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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
中国を知り尽くした戦略家が、戦略の逆説的ロジックを使って中国の台頭がいかに自滅的なものかを解説した異色の中国論。
著者について
エドワード・ルトワック
ワシントンにある大手シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)の上級アドバイザー。戦略家であり、歴史家、経済学者、国防アドバイザーとしての顔も持つ。国防省の官僚や軍のアドバイザー、そしてホワイトハウスの国家安全保障会議のメンバーを務めた経歴もあり。米国だけでなく、日本を含む世界各国の政府や高級士官学校でレクチャーやブリーフィングを行う。1942年、ルーマニアのトランシルヴァニア地方のアラド生まれ。イタリアやイギリス(英軍)で教育を受け、ロンドン大学(LSE)で経済学で学位を取った後、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学で 1975年に博士号を取得。同年国防省長官府に任用される。主著の『戦略:戦争と平和のロジック』(未訳)を始め、著書は約20ヵ国語に翻訳されている。邦訳には『クーデター入門:その攻防の技術』、『ペンタゴン:知られざる巨大機構の実体』、『アメリカンドリームの終焉:世界経済戦争の新戦略』、そして『ターボ資本主義:市場経済の光と闇』がある。
ワシントンにある大手シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)の上級アドバイザー。戦略家であり、歴史家、経済学者、国防アドバイザーとしての顔も持つ。国防省の官僚や軍のアドバイザー、そしてホワイトハウスの国家安全保障会議のメンバーを務めた経歴もあり。米国だけでなく、日本を含む世界各国の政府や高級士官学校でレクチャーやブリーフィングを行う。1942年、ルーマニアのトランシルヴァニア地方のアラド生まれ。イタリアやイギリス(英軍)で教育を受け、ロンドン大学(LSE)で経済学で学位を取った後、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学で 1975年に博士号を取得。同年国防省長官府に任用される。主著の『戦略:戦争と平和のロジック』(未訳)を始め、著書は約20ヵ国語に翻訳されている。邦訳には『クーデター入門:その攻防の技術』、『ペンタゴン:知られざる巨大機構の実体』、『アメリカンドリームの終焉:世界経済戦争の新戦略』、そして『ターボ資本主義:市場経済の光と闇』がある。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ルトワック,エドワード
ワシントンにある大手シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)の上級アドバイザー。戦略家であり、歴史家、経済学者、国際アドバイザーとしての顔も持つ。国防省の官僚や軍のアドバイザー、そしてホワイトハウスの国家安全保障会議のメンバーを務めた経歴もあり。米国だけでなく、日本を含む世界各国の政府や高級士官学校でレクチャーやブリーフィングを行う。1942年、ルーマニアのトランシルヴァニア地方のアラド生まれ。イタリアやイギリス(英軍)で教育を受け、ロンドン大学(LSE)で経済学で学位を取った後、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学で1975年に博士号を取得。同年国防省長官府に任用される
奥山/真司
1972年生まれ。カナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学卒業。英国レディング大学大学院博士課程修了。戦略学博士(Ph.D)。国際地政学研究所上席研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
【書評】
4 コメント
ワシントンにある大手シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)の上級アドバイザー。戦略家であり、歴史家、経済学者、国際アドバイザーとしての顔も持つ。国防省の官僚や軍のアドバイザー、そしてホワイトハウスの国家安全保障会議のメンバーを務めた経歴もあり。米国だけでなく、日本を含む世界各国の政府や高級士官学校でレクチャーやブリーフィングを行う。1942年、ルーマニアのトランシルヴァニア地方のアラド生まれ。イタリアやイギリス(英軍)で教育を受け、ロンドン大学(LSE)で経済学で学位を取った後、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学で1975年に博士号を取得。同年国防省長官府に任用される
