ロドス島の薔薇2・労経研

経世済民のために・・・

米政府と下院、16兆円景気対策で合意――4月にも減税実施

2008年01月25日 | 最新金融経済事情
(1/24)米政府と下院、16兆円景気対策で合意――4月にも減税実施

 【ワシントン=藤井一明】米政府と下院は24日、総額1500億ドル(約16兆円)の緊急の景気対策で合意した。上院との調整は残るが、2月中旬をメドとする対策の実現に前進した。減税の柱である所得税の還付による戻し減税は4月にも始まる見通しだ。一方、政府系の住宅金融会社による住宅ローン債権の買い取り枠を期限付きで広げることも盛り込み、住宅金融を拡充する姿勢を示した。

 ポールソン財務長官と民主党のペロシ下院議長が共同で発表した。対策に伴う財政出動は1000億ドルが個人向け、500億ドルは企業向けの減税にそれぞれ充てる。いずれも2008年に限った措置とする。ペロシ氏は「(対策が景気刺激に)不十分なら補う」と述べ、景気動向をにらみながら追加策を検討する考えを示した。ブッシュ大統領は声明を発表し、上院も含めて法制化を急ぐよう議会に改めて促した。

nikkei米経済の動向

 


東京圏へ人口流入、バブル期以来の高水準・07年、15万人超える

2008年01月25日 | 最新労働事情
東京圏へ人口流入、バブル期以来の高水準・07年、15万人超える

 総務省が25日に発表した住民基本台帳に基づく2007年の人口移動報告によると、東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)への転入者数が転出者数を15万5150人上回り、バブル期以来の高水準となった。東京圏での経済活動が活発なことを反映しており、高水準の住宅建設などが続く背景になっている。

 東京圏で転入超過が15万人を超えるのは1987年(約16万4000人)以来、20年ぶり。06年(約13万2000人)よりも2万人以上増え、3年連続で伸びた。

 東京圏は87年以降、地価高騰などにより人口流入が鈍り、バブル崩壊の影響もあって90年代中盤には流出超過になった。その後は地価下落に伴う住宅価格の「値ごろ感」が出たほか、景気回復も相まって流入超過に転じている。自動車産業を中心に活況が続く名古屋圏(愛知県、岐阜県、三重県)も転入超過になっている一方、大阪圏(大阪府、兵庫県、京都府、奈良県)は転出超過が続いている。 (21:10)   nikkei
25日


世界の労働者、5人に2人が「ワーキングプア」・ILO調べ

2008年01月24日 | 最新労働事情
世界の労働者、5人に2人が「ワーキングプア」・ILO調べ

 国際労働機関(ILO)は23日、2007年の世界雇用報告で、国連が「ワーキングプア」と定義する1日2ドル(約210円)未満で生活する労働者は07年に12億9457万人に及ぶと発表した。世界的な景気拡大の影響で前年から5%減ったものの、依然として労働者の43.5%、5人に2人強が貧困を強いられている実態を示した。

 ワーキングプアの割合は中東で19.3%にとどまる一方、サハラ以南のアフリカが85.4%、南アジアが80.3%など地域ごとのばらつきが大きい。

 昨年は世界全体で4500万人の雇用が創出され、雇用者数は約30億人と前年比1.6%増えたが、失業者数も1.6%増の1億8990万人。結果として失業率は前年から横ばいの6.0%にとどまり、雇用情勢の改善にはつながらなかった。(ダボス=市村孝二巳) (11:02)


日銀、政策金利据え置き・景気情勢を慎重に見極め

2008年01月23日 | 最新金融経済事情

政府・日銀の金融政策   

(1/22)日銀、政策金利据え置き・景気情勢を慎重に見極め

 日銀は22日の金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を全員一致で決めた。政策金利を年0.5%前後に据え置く。国内景気が減速し、株価も世界的に下落しており、景気情勢や市場動向を慎重に見極める必要があると判断したとみられる。福井俊彦総裁が午後に記者会見し、政策判断の背景を説明する。

 日銀は2007年2月に利上げした後、政策金利を維持している。今回は改正建築基準法の施行に伴う住宅投資の減少や、原油高などによる企業収益の圧迫もあり、今後も緩和的な金融環境を維持する必要があるとの意見が大勢を占めたもようだ。金融・資本市場も依然として不安定との認識を持ったとみられる。

 会合では昨年10月末の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で示した経済成長率などの見通しについて、状況に変化があるかを中間評価。日銀は12月に景気判断を下方修正しており、景気の下振れ要因を重点的に検証した。


