ろこの絵本

ユニークな名まえのいぬとねこと ちょっとドジな男の子と おしゃまな女の子と いたずらからす一羽の たのしいお話

八月十五日の夕日

2012-07-09 | 

         八月十五日の夕日

       戦争が 終わった。日本が まけた。
    子どもたちは みんな 気をつけの姿勢で 校長先生の話を 聞いていたが 
    なくものは だれもいなかった。
    「猛ちゃんがうたれてから まだ 四十九日にも なっちょりゃあせん」
    だれかが 小声でいった。
    そのとたんに すすりなきの声が 
    うねりのように 子どもたちのあいだに ひろがった。
    だれが いい出すともなく 猛ちゃんのお墓のある 山にいった。
    はりつめた胸から きゅうに 空気が ぬけたようだった。
    西の山に 大きな太陽が しずんでいった。
       P.110


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