奥山/真司
1972年生まれ。カナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学卒業。英国レディング大学大学院博士課程修了。戦略学博士(Ph.D)。国際地政学研究所上席研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
【書評】
84 人中、77人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
投稿者 西 投稿日 2013/9/8
甘言、阿諛、ウソ、脅し、裏切り、毒盛り、暗殺、奇襲・・・という中国の文化と政治を書いている。われわれ日本人なら多かれ少なかれ知っている事柄だが、欧米人にはなじみのない中国のことだから、啓蒙の効果はあるだろう。しかし、多くの欧米人には「本当? ウソでしょう?」と、すぐには信じられないかもしれない。
中国の演劇とか小説のことにもふれてあれば、中国がどんな世界かわかりやすかったかもしれない。アメリカ人のラットク自身も、われわれが何となく知っている、こうした中国の政治文化や外交政策を理解するには、ずいぶんと時間と研究をしなくてはいけなかったのではと想像する。
しかし、たとえばこの戦後の日中関係、あるいは日中国交樹立以後の日中関係、だけをみても、中国の伝統がわかる。たとえば数日前の新聞報道によると、反日政策が強い反中感情を生み出したので、こんどは一般の日本人をターゲットに親中的態度や感情を培養醸成するという。微笑み、もてなし、平手打ち、足げり、罵り、甘言、握手、唾ふきかけ・・・と、ころころ手をかえる。
こうなると、騙す中国より、騙される日本が悪い。
中国は他者を政治的に支配しておかないと安心できない。冊封関係がそれである。まず甘言と賄賂からはいり、次は経済的に依存させ洗脳。最終的に中国の支配下におく。こうなるともう中国は遠慮会釈もなく、冷淡冷酷残忍なとりあつかいをする(第4章)。
中国の孫子の兵法をとりあげる。これは2500年以上もまえ春秋戦国時代時代の中国の状況から生まれたものだが、この時代の中国内は群雄割拠の時代である。
これはルネッサンス期のイタリアの国際政治とおなじく、文化的に等質でおなじ規模の国家からなりたっていた時代の産物であり、第一に相互に徹底した実利主義と日よみり主義で闘争と協調がなされる。第二に故意に挑発し交渉に持ち込もうとする。第三に虚偽や騙しや、それにもとづく奇襲や暗殺が正当化されあたりまえになっている。
いまの中国もこれをそのままいっている。
中国人はこの古代からの戦略に深い知恵があるものと信じて疑わず、これさえあれば欧米などをあやつれ、優位にたてると考えている。キッシンジャーはこの中国の考えに敬意をはらう人間だ(第9章)。(ただし、この本には書いてないが、キッシンジャーはかって中国を嫌悪軽蔑していた。)
なお、著者は言っていないが、脅し、甘言、賄賂、裏切りなどは、中国人どうしの対人関係でも用いられる常套手段だ。だから中国は信用度の低い社会で、ご存じのとおり日本では考えられないことが起きている。
最近の習近辺の主席就任でも、随分なパワー・ポリティックスがあったらしい。いまの薄煕来の裁判も法の正義が実現されるのではなく、政治裁判のショーだ。
こうした中国のあきれるばかりの現金でお粗末なやり方は、かえって信用低下をまねき、中国にたいする公式非公式の包囲網を自然と形成させた。第13章以下ではオーストラリア、日本、ヴェトナムなどの中国への警戒がのべられる。
ただこうしたなかで、事大主義・朱子学ファンダメンタリストの韓国だけは中国にすり寄った(第16章)。その立派な口先とはうらはらに、自分は安全保障のコストをはらわずに、ただ乗りするありさまが書かれている。北朝鮮の核問題をどれだけ真剣に考えているのだろうか。
(韓国の政策からして、もう日本は韓国を朝鮮半島唯一の正統政府をみとめる理由や義務はなくなった。北が核を放棄し、拉致問題を解決すれば、アメリカが強く反対しないかぎり、北ももう一つの正統政府と考えていいのではないだろうか。)