社説 米経済の減速にどう対処すべきか(1/20)

2008年01月23日 | 最新金融経済事情
NIKKEI社説 米経済の減速にどう対処すべきか(1/20)

 2008年の経済が挑戦を受けている。サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題で米経済がどれだけ減速するか。けん引役として期待される新興国にどの程度の影響が及ぶか。そして日本は土俵際で踏ん張れるか。経済運営に求められるのはそんな危機感だ。

重層的なリスク拡散

 今日の世界経済と金融市場の姿を1年前に指摘した人がいたら、大笑いされただろう。それほどグローバル経済を取り巻く環境は一変した。例えば1月23日に始まる世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)。世界経済の死角はないかが昨年のテーマだった。今年はリスク評価が10年ぶりの高水準。なかでも金融の連鎖破綻リスクや資産価格の下落は、下手すると1兆ドル超の損失を招く最大の懸念事項とされる。

 米国のサブプライムは問題の震源地である。どのくらい損失が膨らんだのか。バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は17日、「現時点では1000億ドル(約10兆7000億円)の焦げ付きだが、数倍に膨らむ可能性がある」と議会証言した。

 米大手金融機関のシティグループやメリルリンチは昨年10―12月期にそれぞれ1兆円を超えるサブプライム絡みの評価損を計上した。住宅融資が焦げ付けば担保不動産は差し押さえられ、競売にかけられる。すでに下げだした住宅価格が、その過程で一段と下落する公算が大きい。

 住宅ばかりでなく、商業用不動産の雲行きも怪しい。関係者が気をもむのは、全米で700近いショッピングモールを保有する豪不動産投資信託運用会社の資金繰りだ。2月半ばには39億豪ドル(約3700億円)の借金返済の期日が迫る。万一のことがあると、物件の処理がかさみ商業用不動産の市況を悪化させる。

 証券化商品などを信用保証してきた、モノラインと呼ばれる金融保証会社も揺らいでいる。業界大手のアムバック・フィナンシャル・グループは18日、格付け会社フィッチ・レーティングスに格付けを下げられた。最上格の格付けを持つ金融保証会社による証券の保証額は2兆ドル以上。保証会社が格下げされれば、証券の信用力も落ち、証券を保有している投資家も相当な損失を被る。

 米国がダメでも、ブラジル、ロシア、インド、中国のBRICsなど新興国は好調である。こんなデカップリング(非連動)論をよそに、新興国の株価はこのところ大幅に下げている。米景気減速で新興国から米国への輸出が鈍化しないかという心配がひとつ。事実、アジアから米国への船荷は頭打ちとなっている。

 もうひとつ気になるのは、米投資家が海外の株式や債券を売り始めた点だ。昨年11月時点で米国の対外証券投資は売り越しに転じた。株式が売り越しになっているのは日本ばかりでなく、韓国なども同様。米国発の信用収縮が起きかねない。

 ブッシュ政権は18日、個人、企業向け緊急減税をはじめ総額1500億ドルの緊急経済対策を発表した。バーナンキFRB議長も17日の議会証言で財政出動に異例の支持を表明し、「金融政策も必要に応じて大幅な追加措置をとる」と強調した。

 一連の措置を歓迎したいが、雇用、消費、企業収益など全般に減速局面に入る米景気を反転させられるかは微妙だ。金融機関の破綻が深刻な経済危機を招いた1997年の日本のような事態の回避に、米政府とFRBは全力をあげてもらいたい。

 日本にとっても人ごとではない。福田康夫政権から真剣な危機意識が伝わってこないのは遺憾だ。

成長戦略の中身こそ

 18日の施政方針演説では首相は成長加速への3本柱を提唱した。革新的技術創造戦略、グローバル戦略、成長を実感できる全員参加の経済戦略と言われても、抽象的すぎて何のことやらそれこそ実感できない。

 17日に経済財政諮問会議が打ち出した中期見通し、「日本経済の進路と戦略」も同様の問題を抱えている。諮問会議によると、改革を進めれば11年度の名目国内総生産(GDP)は574兆円となる。07年度の実績見込みは516兆円。4年後にGDPが58兆円も増える勘定である。本当だろうか。

 産業別GDP(付加価値)でみると、基幹産業である電機が17兆円、自動車など輸送機械は14兆円だから、毎年、電機や自動車に匹敵する産業を生み出す必要があるのだ。あるいは北海道と東北地方に匹敵する経済を4年間で新たに創出しなければならない。どのようにしてこの課題を達成するのか、政府と諮問会議はもっと具体的に語るべきだ。

 そうでなくとも、日本の経済政策への信認は低下している。株価に一喜一憂しないというのも良いが、政策が株安の要因とすれば罪は重い。ダボス会議は絶好のチャンスである。福田首相はこれらの疑問に自分の言葉で答えてほしい

Copyright 2008 Nikkei Inc.

