Rosso Laboratory

Nikon D50の使い道

デジタル一眼レフカメラ(以下デジイチ)Nikon D50は、以前VRM用天球テクスチャー「曇りの日(実写版)」(pz01_cloudy.png)で使用したが、今は違うことに使っている。


<今回の写真群は3005pixel×1999pixelを1000pixel×665pixelに縮小>

これは近所の神社の手水舎(ちょうずや)を撮影したものだが、通常の写真とはちょいと雰囲気が違うのは一目瞭然であろう。何処と無く3DCGっぽくも見えるかもしれないが当然3DCGではなく、どちらかと言えばイラストや絵画の雰囲気に近い。

それが「HDR(ハイダイナミックレンジ)合成」である。
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<必要機材>

この画を得るためには、まずカメラ側にオートブラケット機能が必要であるが、殆どのデジイチにはその機能があるらしい。また、コンパクトデジタルカメラ(以下コンデジ)でも、この前紹介したPowerShot S90のようにオートブラケット機能が付いているものもある。故にPowerShot S90に少し惹かれもしたのだが、この撮影には三脚がほぼ必須なのでコンデジであるメリットは殆ど無いし、出来ればレリーズやリモコンも使って一切のブレやズレを無くしたいのでコンデジだと少々辛いだろうと思われる。

そして、この合成にはソフトウェアが必要(カメラ内でHDR合成できる機種もあるらしいが)であるが、私が使っているのは「HDRsoft Photomatix Pro 3.0」というソフトである。「Zoner PhotoStudio12 Professional」でもHDR合成は出来るのだけれども、体験版で比較したところ、やはり「HDRsoft Photomatix Pro 3.0」はHDR合成専用ソフトなだけあって設定項目が多く、表現の幅が広い。

どちらも体験版が公開されているので実際に確認してみればすぐに分かるだろう。価格は倍ぐらい違うのだが、まぁそれだけの違いはあるんじゃないかなぁという感じはした。

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<撮影方法>

撮影方法は非常に簡単だ。(Nikon D50での用語を使うと)設定はAEフラッシュブラケティングをオンにしてステップ幅を2.0段にする。そして、絞り優先モードにしてシャッターを押し続ければ連続で3枚撮影される。ただそれだけ。

絞りが一定なので3枚の被写界深度は一定となり、シャッター速度によって露出の違いが生じる。故に露出過多の1枚を撮影時にはシャッター速度が長くなるのでブレやすいし、3枚のズレをなるべく無くす必要があるから三脚が必要になるという訳だ。そして、実際にその3枚を見るとこのようになる。


<基準露出>
背景の色は飛んでいるが、基準となる露出。


<露出不足>
陰の部分は暗くて見えないが、背景の青空などの色はしっかり撮れている露出。


<露出過多>
色が飛び過ぎているが、陰で見えづらかった部分もはっきりと見える露出。

そして、HDR合成とはこの3枚のイイトコドリをして、色が飛んだ部分に色を付けたり、影や陰で見えづらかった部分を明るくして見せたりしてくれる合成なのである。よって、通常の写真とは違い絵画的な表現に近くなったりする訳だが、まぁその辺はトーンマッピング処理時のパラメータ次第であり、より自然な感じに調整することも出来る。

なお、3枚の写真というのは最低限の枚数であって、それ以上の枚数でも合成することも出来るが、今のところNikon D50では3段階で撮影する方法しか知らないので3枚でやっている。

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さて、このHDR合成画像を作ってみたいなぁと最初に思ったのは2年ぐらい前のこと。2008年12月にUSO800鉄道氏と会った際にアキバのヨドバシで「私が今一番注目しているソフトウェアはPhotomatix Pro 3.0だよん」という話をした記憶があるので多分間違いない。そして、体験版を使って練習し始めたのが数ヶ月前ぐらいか・・・。随分とノンビリやってきたが、多趣味なのでこんなもんだろう。今は十数年ぶりにDTM(現在はDAWとも呼ばれているみたいだが)の体験版を幾つか試したりしているぐらいだし(笑)。

HDR合成で最もやってみたいのはヤッパリこれまた夜景なのだが、練習段階では日中の写真の方が撮りやすいので、経験を積むために主に日中の写真でたまに練習してきた。その過程で、木目や石材などの材質表面の特徴が誇張され、かなり強く絵画的な印象を与えることに気が付いたので、今回は神社の木目を狙ってみた訳である。


<コレは縮小していない元のサイズの写真の一部を切り出した画像>

ご覧のように予想通り木目は強調され、現実とは異なる照明効果によって異様な程の存在感が現れている。また、屋根の緑青も絵画的表現に近く、これまた存在感が強い。元が写真なので当然全体の構成は写真のままだが、素材感は絵画的になるので全体として精密イラストレーションのような感じになるといったところだろう。

日常の在り来たりな風景が一瞬にして絵画的な存在に変わる。それが手軽に出来て非常に面白い。

3DCGでもそのような画を作ることは可能だが、モデリング等に多大な労力と時間を必要とするので、短時間で画が得られるHDR合成というものは非常に魅力的な存在であった。現実世界に無いものならば3DCGを利用し、現実世界に在るものならば写真を利用するというのが効率は良い訳で、CGでも写真でも最終的に欲しい画が得られればそれで良いのである。

また、私のように写真に関しての素人であれば、撮影時の露出選択のミスを帳消しにしてくれるという効果もあるので、絵画的表現が出来るという以外にもメリットがあったりもする(笑)。

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なお、今回使ったソフトウェアのバージョンは体験版と同じVer.3.0.3。練習時に作った設定ファイルを使うためにそのようにしたのだが、最新版のVer.3.2.7aでその設定ファイルを使うと、



こんな感じで全く異なる感じになってしまう。まぁこちらの方が写真としては自然な感じはするのだが、Ver.3.0.3の時のような強い効果が欲しかったので、Ver.3.2.7aをアンイストールしてVer.3.0.3を再インストールし使った。今後はVer.3.2.7aでの設定ファイルを作っていかないとならないな。

さて、既に結構長文になってしまったので、残りの写真は次回にしよう。

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コメント一覧

zio
あれからもう1年半以上経ちますが、HDRの魅力は衰えませんでしたねぇ(笑)。フォトレタッチソフトにある効果の適用でも色々なことが出来ますが、HDRはそれらとはまた違った雰囲気が出せて面白いですよ。
USO800鉄道
私の名前が登場する話のくだりですが、覚えています。この記事を読むまで具体的にどういう内容のソフトだったか、ほぼ忘れていましたが、読んで思い出しました。笑
なかなか楽しそうなソフトですね。私もいずれお試し版でやってみようと思います。


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