らば~そうる “IN MY LIFE”

旅、音楽、そしてスポーツのこと。過去、現在、そして未来のこと・・・「考えるブログ」。

1633.REVOLVERの時代

2010-04-26 | 12.THE BEATLES
 1965年も終わろうとする12月ぶ、ビートルズは“RUBBER SOUL ”を
リリースし国内ツアーに慌しく出かけました。この頃4人は「ツアー
を止める」決心をつけていたようです。

 1966年になるとエプスタインは4人に長期休暇を与えました。最近
のアーティストはよく「充電期間」をとりますが、結果的にそのよう
になった彼らが休み明けに取組んだのが“REVOLVER”の制作でした。
この時点で1966年のツアーは残ってはいるものの、ツアーをやめよう
と決心したビートルズにとって、“REVOLVER”は規格外の音に対する
挑戦となりました。

 当時のマスコミは“REVOLVER”に仰天しました。しかし、“RUBBER
SOUL”の時と比較すると、ある意味「そうなることを読んでいた感覚」
も感じられる論調です。

 ビートルズの最新のアルバム“REVOLVER”は新しいサウン
 ドとアイディアを持っていることは確かだが、これまでの
 アルバムと同じくらい、あるいはそれよりもいい作品なの
 だろうか、ファンのあいだで大きな論争を引き起こすこと
 だろう。私には、ひとつだけ確かだと思われることがある。
 ‘Yellow Submarine’を聴けば、誰もが一緒に歌い出すだ
 ろう。オリエンタル・サウンドの曲‘Love You To ’では
 ジョージがアニル・バクアットとともにシタールの妙な音
 を響かせ、カーマ・スートラ風の歌詞を歌う。‘Tomorrow
 Never Knows ’はジョンのヴォーカルで、「心を無にして
 くつろいで流れに身をまかせよう」と教えてくれる。だが
 しばしばカモメの鳴き声に聞こえるこのような宇宙的・電
 気的なノイズを聴きながら、どうやってくつろげというの
 だろう? ジョンの声も奇妙に割れ、遠くから響いてくる
 ようだ。リンゴの変わらぬドラムだけがナチュラルである。

    アラン・エバンズ『NME』誌 1966年07月29日付


 ポールは正しい。確かに、誰もこのアルバムの曲をコピー
 することはできないだろう。だが、それがどうしたという
 のだ? ひと握りにすぎない14曲だが、確かにビートルズ
 の曲なのだ。そのほとんどはポール、ジョン、ジョージの
 曲だが、‘Yellow Submarine’だけはリンゴが歌っている。
 ビートルズの頭のまわりでは、ポップス界全体から集めた
 より多くのアイディアがいまなおざわめいている。ジョン
 ポール、ジョージ、リンゴはどんな気まぐれもレコードに
 翻訳できてしまう観念的自由を、明らかに楽しんでいる。
 われわれがこれまでポップと呼んでいたものを打ち砕いた
 ことをはっきり示す、輝かしいアルバムである。

      『メロディ・メーカー』誌 1966年07月30日付


 “REVOLVER”はビートルズにとって極論すれば、「どれだけ素晴ら
しい音を創造できるかが唯一の基準となった初めてのアルバムだった
のかもしれません。その点では1965年に世に出た“RUBBER SOUL ”も
類似性があるといえるでしょう。しかし、同時に両者の間には明らか
に相違点もあるのです。それはやはり「ツアーに取組む姿勢の変化に
代表される自分たちのポジションの変化」でしょう。「音の革新」と
ともに1966年の4人は「スタジオ集団」という新たなステージに移行
したのです。
                            


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4 Comments

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ライナーノーツの難しさ (mensurazoirri)
2010-04-30 02:37:54
【三段論法】

1.売れるLPには賞賛すべき要素が必ずある。

2.ビートルズのLP(リボルバー)は必ず売れる。

3.よってリボルバーには賞賛すべき要素が必ずある(はずだ)。


幸運にも小生の手元には発売当時のLP・リボルバーがあり、
ライナーノーツを一読すると確かに当アルバムを賞賛しています。

しかし…肝心の文章がどこかぎこちない。
換言すれば、どう褒めれば正しく褒めているのかが
ライター自身良くわからないような雰囲気が感じ取れます。
端的に、LPの内容に正直戸惑っているような文章なのですね。
それ程にリボルバーは“超”先進的な内容だったのだと思います。

このあたりは資料(史料)的にも興味のあるところですね。
返信する
りぼるば~ (らば~そうる)
2010-05-01 11:16:10
to:mensurazoirriさん

ライナーノーツ。
福田一郎氏が書かれていますね。

ジャケットの中のそれを取り出しあらためて読み返すと
とても興味深い内容です。

文末の
「しかし、いずれにしても、このアルバムがビートルズ・ファン
をはじめ、ポピュラー・ミュージック・ファンに与える影響は
そう小さなものでない、ということだけは断言できるようです。」
という表現が妙ですね。
返信する
ライナーノーツ (mensurazoirri)
2010-05-09 01:10:10
お読みになられたのですね。
現役時代、つまり現在進行形のB4に関する資料は
非常に興味深いものが確かにあると感じます。
返信する
ジャケットに印字 (らば~そうる)
2010-05-09 23:10:25
to:mensurazoirriさん

はい♪

『ヤア!ヤア!ヤア!』『’65』『ヘルプ!』
にはジャケットにそのまま印刷されていましたね。
『’65』や『ヘルプ!』は見開き仕様で豪華です。
今でも読み返してみると面白いなと感じます。
返信する

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