中国がその表面とは違い、実態は多くの脆弱性をもつことは、近年欧米でもさかんに指摘されるようになった。最後に著者は、この本はいままでどおり中国が成長していうという前提で議論をすすめてきたと断り、この前提に立ちはだかる中国の現実問題にふれる。
著者は中国の民主化に望みをつないでいるが、社会が豊かになれば民主化するわけではない。これが欧米人の考えの弱いところだ。中国の中産階級は西欧の中産階級と違い、歴史上王朝権力を支持してきた。いまは共産党政府を支持している。また民主化した中国が親日とか親欧米だとは限らない。やはり中華的だろう。
この本の主題からすれば小さなことだが、著者には欧米人のあいも変らぬロシアについての無理解がある。ロシアはその歴史的経験から中国を大変警戒している。ロシアが伝統的にタタールの軛を離れ、ヨーロッパに復帰したいというその深層に理解がおよばぬようだ。ロシアはヨーロッパでありたいのだ。
この本のどこかで著者は、中国は日欧米から貿易で管理的に差別されれば、ロシアから資源を買いつけることによって、問題を解決できるとしている。しかし資源の爆食国家中国に資源さえあればいいというものではない。資源を魅力ある製品化する効率的技術とか、その製品の販路販売の市場といった点で、ロシアが日欧米に代れるわけではない。
中国は無差別公平な由貿易により大いにうるおい、かつ巨大化してきた。逆に、著者もいっているように、中国にたいし管理貿易をおこなえば、中国は大いに損をして弱体化する。この案は、著者に限らず、多くの人にも論じられている。
中国の演劇とか小説のことにもふれてあれば、中国がどんな世界かわかりやすかったかもしれない。アメリカ人のラットク自身も、われわれが何となく知っている、こうした中国の政治文化や外交政策を理解するには、ずいぶんと時間と研究をしなくてはいけなかったのではと想像する。
しかし、たとえばこの戦後の日中関係、あるいは日中国交樹立以後の日中関係、だけをみても、中国の伝統がわかる。たとえば数日前の新聞報道によると、反日政策が強い反中感情を生み出したので、こんどは一般の日本人をターゲットに親中的態度や感情を培養醸成するという。微笑み、もてなし、平手打ち、足げり、罵り、甘言、握手、唾ふきかけ・・・と、ころころ手をかえる。
こうなると、騙す中国より、騙される日本が悪い。
中国は他者を政治的に支配しておかないと安心できない。冊封関係がそれである。まず甘言と賄賂からはいり、次は経済的に依存させ洗脳。最終的に中国の支配下におく。こうなるともう中国は遠慮会釈もなく、冷淡冷酷残忍なとりあつかいをする(第4章)。
中国の孫子の兵法をとりあげる。これは2500年以上もまえ春秋戦国時代時代の中国の状況から生まれたものだが、この時代の中国内は群雄割拠の時代である。
これはルネッサンス期のイタリアの国際政治とおなじく、文化的に等質でおなじ規模の国家からなりたっていた時代の産物であり、第一に相互に徹底した実利主義と日よみり主義で闘争と協調がなされる。第二に故意に挑発し交渉に持ち込もうとする。第三に虚偽や騙しや、それにもとづく奇襲や暗殺が正当化されあたりまえになっている。
いまの中国もこれをそのままいっている。
中国人はこの古代からの戦略に深い知恵があるものと信じて疑わず、これさえあれば欧米などをあやつれ、優位にたてると考えている。キッシンジャーはこの中国の考えに敬意をはらう人間だ(第9章)。(ただし、この本には書いてないが、キッシンジャーはかって中国を嫌悪軽蔑していた。)
なお、著者は言っていないが、脅し、甘言、賄賂、裏切りなどは、中国人どうしの対人関係でも用いられる常套手段だ。だから中国は信用度の低い社会で、ご存じのとおり日本では考えられないことが起きている。
最近の習近辺の主席就任でも、随分なパワー・ポリティックスがあったらしい。いまの薄煕来の裁判も法の正義が実現されるのではなく、政治裁判のショーだ。
こうした中国のあきれるばかりの現金でお粗末なやり方は、かえって信用低下をまねき、中国にたいする公式非公式の包囲網を自然と形成させた。第13章以下ではオーストラリア、日本、ヴェトナムなどの中国への警戒がのべられる。
ただこうしたなかで、事大主義・朱子学ファンダメンタリストの韓国だけは中国にすり寄った(第16章)。その立派な口先とはうらはらに、自分は安全保障のコストをはらわずに、ただ乗りするありさまが書かれている。北朝鮮の核問題をどれだけ真剣に考えているのだろうか。
(韓国の政策からして、もう日本は韓国を朝鮮半島唯一の正統政府をみとめる理由や義務はなくなった。北が核を放棄し、拉致問題を解決すれば、アメリカが強く反対しないかぎり、北ももう一つの正統政府と考えていいのではないだろうか。)