 


Soros: world faces worst finance crisis since WW2

2008年01月22日 | 最新金融経済事情

VIENNA, Jan 22 (Reuters) - Billionaire investor George Soros said the world was facing the worst financial crisis since World War Two and the United States was threatened with recession, according to an interview with the Austrian daily Standard.

"The situation is much more serious than any other financial crisis since the end of World War Two," Soros was quoted as saying.

He said over the past few years politics had been guided by some basic misunderstandings stemming from something which he called "market fundamentalism" -- the belief financial markets tended to act as a balance.

"This is the wrong idea," he said. "We really do have a serious financial crisis now."

Asked whether he thought the United States was headed for a recession, he said: "Yes, this is a threat in the United States".

He added he was surprised how little understanding there had been on how recession was also a threat to Europe.

European shares fell nearly 6 percent on Monday, their biggest one-day slide since the Sept. 11 attacks of 2001, as fears of a U.S. recession and more write downs in the financial sector sparked a broad-based selloff. (Reporting by Karen Strohecker)

 

 


年金制度試案

2008年01月17日 | 最新労働事情

※資料

日経「年金制度改革研究会」が検討した4つの試案

研究会案 

 

共通年金の税方式
基礎年金の税方式化案 現役世代の負担軽減
 最有力とした研究会案は、現制度の基礎年金部分を「共通年金」に改め財源を保険料から消費税に切り替える考え方だ。

 試案の利点は簡明で公平な制度になることだ。制度移行後は「共通」の名が示すように職種、収入にかかわらず年金受給者に一律額を支給する。

 今は会社勤めは厚生年金、自営業者は国民年金などと別の年金に分かれて制度が複雑となっている。未納による国民年金の財政力不足を厚生年金の余資で補い、見えない不公平が生じている。

 消費税財源ならば保険料を払わず年金を受け取る会社員世帯の専業主婦など「第三号被保険者」も相応の負担をする。

 考慮すべき点もある。たとえば保険料を払わずに無年金となり生活に困っている高齢者も、新制度による年金目的の消費税を払う。そうした人の救済策をどうするかだ。

 共通年金の上には、個々の働き手が拠出する報酬比例年金が乗る格好になる。この制度設計については具体的に詰めず、今後の検討課題とした。

 試案(1) 
社会保険方式を改良
社会保険方式の改良案 徴収強化に決め手なく
 研究会が検討した試案の第1は現行の社会保険方式を改良する方法だ。

 まずデフレで停止中の「マクロ経済スライド」をより機動的に適用し、給付抑制を進める。高齢化の進展などによる現役世代の負担増を避けるために給付額の上昇幅を抑える仕組みだが、今は賃金や物価の伸びが低迷し、発動できずにいる。

 高齢化は2004年年金改革の想定以上に進んだ。23年以降も年金額を現役世代の平均収入の50%強に保つ目標も修正が避けられない。

 給付を維持し、年金保険料の上限を高くする選択肢もある。厚生年金の現制度は料率が年収の18.3%(労使折半)に達する17年以降は料率が上がらない仕組みだ。

 この試案の利点は制度変更の混乱が小さいこと。基礎年金の国庫負担比率を2分の1に上げる財源を除いて増税も必要ない。半面、保険料徴収の強化策に決め手はなく、未納問題の解決は非常に難しい。強制加入の「国民皆年金」は空文化したままとなる。

 試案(2) 
最低保障分のみ税投入
社会保険方式の所得比例年金を基本に税方式の最低保障年金で補完する案 所得把握が課題に
 2つ目の試案は現役時の所得に比例する社会保険方式の年金を基本に、無年金者・低年金者に対しては税財源による最低保障年金を組み合わせる案だ。サラリーマンと自営業者の制度も一元化を想定する。スウェーデンの制度に近い。

