ろこの絵本

ユニークな名まえのいぬとねこと ちょっとドジな男の子と おしゃまな女の子と いたずらからす一羽の たのしいお話

あのときのあの花  二 さくら

2016-01-31 | あのときのあの花

やあ みんな 元気かい。
ろこおばあちゃんの 新しい本の さくらの編を紹介するね。

2 さくら Cherry blossom


 公園のさくらは 満開だった。
 大きい姉ちゃんが巻いた巻きずしの上にも、小さい姉ちゃんがこさえた水ようかんの上にも、ろこが母さんをおてつだいした五目ずしの上にも、ひらひらと花びらがまいおりた。
 えっちゃんの髪の上にも、お兄ちゃんの学生服の肩にも……。
 風にあおられて、花びらが下から上に舞い上がったりもした。
「まさに、花ふぶきじゃのう」
 父さんのさかずきの中にも、花びらが、ひとひらうかんでいた。
 父さんはさかずきをかざして、空を見上げた。




I like cherry blossoms. They're beautiful.

Cherry blossoms are at their best in the park.
The petals were dancing in the wind.
Some of them perched on rolled sishi, jellied bean paste, vinegered rice, younger sister's hair, and elder brother's school uniform's shoulder.
One of them floated on sake in Dad's small cup.
Dad said, "Oh, it's a real shower of falling cherry blossom petals."
Dad looked up at the sky holding up the sake cup with his hand.

January 31, 2016.






あのときのあの花  シュンラン

2016-01-02 | あのときのあの花



やあ みんな 元気かい。
ろこおばあちゃんが 去年出版した本を 紹介するね。
『あのときの あの花』という題の本だよ。

1 しゅんらん Cymbidium goeringii


「母さんは この花が ほんすきいね」
春まだあさい 雑木林の 小道
花?
女の子は 母さんの足もとの
ひとむれの 草の上に 視線を およがせる
「ほら これが 花いね」
葉っぱとおなじ 緑色の 小さな花
「へえ 母さんは こねなじみな花が すきなん」

そのときの 母さんの年を はるかにこえて
かつての女の子は
アセビの根もとの ひと株の しゅんらんに
年ごとの 春を 待つ





In early spring,
A mother and a little girl were walking along a small path in the woods.
The mother said "I like these flowers."
"Flowers?"
The little girl couldn't find any flowers.
"Those are the one."said the mother pointing a cluster of weeds.
They are tiny green flowers.
"They are not so beautiful." thought the little girl.

The girl has grown up.
The tiny green flowers are one of her favorite flowers now.
The flowers' name is "syunran".

January 2, 2016.