中国がその表面とは違い、実態は多くの脆弱性をもつことは、近年欧米でもさかんに指摘されるようになった。最後に著者は、この本はいままでどおり中国が成長していうという前提で議論をすすめてきたと断り、この前提に立ちはだかる中国の現実問題にふれる。
著者は中国の民主化に望みをつないでいるが、社会が豊かになれば民主化するわけではない。これが欧米人の考えの弱いところだ。中国の中産階級は西欧の中産階級と違い、歴史上王朝権力を支持してきた。いまは共産党政府を支持している。また民主化した中国が親日とか親欧米だとは限らない。やはり中華的だろう。
この本の主題からすれば小さなことだが、著者には欧米人のあいも変らぬロシアについての無理解がある。ロシアはその歴史的経験から中国を大変警戒している。ロシアが伝統的にタタールの軛を離れ、ヨーロッパに復帰したいというその深層に理解がおよばぬようだ。ロシアはヨーロッパでありたいのだ。
この本のどこかで著者は、中国は日欧米から貿易で管理的に差別されれば、ロシアから資源を買いつけることによって、問題を解決できるとしている。しかし資源の爆食国家中国に資源さえあればいいというものではない。資源を魅力ある製品化する効率的技術とか、その製品の販路販売の市場といった点で、ロシアが日欧米に代れるわけではない。
中国は無差別公平な由貿易により大いにうるおい、かつ巨大化してきた。逆に、著者もいっているように、中国にたいし管理貿易をおこなえば、中国は大いに損をして弱体化する。この案は、著者に限らず、多くの人にも論じられている。
59 人中、54人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
投稿者 lexusboy トップ500レビュアーVINE メンバー 投稿日 2013/9/19
Amazonで購入
コメント 多くの情報量を手際よく整理し、ポイントを指摘する形になっていておもしろい。
著者がプレゼンをする相手によって、使う情報の質や置くポイントが違って整理されたペーパーができあがるのだろうと容易に想像される。
記述の中心はやはり中国であるが、各国との関係性を見るため、第13章から第21章まで各国編となっている(第14章が日本編)。
中国は自閉症的であり、他国の感覚や感情に鈍感であるとしているが、これはかなり納得できる説明である。
また、その戦略は孫子とか歴史的な書物に考え方が影響を受けている。しかし、歴史上漢民族が征服されている(過去1000年で漢民族が支配したのは明時代の200年だけ)のを見ても、孫子の考え方が適用するのは漢民族同士であり、他の民族には適用できないという過ちに中国が気づいていないとしている。
また、直接的なパワーを誇示すると、敵対的な対応を呼び起こし、パワー自体を損なうという逆説的な側面を持っているという。
日本に関する記述だが、
・(中国の独自の論理による誤った見方を基に)2010年9月の尖閣での漁船事件で中国が取った行動により、日本は中国との長期的関係を見直すことになったが、これは中国側の読み違いだという(故意に危機をあおることで解決できるとの見方)。...続きを読む ›
著者がプレゼンをする相手によって、使う情報の質や置くポイントが違って整理されたペーパーができあがるのだろうと容易に想像される。
記述の中心はやはり中国であるが、各国との関係性を見るため、第13章から第21章まで各国編となっている(第14章が日本編)。
中国は自閉症的であり、他国の感覚や感情に鈍感であるとしているが、これはかなり納得できる説明である。
また、その戦略は孫子とか歴史的な書物に考え方が影響を受けている。しかし、歴史上漢民族が征服されている(過去1000年で漢民族が支配したのは明時代の200年だけ)のを見ても、孫子の考え方が適用するのは漢民族同士であり、他の民族には適用できないという過ちに中国が気づいていないとしている。
また、直接的なパワーを誇示すると、敵対的な対応を呼び起こし、パワー自体を損なうという逆説的な側面を持っているという。
日本に関する記述だが、
・(中国の独自の論理による誤った見方を基に)2010年9月の尖閣での漁船事件で中国が取った行動により、日本は中国との長期的関係を見直すことになったが、これは中国側の読み違いだという(故意に危機をあおることで解決できるとの見方)。...続きを読む ›
66 人中、59人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
投稿者 ゆう 投稿日 2013/8/22
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