 基礎年金の財源の3分の1を税に頼る現行制度に比べ、保険方式が原則なので給付と負担の関係はより明確。一方、税方式で「公的扶助」の性格を持つ最低保障年金は低所得者への安全網として機能し、「国民皆年金」も達成できる。経済や社会の大きな変化に応じて給付額を調整する「マクロ経済スライド」や仮想的な賃金上昇率を基にした「みなし積み立て方式」も選択肢となる。

 一方、日本は所得捕捉の問題があるため自営業者の年金をサラリーマンと一元化するのは容易でない。一般的に女性の就労期間も短く、所得比例年金は低くなりがちだ。最低保障年金は生活保護との整合性も課題だ。

 試案(3) 
税方式に補完年金追加
共通年金の税方式化案 低所得者救済、制度は複雑
 3つ目の試案は、最有力とした研究会案に低所得者向けの「補完年金」を加えた発展形だ。所得制限を設けずに定額を給付する税方式の「共通年金」で未納・未加入問題を解決する点は研究会案と同じ。この共通年金に引退後の所得に比例する補完年金を乗せる。カナダの制度に近い。

 現行制度とほぼ同水準の年金額を保証する一方、研究会案に比べ共通年金部分の税投入額を低く抑える。その代わり、補完年金で所得比例部分の保険料を払えない低所得者を救済する。カナダと同様に高所得の年金受給者には年金給付の一部または全額を国庫に返納する「クローバック・システム」を導入する選択肢も考えられる。

 半面、研究会案に比べ制度は複雑で難解だ。試案(2)と同様に、所得をどう捕捉するかという問題も残る。共通年金の額が現行の基礎年金の満額(月6万6000円)より大幅に低い場合、理解を得にくい可能性もある。

 Copyright 2008 Nikkei Inc.

 「年金制度改革研究会」が検討した4つの試案

 


年金改革

2008年01月17日 | 最新労働事情

    ※資料

    持続性高め 信頼回復税率5%上げ、保険料廃止

     日本経済新聞社は、年金制度改革に関する報告をまとめた。少子高齢化の加速や保険料未納問題の深刻化で制度維持が難しくなりつつある状態を立て直すために、基礎年金の財政運営を社会保険方式から税方式に移行させるよう求めている。給付総額19兆4000億円(2009年度)の財源すべてを消費税で賄うことにし、保険料を充てている12兆円分を消費税に置き換える。このため税率を5%前後引き上げる。保険料は廃止するので全体の負担は変わらない。制度の持続性を確実にするとともに無年金者をなくすのが狙いだ。
     
    未納問題や不公平解消 

     


     

     現行の公的年金は制度への国民各層の不信感の高まりに、社会保険庁による加入記録のずさんな管理が重なって保険料の未納問題が深刻化し、制度維持が危ぶまれている。福田康夫首相は年金改革を中心に社会保障制度を議論する国民会議を近く新設する。

     日本経済新聞社は国民的な議論の参考になることを期し、論説委員会と東京本社編集局が主体となり、07年9月に「年金制度改革研究会」を発足させた。外部有識者の意見を聞きながら議論を重ね報告をまとめた。

    研究会報告の骨子 たたき台として4つの改革案を検討した。4案は(1)社会保険方式に改良を加える(2)全国民の年金を一元化して最低保障部分に税財源を充てる(3)基礎年金を税方式にして低年金者に税財源による補完年金を支給する(4)基礎年金すべてを消費税を財源とする税方式に移行させるというものだ。

     それぞれの利点と問題点を子細に比較した。その結果、国民にわかりやすく、未納問題を解決して国民皆年金の体制を名実ともに整えるには(4)の「基礎年金の税方式化」が優れているとの結論に達した。外部有識者には「保険方式維持」や「税財源による補完年金の併給」を推す意見があった。

     現行の基礎年金制度は、20歳以上60歳未満の日本に住むすべての人に加入の義務がある。新制度は基礎年金(厚生年金と共済年金の受給者の基礎年金部分を含む国民年金)について、日本でたとえば10年など一定期間を暮らした人が受け取る年金とする。仮称は「共通年金」とする。月額給付は満額の場合で6万6000円と、いまの基礎年金と同じとする。

     年金目的の消費税に置き換える12兆円分を軽減税率の導入を考慮せずに計算すると、税率上げ幅は5%前後になる。移行時は引き上げを2回に分けるなど経過期間を設ける。高齢化と長寿化による受給者増で将来は5%から、さらに上げざるを得ないとみられるが、給付総額との見合いで上げ幅は国民の選択に委ねられる。現在、国民年金で月1万4100円の保険料負担はなくなる。

