ろこの絵本

ユニークな名まえのいぬとねこと ちょっとドジな男の子と おしゃまな女の子と いたずらからす一羽の たのしいお話

あのときのあの花 三 しろざ

2016-03-13 | あのときのあの花


 
 やあ みんな 元気かい。
 今回は、ろこおばあちゃんの「しろざ」の思い出だよ。

 一面の瓦礫の原。
 B29の爆撃を受けて半壊した赤レンガの工場。
 母さんと、小さい姉ちゃんと、えっちゃんと、ろこが、焼け跡にはえてきた雑草の新芽をつんでいる。
 ♪ あかざのあえもの もーりもーり
   しろざのあえものもりーもりー
   あかざとしろざが
   もーりもーり もりーもりー ♪
 母さんが歌うようにつぶやいていた。

 父さんが 晩酌しながら言った。
「ほう、しろざの和え物ちゃ こねな味かい。オツな味じゃのう」
「なかなか いける」
 お兄ちゃんが おかわりをした。
 みんな、たくさん食べた。
 母さんは、少ししか食べなかった。

 ン十年を経て、先日、山小屋の庭の雑草の中に、一本のしろざを見つけた。
 子どものころが、なつかしく思い出された。





Hi there.
I have no idea about "shiroza".
But it is an important plant for Grandma Roko.

In the field of debris,
In front of the partially destroyed red brick factory,
Just after the world war2.

Mom, Little elder sister, Younger siste, and I were picking buds of weeds.

Mom cooked the weeds for dinner.
Dad said, "It's not bad".
Elder brother said,"I like it".
All of the family members except Mom ate a lot.
Mom ate a little.
The weed's name was "shiroza".

A few decades later, I found a shiroza in my yard.
It reminded me of my childhood.

March 13, 2016.

あのときのあの花  二 さくら

2016-01-31 | あのときのあの花

やあ みんな 元気かい。
ろこおばあちゃんの 新しい本の さくらの編を紹介するね。

2 さくら Cherry blossom


 公園のさくらは 満開だった。
 大きい姉ちゃんが巻いた巻きずしの上にも、小さい姉ちゃんがこさえた水ようかんの上にも、ろこが母さんをおてつだいした五目ずしの上にも、ひらひらと花びらがまいおりた。
 えっちゃんの髪の上にも、お兄ちゃんの学生服の肩にも……。
 風にあおられて、花びらが下から上に舞い上がったりもした。
「まさに、花ふぶきじゃのう」
 父さんのさかずきの中にも、花びらが、ひとひらうかんでいた。
 父さんはさかずきをかざして、空を見上げた。




I like cherry blossoms. They're beautiful.

Cherry blossoms are at their best in the park.
The petals were dancing in the wind.
Some of them perched on rolled sishi, jellied bean paste, vinegered rice, younger sister's hair, and elder brother's school uniform's shoulder.
One of them floated on sake in Dad's small cup.
Dad said, "Oh, it's a real shower of falling cherry blossom petals."
Dad looked up at the sky holding up the sake cup with his hand.

January 31, 2016.






あのときのあの花  シュンラン

2016-01-02 | あのときのあの花



やあ みんな 元気かい。
ろこおばあちゃんが 去年出版した本を 紹介するね。
『あのときの あの花』という題の本だよ。

1 しゅんらん Cymbidium goeringii


「母さんは この花が ほんすきいね」
春まだあさい 雑木林の 小道
花?
女の子は 母さんの足もとの
ひとむれの 草の上に 視線を およがせる
「ほら これが 花いね」
葉っぱとおなじ 緑色の 小さな花
「へえ 母さんは こねなじみな花が すきなん」

そのときの 母さんの年を はるかにこえて
かつての女の子は
アセビの根もとの ひと株の しゅんらんに
年ごとの 春を 待つ





In early spring,
A mother and a little girl were walking along a small path in the woods.
The mother said "I like these flowers."
"Flowers?"
The little girl couldn't find any flowers.
"Those are the one."said the mother pointing a cluster of weeds.
They are tiny green flowers.
"They are not so beautiful." thought the little girl.

The girl has grown up.
The tiny green flowers are one of her favorite flowers now.
The flowers' name is "syunran".

January 2, 2016.