らば~そうる “IN MY LIFE”

旅、音楽、そしてスポーツのこと。過去、現在、そして未来のこと・・・「考えるブログ」。

696.ビートルズ・エフェクト(#2:ADT)

2007-10-02 | 12.THE BEATLES
【写真:BOSS RCE-10 2007年09月30日17時10分撮影】

 1966年になると、ビートルズは単調で価値を生み出せないツアーに
関心を失い、レコーディングこそ自分たちの創造力を発揮できる場と
し、活動の場を主としてスタジオに移した。

 デビュー当時のシンプルなサウンドを「卒業」した4人は、スタジ
オで様々な「装置」を駆使して革新的なサウンドを常に生み出すため
実験を繰り返した。

 ADT(=Artficial Double Tracking)は、EMIスタジオの技術
部門のケン・タウンゼントによって1966年に開発された装置である。
ダブリングとは、サウンドを厚くさせたり一部を強調させたいときに
前に録音したパートと同じことを再度プレイすることによって、その
パートを二重にすることをいう。いわゆるレコーディング・テクニッ
クの一つで、ビートルズもよく採用していた。一時期、歌唱力に「難」
があったアイドル歌手が次から次へとデビューした時代があったが、
そのような場合、その難を隠すためによくこのテクニックが採用され
ていた。

 閑話休題。この装置が開発されるまでは、例えばヴォーカルをダブ
リングさせたい場合、ヴォーカリストはまず「OKテイク」を完成さ
せ、その後に「OKテイク」と寸分違うことのない「ダブリングのテ
イク」をさらに完成させる必要があった。これはまだマルチ・トラッ
ク・レコーディング技術が発展途上段階にあった1960年代では、きわ
めて労力を必要とする作業であった。タウンゼントの発明は、「OK
テイク」を1回だけ完成することによりダブリング効果を出すことの
できる画期的なものだったのである。

 この発明の恩恵を受けたのはジョンであった。“REVOLVER”では、
‘She Said She Said ’を除いて彼がヴォーカルをとる曲のほとんど
がADTを採用している。しかし、‘Taxman’のジョージのヴォーカ
ルや‘Here, There And Everywhere’のポールのヴォーカルは従来の
ダブリングである。しかし、ADTが発明されてからもADTによる
ダブリングと従来のダブリングが使い分けられていた点は興味深い。

 このADTを電子的にシミュレートしたエフェクターが1970年代に
登場したハーモナイザー、コーラスである。これらの装置が開発され
た発端がこのADTであったのである。1960年代の機材が豊富にない
時代に、このような発明をしたケン・タウンゼントの功績はきわめて
大である。



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