    年金2

     税方式年金の利点は第一に、保険料の未納問題を解決できる。国民年金の未納率は34%、免除や猶予を含めた実質未納率は51%に達している。財源を年金目的の消費税に置き換えれば未納・未加入者などを含めて、すべての人が消費に応じて必ず負担するため未納問題は解消し、無年金に陥る人をなくせる。

     第二に、負担の不公平を是正できる。いまは保険料を払っていない会社員世帯の専業主婦も消費税を払うため、世代内の不公平が緩和される。年金を受給している高齢世代も税を負担するので世代間の不公平も和らぐ。

    年金1

     第三に、所得の多寡にかかわらず定額を払う国民年金の保険料より、消費額の一定割合を払う消費税のほうが所得が低い人の負担の度合いが軽くなる傾向がある。第四に、社保庁の徴収部門が大幅に縮小され、年金に関する国の執行体制を効率化できる。

     これらの利点が相乗効果を発揮し、年金への信頼を取り戻せる。現役世代にとっては引退後の生活設計がしやすくなる。

    10年間居住 支給要件に
     厚生年金は基礎年金の保険料半額を事業主が払っている。総額は年3兆7000億円。企業部門はこの分が負担減となり、家計部門の負担は増す。企業の負担軽減分はパートや契約社員など非正規労働者を厚生年金にもっと加入させるための原資に充てるようにする。

     保険料を原則25年払わなければ受給権が得られない最低加入要件は大幅に短縮する。米、英や税方式年金を採用している加、豪などを参考に、たとえば最低10年間、日本に住めば受給権を得るようにする。40年居住で満額支給とする。

    研究会のメンバー
     日本経済新聞社は2007年9月に「年金制度改革研究会」を
    研究会のメンバー
    本社研究会で議論する外部委員の(左から)西沢氏、土居氏、宮島氏
    設置し、少子高齢社会のなかで最大の課題であり、「ねじれ国会」の政治的争点でもある年金制度改革について具体的な提案を検討してきました。同12月まで12回会合を開き、経済財政諮問会議の八代尚宏議員(国際基督教大学教授)からも同会議の民間議員提案について聞く機会を設けました。
     研究会のメンバーは以下の通りです。
     【社内委員】主幹・岡部直明、東京本社編集局長・高橋雄一、論説委員長・平田育夫、論説副委員長・滝田洋一、論説委員・渡辺俊介、編集局次長・長谷部剛、編集局次長兼政治部長・原田亮介、経済部長・宮本明彦、編集委員兼論説委員・大林尚、編集委員兼論説委員・菅野幹雄、ヴェリタス編集部次長・奥村茂三郎
     【外部委員】宮島洋早稲田大学法学学術院・法学部教授、西沢和彦日本総合研究所調査部ビジネス戦略研究センター主任研究員、土居丈朗慶応義塾大学経済学部准教授



     移行は20— 40年の経過期間を設け負担の不公平を円滑に解消する。移行前に保険料を払っていた人には支払期間に相当する受給権を旧制度に基づき確保。移行後は60歳までの居住期間に応じた額を旧制度分と合わせて支給する。未納期間があれば給付は少なくなるが、移行時に限り未納分の一括払いを認める。

     無年金や極端な低年金で生活に困るような高齢者への配慮も課題だ。生活必需品に軽減税率を導入しそれらの人々も困らないようにする、または新制度のなかで特別な救済策を工夫するなどだ。

     共通年金は所得による給付制限は設けないが、高所得の高齢者には所得税の公的年金等控除の縮小で年金課税を強め実質的に給付を抑える。それによる税収増分は再び年金の財源に繰り入れる。

    成長戦略の充実不可欠
     現在、基礎年金の支給開始年齢は原則として65歳。将来の消費税負担が過重になるのを防ぐために、67歳などにさらに上げることが課題になる。雇用期間の延長も必要だ。

     より根本的には、経済成長を促す政策や少子化対策に国を挙げて取り組むことが不可欠になる。また与野党は年金制度を政争の具とせず、長期的な視点に立ち、超党派で真摯(しんし)に議論し、制度改革の合意形成を目指すことが望まれる。

    Copyright 2008 Nikkei Inc. 

