らば~そうる “IN MY LIFE”

旅、音楽、そしてスポーツのこと。過去、現在、そして未来のこと・・・「考えるブログ」。

568.ビートルズ・‘LET IT BE’のベース

2007-05-27 | 12.THE BEATLES
【FILM “LET IT BE”より】

 ビートルズ・ファンのかたの中には、映画“LET IT BE ”をご覧に
なったかたもいらっしゃるかと思います。‘Let It Be ’の場面では
ポールがブリュートナーのグランドピアノで弾き語りをし、ジョンが
フェンダーの6弦ベースを持ち、ジョージがテレキャスターを抱え、
リンゴがラディックのドラムスを叩き、そしてあのビリー・プレスト
ンがオルガンでサポートする・・・。そんなイメージが印象に残って
いるのではないでしょうか。

 そんな強い印象の中で疑問がわいてくるのです。それは「‘Let It
Be’のレコードやCDのベースの音は誰が弾いたものなのか」という
疑問です。「ジョンでしょ。だって映画でそうなっていたじゃん。」
確かにそうですね。しかし、レコードやCDの中で確認できる「音」
を分析すると、ポールなのかな・・・と思ってしまうのです。という
ことは、この映画のコンセプトのひとつであった「オーヴァー・ダビ
ング無し」というルールが破られてしまったということなのですね。

 問題の箇所はここです。‘And when the broken hearted people’
で始まる2回めのヴァースAの‘For though they may be parted ’
の前からベースが入りますが、その次の4小節の最後の部分‘There
will be an answer let it be ’の“let it be ”の箇所のベースの
フレーズに着目してみてください。

 前フリが長くなりました。具体的に申し上げますね。映画の中では
問題の箇所をジョンが「F→G→C→B」と4分音符で弾いています。
レコード・CDではどうでしょうか。問題の箇所の音は、8分音符を
交えながら「F→EDCCCB」と演奏されています。「簡易譜面」
で表記してみましょう。

【簡易譜面】

 小節      1    2    3    4      

 コード     C  G  Am F  C  G  F  C

 映画      C  G  A  F  C  G  F G C B 
           ~  ~  ~    ~  ~ ~  ~
         _       _       __  
 レコード・CD C  G  A GF C C EG  F EDCCCB


 まず、使用音域が異なることがわかります。映画では低音域ですが
レコード・CDでは1オクターヴ高い音域にラインが集中しています。
また、ジョンは「問題の箇所」のコード進行を、「ドミナント終止」
(もちろんジョンは「ドミナント終止」ということを意識せず単純に
「F→G→C」ととらえていた)と解釈しています。しかしレコード
CDの音では「サブドミナント終止」と解釈していることを確認でき
るのです。

※ドミナント終止、サブドミナント終止については、以前この記事
 ご説明いたしましたので、ご確認ください。

 ‘Let It Be ’は1969年 4月30日と1970年 1月 4日にオーヴァー・
ダビングが施されていますが、前者はギターだけ、後者はジョンが不
参加であることが記録に残されています。従って、レコード・CDの
ベースは「ジョンの弾いた音」を「ジョン以外の誰かが弾いた音」に
差し替えられたことが推測できます。ポールのリッケンバッカーの音
のような気もしますが、いかがでしょうか。 

 真相はいかに・・・。


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4 Comments

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6弦ベース (くまみちゃん)
2007-05-28 21:19:00
ところでボクは6弦ベースって弾いたことないのですが、4弦ベースがギターの3~6弦と同じチューニングであるように6弦ベースは全くギターと同じチューニングなんでしょうか?
返信する
河合奈保子風に「はいっ!」 (さらぽわ)
2007-05-28 23:37:19
to:くまみちゃん

てことは、4弦ベースは弾いたことあるのですね。
さすがくまみちゃん。すごい♪

チューニング。
FenderⅥの時代はまったくその通りです。
音域は通常ギターの1オクターブ下。

ただ、最近の6弦ベースは複雑になっているみたい
ですよ。
通常の5弦ベースのチューニング(5弦から)
「B-E-A-D-G」
に上の「C」を加えたりしているそうです。
この「C」も人によっては「B」にチューニング
したりして。もうわや♪

余談ですが、GS「オックス」の福井さんも
6弦ベースを使用していました。
返信する
完成形はジョン外しですね。 (みの)
2008-01-27 22:52:44
2度目の訪問でさかのぼってここまで読ませて頂きました。

過去に読んだ文献では確か2度目のオーバー・ダビングでジョンのベース(→ポール)、コーラスの取り直し(ジョン+ジョージからポール+ジョージに)+α(ジョージの2つ目のリードギター、オケ等)がなされていたと思います。この時点でジョンのコーラス&演奏はセッションテープから消えた、、、という事かな。

1つのテイクに2バージョン(レコードバージョンおよび映画バージョン)録音されていたマスターテープのトラックに直接上書きされた訳ですからもはや2度とジョンが参加した形での新リミックスは聞けないでしょう。オーバーダビング用にトラックを空ける必要はあったにせよ1回目で録音しなおしたジョージのリードギターは残したわけですから当時の人間関係も微妙に関係してたかもしれません。ジョンも制作に熱意を欠いていたと認めている訳ですから、ベストのコーラス、演奏とはいえなかったことも起因かも。。。

因みに未発表LPの「GET BACK」のバージョンは1度目のオーバー・ダビングだけでリミックスされているので4人+ビリー・プレストン参加という形で聞けます。
映画バージョンもステレオリミックスは聞いた事があるのでリミックスとしてはジョンの参加の跡が残ってますね。後ジョージのとりなおし前ボーカルバージョンの「FOR YOU BLUE」も。



返信する
記録と保存 (らば~そうる)
2008-01-28 23:37:50
to:みのさん

詳細なご説明、ありがとうございました。
興味が湧いてきますね。

やはりひとつひとつ記録を積み重ね
それを残すという地道な作業が後年につながるのだ
とこのエピソードから感じました。

返信する

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