 : あっちに行ったのに教えてもらえなかった・・・(泣く)
母 :
何をしてるか知りたかったのに、教えてもらえなかったんだ
子 : ううん、本当は一緒に遊びたくて・・・・
母 :
遊びに入れてもらおうと思って話しかけたのに、
入れてもらえなかったんだね。
子 : うん。でも、そのとき、にこにこしちゃったんだよね。
本当は悲しかったのに。
母 :
悲しかったのに、にこにこしちゃったんだね。
子 : だから、NちゃんもMちゃんも
私が悲しかったこと気づいてないと思うんだ。
母 :
本当は悲しかったんだね。
子 : うん。だから、Yちゃんのところに行って遊んだ。
母 :
Yちゃんのところに行ったんだ。
子 : そしたらね・・・
(Yちゃんと遊んだことをいろいろ話す)
ママ、お祈りして寝よう!
【感想】
涙を見たとき、何があったのかすぐに知りたいという思いで
心がいっぱいになり、質問したくなりました。
でも、「ここは娘の気持ちを受け止めよう」と思い、
能動的な聞き方をしてみたら、
娘は自分から分かりやすく説明し、自分で考えた解決策まで話してくれました。
悲しかった気持ちをはき出すことができた娘は、
「にこにこしてしまったから、お友達が自分の気持ちに気づかなかったのだ。」
と気づきました。
すっきりして寝ることができた様子に、良かったなぁと温かい気持ちになりました。
HRN2015秋号より
6歳の幼稚園の女の子が、しっかりと自分の気持ちに目を向けることができ、
その「悲しい」という気持ちを乗り越えることができたのは、
やっぱり聞いてくれるお母さんがいたから、だと思います。
子どもが負の感情を抱いたとき、
親は、「そんなことでメソメソしてるんじゃない!」とか
「子どもの方にも何か悪いところがあったんじゃないか?」
と相手(子ども)を責めたり、
ここぞとばかりに親の考える「正しいこと」を教えようとしたりしませんか?
以前の私は
これこそが「しつけ」(=物事の善悪を教えること)だと思っていました。
でも、子どもの心の成長を手助けできる方法は、
相手の心に寄り添うこと、
つまり、共感することだと知りました。
自分の辛い気持ちを分かってくれる人がいれば、
人は誰でも「乗り越える力」を発揮することができるのです。