    基礎年金、全額消費税で・本社研究会報告  

     

     


    (1/16)米シティ、サブプライム損失2兆5000億円・欧米10兆円超す

    2008年01月16日 | 最新金融経済事情
    (1/16)米シティ、サブプライム損失2兆5000億円・欧米10兆円超す

     【ニューヨーク=財満大介】米大手銀行、シティグループは15日、2007年10―12月期決算で、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)に絡み、235億ドル(約2兆5000億円)の損失を計上したと発表した。米大手証券メリルリンチも損失計上が必至で、欧米大手金融機関20社の関連損失は合計で1000億ドルを超えたもよう。資本不足に陥るのを防ぐため、メリルはみずほコーポレート銀行などから、シティはシンガポールや中東から合計で200億ドルを超える出資を受け入れる。

     追加損失計上が続いているのは、金融市場でサブプライムローン関連の証券化商品の価格下落に歯止めがかからないため。シティの10―12月期の損失の大半は有価証券の評価損で、計181億ドル。さらに消費者ローンの貸倒引当金の増加などで54億ドルを計上した。シティは7―9月期にも64億ドルの関連損失を計上しており、合計の損失は約300億ドルに達した。

    NIKKEIニュース


    社説 変化を好機に変えるM&Aで成長を(1/15)

    2008年01月16日 | 最新金融経済事情
    社説 変化を好機に変えるM&Aで成長を(1/15)

     年明け早々、JFEホールディングスとIHIが造船事業を統合する交渉を始めたことが明らかになった。今年もM&A(合併・買収)が企業経営の大きなテーマになることは間違いない。米国景気の後退懸念や資源・エネルギー価格の高騰、株価の低迷など企業を取り囲む経営環境は不透明だ。しかし経営者は変化に振り回されるのではなく、変化を好機に変えるM&Aで企業の成長につなげてほしい。

    世界シェアは3%弱

     日本企業もM&Aを経営の選択肢として活用するようになったものの、世界市場では目立たない。金融情報会社のトムソンファイナンシャルによると、世界のM&A金額は昨年、約4兆4800億ドルとなり、過去最高を更新した。このうち日本企業がかかわった案件は3%弱にすぎない。株式の時価総額や国内総生産で日本は世界の約1割を占めており、経済規模に比べれば少ない。

     昨年夏、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の問題が表面化した。以来、欧米の金融機関はリスクの高い買収資金の貸し出しに慎重になっており、投資ファンドの資金調達力が低下した。このため世界的なM&Aブームはピークを過ぎたとの見方もある。

     だが財務体質が強く、業績も良い日本企業にとっては、むしろチャンスとの見方もできよう。合併・買収したい企業を巡ってファンドと競合する機会が減るなど、以前より安いコストでM&Aが成立する可能性が高まるからだ。帝人の長島徹社長も「逆張りの発想をすれば好機」と話す。キヤノンの内田恒二社長や三菱商事の小島順彦社長も、社内の年頭あいさつでM&Aに積極的に取り組む考えを伝えている。

     もちろんコストだけが成功の条件ではない。まず交渉前の段階で、中長期の事業戦略と課題を明確にしておくことが不可欠だ。どの事業を強化するかという基本方針を固めず、バブル時のように本業から離れた多角化をすると失敗しやすい。

     M&Aで業容を拡大してきた企業を見ると、日本電産の「モーター」や、住生活グループの「住宅関連事業の総合化」といったように、強化すべき事業の軸を明確にしていることが多い。キリンホールディングスは昨年、医薬事業強化のために協和発酵の子会社化を決めたほか、豪乳業大手を買収した。これも「食と健康」という同社の重点領域に沿った決断といえる。

     買い手に回るだけがM&Aではない。「選択と集中」のために不採算事業を売却したり、他社の資本や技術、経営ノウハウを導入したりするために売り手になることも前向きにとらえるべきだ。特に外国資本は導入拡大の余地が大きいだろう。

     M&A仲介のレコフによると、外国企業による日本企業のM&A件数は昨年、308件と過去最高を記録した。ただ、外国企業が自社株を対価に日本企業を買収できる「三角合併」は昨年5月に解禁されたのに、年内の成立は1件に終わった。米シティグループによる日興コーディアルグループの買収だけである。

     敵対的買収に備えて株式を持ち合う企業が増えてきた。だが投資家に成長戦略を示さず、内向きな印象を与えると国内外の資金を呼び込めなくなる。世界のお金の流れは大きく変化し、投資ファンドのほか、中国などの新興国や中東産油国が資金の出し手として台頭してきた。閉鎖的なイメージを変えて世界のマネーをひきつけるため、例えば日本を代表する航空会社を自任する日本航空が、外資から資本調達するといったことも一考に値するのではないか。

