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祖母と孫の間には強い絆が築かれることがあるが、脳の画像検査でもそのつながりが認められたとする研究結果が報告された。孫とのつながりに着目して高齢女性の脳を調べたこのユニークな研究の詳細は、米エモリー大学人類学教授のJames Rilling氏らによって、「Proceedings of the Royal Society B」に11月17日発表された。
Rilling氏らの研究は、孫を持つ健康な女性の脳について理解を深め、こうした女性たちが祖母として家族にもたらすベネフィットに、脳がどのように関与しているのかを明らかにしようとしたもの。研究対象とされた、3~12歳の孫を1人以上持つ50人の女性は、質問票への回答を通じて、孫と一緒に過ごす時間の長さや孫と一緒にする活動、孫に対する愛情の深さなどについての情報を提供した。また、対象者に、1)自分の孫、2)面識のない子ども、3)孫と同性の親、4)面識のない成人の写真を見せ、それらを見ている間の脳機能の変化を機能的MRIで評価した。
その結果、自分の孫の写真を見ているときには他の写真を見ているときと比べて、ほとんどの対象者で情動的共感と情動の動きに関連する脳領域での活性が高まることが明らかになった。また、孫の写真を見ているときに認知的共感に関連する脳領域の活性が特に高かった女性は、孫の世話にもっと関わりたいという気持ちを持っていた。さらに、参加女性たちに成人した自分の子どもの写真を見せたところ、認知的共感に関連する脳領域の活性が高まった。このことからRilling氏らは、対象者は、成人した自分の子どもの考えや感情、その理由を推察する際に、情動的な側面からではなく認知的な側面からアプローチするようだと推察している。
Rilling氏は、「われわれの研究結果で特に注目されるのは、情動的共感に関連する脳領域の活性化だ。このことは、祖母は孫と関わりながら、孫が感じていることに自分も順応することを示唆している。つまり、孫が笑顔を浮かべていれば祖母も孫の喜びを感じるし、孫が泣いていれば祖母も孫の痛みや苦しみを感じるのだ」と説明する。
論文の上席著者で、同大学のMinwoo Lee氏は、「われわれの社会生活や社会の発展において、祖母の脳機能が重要な役割を果たしている可能性のあることが、今回の研究から明らかになった」と話す。その上で、「これは神経科学の分野で十分に検討されてこなかった、人間の経験の重要な一側面だといえる」と指摘する。
Rilling氏らは、人間は共同保育者であると説明する。つまり、母親は、他者の助けを得ながら子育てをするということだ。ただ、誰から助けを得るのかは、社会によって、また同じ社会の中でも人によってさまざまに異なる。母親の次に重要な子育ての担い手は父親だとみなされることが多いが、父親ではなく祖母が重要な担い手として位置付けられることもある。
Rilling氏らによると、実際、生殖年齢を過ぎた後の女性の寿命が長いのも、女性が進化の面から見て利となるものを子どもや孫にもたらすためだとする「おばあさん仮説」が提唱されている。実際、祖母が積極的に育児に関わった子どもでは、学業成績や社会性、振る舞い、身体的な健康など幅広い指標で良好な結果が得られやすいことを裏付けるエビデンスも蓄積されつつあるという。
なお、Rilling氏らは以前の研究で、父親に自分の子どもの写真を見せ脳の活性を評価しているが、そのときのデータと比べると、父親よりも祖母の方が平均的に情動的共感やモチベーションに関連する脳領域の活性が高かったことも、今回の研究から明らかになった。(HealthDay News 2021年11月17日)
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