CHAPTER 2 そして宴が始まった
観客に背を向け、形ばかりのチューニングをするジョン、ポール、
そしてジョージ。その音もあたかも演奏のようだ。ほんの数秒の出来
事だがとても長く感じる。突然音が鳴り止んとポールが開始の合図の
ようにヘフナーを鳴らす。するとジョンがスルスルと右側のマイクに
近づきカジノをかき鳴らした。
ROCK AND ROLL MUSIC
ジョンが足を開き、目を細めて熱唱する。ポールは歌詞を口ずさみ
ながら軽くステップを踏んでいる。やや左を見ると、そこにはジョー
ジがやや前かがみの姿勢でギターを左右に動かしながら弾いているの
が見える。リンゴは・・・。相変わらずシブい表情だ。それでもビー
トは正確無比だ。ジョージが心配そうにチラッとリンゴを振り返る。
ジョンはマイクに食いつかんばかりに声を張り上げている。
オープニングの熱がまだ冷めやらぬうち、ポールがマイクに近づく。
ジョンが激しくカッティングする。
SHE’S A WOMAN
ジョージはイントロが始まると、ポールのベースのシールドと絡ま
ぬように自分のシールドを丁寧に手繰り寄せている。さすが百戦錬磨
だ。レコードのヴァージョンとは異なり、ピアノのリフに近いものを
ジョージがカジノで奏でている。レコードとは異なり間奏が終わると
エンディングに移行する。ポールのヴォーカルのボルテージがさらに
増していく。顔を左右に振りとても激しいシャウトだ。そして、曲は
ジョージの甘くも鋭いリフとともに終わりを告げる。
どうも、ありがとう。それでは続けます。次の曲は一番新しい
アルバム『ラバー・ソウル』から。ジョージが歌います。
IF I NEEDED SOMEONE
カジノからリッケンの12弦に持ち替えたジョージがややはにかん
だように歌う。ジョージの背後で、ポールが歌詞を口ずさんでいる。
そして3声の美しいコーラスが武道館を包む。素晴らしいハーモニー
だ。曲が終わると、ポールは熱気に耐えかねたのか、シャツの一番上
のボタンをはずした。そしてジョンがマイクに近づく。
つづく
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なんかあったのかな?
直前のフライト、当日の健康状態、そしてコンサートへの嫌気・・・
いろいろと憶測が流れていますね。