    成立後の経営が肝心

     改めて指摘するまでもなく、M&Aでは成立後の経営の成果が肝心である。同業者間のM&Aでは昨日までのライバル企業が合流するため、企業風土の違いから摩擦が生じ、期待した効果が出ないことも多い。

     日本電産の場合、永守重信社長が自ら買収先に乗り込んで陣頭指揮し、コスト削減や意識改革を進める手法が定着している。日立製作所から買収した日本サーボも前期まで2期連続で営業赤字だったが、買収後の半年で営業黒字に転換した。

     M&A成立後の経営に決まった方程式はない。建材大手トステムの創業者で、住生活グループ元会長の潮田健次郎氏は「買収で取り込んだ事業が軌道に乗るかどうかは、事業を誰に経営させるかによるところが大きい」と話す。その人選もトップの重要な仕事である。

     合併で両社のトップが会長、社長のポストを分けあう場合、2人がどれだけ密に意思疎通をするかで、新会社の融合が大きく左右される。両トップの経営方針が食い違ったままでは社内の分裂を招く。M&A成立後の経営方針を浸透させ、相乗効果を生む道筋をつけるのは経営トップの責任である。

    日経社説


    金融相、サブプライムで「邦銀の損失増えている」

    2008年01月16日 | 最新金融経済事情
    金融相、サブプライムで「邦銀の損失増えている」

     渡辺喜美金融担当相は16日、新潟県三条市内で記者会見し、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)関連の邦銀の損失に関し、「一般的な傾向として減っていることはあり得ない。増えていると思う」と述べた。その上で「現時点で日本の金融システムに大きなダメージを与える状況ではないが、油断は大敵だ」と指摘した。

     金融庁は昨年12月、全国の金融機関が保有するサブプライム関連の証券化商品の残高が同9月末時点で1兆4070億円に上り、損失額は約2760億円に達したと公表していた。金融相はこの損失額がさらに膨らむ可能性があるとの見通しを示した。

     金融相は来年度に創設を目指す地域力再生機構についても言及。「企業再生という点だけではなく、地域という面の再生をもくろんだ新しい取り組みで、地域の活性化に大いに役立ててほしい」と述べ、地域金融機関へ積極的な活用を促した。 (14:31)金融相、サブプライムで「邦銀の損失増えている」

     渡辺喜美金融担当相は16日、新潟県三条市内で記者会見し、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)関連の邦銀の損失に関し、「一般的な傾向として減っていることはあり得ない。増えていると思う」と述べた。その上で「現時点で日本の金融システムに大きなダメージを与える状況ではないが、油断は大敵だ」と指摘した。

     金融庁は昨年12月、全国の金融機関が保有するサブプライム関連の証券化商品の残高が同9月末時点で1兆4070億円に上り、損失額は約2760億円に達したと公表していた。金融相はこの損失額がさらに膨らむ可能性があるとの見通しを示した。

     金融相は来年度に創設を目指す地域力再生機構についても言及。「企業再生という点だけではなく、地域という面の再生をもくろんだ新しい取り組みで、地域の活性化に大いに役立ててほしい」と述べ、地域金融機関へ積極的な活用を促した。

     NIKKEI (14:31)

    社説1 日経平均株価1万4000円割れの警告(1/16)

     日本株安がとまらない。昨年から不安定な足取りを続けていた日経平均株価は15日、1万4000円をも割り込んだ。2年2カ月ぶりの安値である。米欧やアジア諸国などに比べても振るわない日本株は、暗雲が垂れこめる景気やおぼつかない政策運営に対する市場からの警鐘であるようにもみえる。

     下げ止まらない株価には複合的な理由がある。何よりも景気の不透明感。長期平均を100とした経済協力開発機構(OECD)の景気先行指数でみて、2007年11月の日本は95.0と前年比6.3ポイント落ち込んだ。ユーロ圏は98.1、米国は100.1だ。先行指数には株価が含まれており数字を誇張するきらいはあるが、全般的に日本の景気は米欧に比べても振るわない。

     しかも日本の成長のけん引役は外需、株式市場の主役は外国人投資家と、「外頼み」の色彩が強い。そのため、米景気と市場が揺らぐと、市場の不安心理が増幅されやすい。とりわけ15日は米国でシティグループの07年決算の発表を控え、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)に関する損失への疑心暗鬼が募っていた。

     額賀福志郎財務相は米銀決算に警戒感を示した。米欧勢より少ないとされた日本の金融機関の損失についても、福井俊彦日銀総裁は15日の日銀支店長会議で「当初の想定に比べ拡大している」と認めた。みずほコーポレート銀行などは米メリルリンチに出資することになったが世界的に損失の全体像がつかめないなか、一連の資本増強策で市場が安心感を取り戻しつつあるとは言い難い。

     衆参ねじれ国会で日本の政局が混迷していることも、市場心理を慎重にさせている。新年度予算が速やかに成立するかばかりでなく、3月の07年度末を超えると失効する「日切れ法案」が今年度内に成立するか、国会同意人事である日銀新総裁が円滑に任命されるか。経済運営の根幹にかかわる事柄が不透明なままだと、景気失速、政治混迷、株価下落の悪循環が起きる恐れもある。

     07年度の日本の実質成長率は政府の実績見込みで1.3%と、1年前の政府見通しを大幅に下回った。内閣府の試算によれば、11年度の名目成長率は3.3%と昨年8月の試算を0.4ポイント下回り、黒字化をうたっていた11年度の基礎的財政収支は赤字を抜け出せないという。国と地方が抱える長期債務は国内総生産(GDP)の約1.5倍。本当に大丈夫なのか。市場が問うているのは、まっとうな政策運営だろう。

    日経社説

     


    生保営業報酬

    2008年01月15日 | 最新労働事情

    明治安田、生保営業「固定給」に・10月から、離職に歯止め

     明治安田生命保険は保険を販売する営業職員の給与制度を見直す。いまは契約の獲得額に応じて支払う歩合給中心だが、10月から、月1―2件の契約獲得などを条件に固定給を厚くする。安定した収入を得られるようにすることで優秀な人材を確保、頻繁な離職に歯止めをかける。契約獲得を優先する仕組みをやめれば、アフターサービスへの努力も給与に反映でき、保険金不払い防止につながる。歩合給中心の保険営業のあり方が大きく変わる可能性が出てきた。

     明治安田は見直し案を労働組合に提示した。約3万1000人いる全営業職員が対象。入社5年目までは月1件、入社6年目以上なら月2件の契約獲得などが条件。これを満たせば現在の月7万円弱の固定的な給与を、月17万円に引き上げる。(07:01)


    日雇い派遣

    2008年01月14日 | 最新労働事情

    社説2 日雇い派遣の見直しが必要(1/14)

     日雇い派遣をめぐる違法行為が相次いでいる。厚生労働省はグッドウィルが労働者派遣法で禁止する業務への派遣などを繰り返していたとして、全事業所を業務停止にした。「佐川グローバルロジスティクス」など3社は日雇い派遣社員をさらに別会社に派遣する二重派遣をしていたとして事業改善命令を受けた。昨年夏にはフルキャストが違法派遣で事業停止処分を受けている。

     違法行為に厳正に対処するのは当然である。違反が頻発する業界の体質改善を急がなければならない。日雇い派遣という雇用形態の運用の仕方に問題があるとの見方も多い。この点の見直しも必要になろう。

     派遣会社から仕事を紹介され、1日契約で働く日雇い派遣は違法ではない。だが、派遣法制定当初に想定したのは通訳などの専門職だった。多くの若者が運送業などで働くようになったのは、製造業への派遣が解禁された2004年ごろからだ。いま様々な問題が表面化している。

     雇用が非常に不安定。単純労働のうえ派遣会社がマージンを取るので賃金が低い。社会保険にも入れない。技能が身につかない。一度こうした生活に入ると抜け出すのは容易ではない……。問題は多いのに、日雇い派遣の実態について全体像を示すような調査はないに等しい。

     厚労省が昨年夏に実施した調査では、日雇い派遣労働者5万1000人のうち75%を20代と30代が占めた。適当な定職がなく安易にこうした働き方を選ぶ若者がいるのは確かだ。企業にとっても便利な存在かもしれない。だが、現状を放置すれば、少子化で労働力が減るなか、社会の中核をになうべき若者が職業能力を磨く機会もなく、年老いて社会の“お荷物”になる可能性すらある。

     職業教育や訓練の拡充に加えて、日雇い派遣を受け入れる企業側も少子化をみすえた長期的視点と倫理観を持って問題に対処すべきではないか。働き手を企業に送り込む派遣会社の節度も大いに問われる。

     厚労省は今年度中に、情報の公開や効果的な指導を行うための省令、指針を整備することを決めた。さらに実態をきちんと調査し、より望ましい法制度を整えるために議論を詰める必要がある。

    日経社説


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