2262．TILL THERE WAS YOU

　‘Till There Was You’は1957年のミュージカル『ザ・ミュージッ
ク・マン』のためにメレディス・ウィルソンが作った曲で、その中で
ロバート・プレストンとバーバラ・クックが歌いました。1960年には
アニタ・ブライアントが、また1961年には、ペギー・リーがこの曲を
カヴァーしています。

　ビートルズのカヴァーは２枚目のアルバム“WITH THE BEATLES”に
収録されました。彼らの凄いところは、オリジナルの魅力を超えてし
まうところではないでしょうか。すなわち、カヴァー曲でありながら
その曲をあたかも自分たちの曲であるかのように自然に演じてしまう
ところにあると思います。

　この曲を歌うポールは、ペギー・リーの歌い方を意識していながら
彼の歌唱力と表現力により独自の世界を創り上げています。そして、
さらに凄いのはジョージのギターです。あのリフはどこから生まれた
のでしょうか。

　オリジナルや、先行する他のカヴァー曲ではいずれもギター・ソロ
が入っていません。従って、この曲のアレンジは彼の独創によるもの
であったと推察されます。メジャーになってからの演奏（レコーディ
ング、コンサート、テレビ・ラジオ番組等）であまたのヴァージョン
を披露していますが、いずれも基本的な構成は確立しており、下積み
時代にかなりの時間をかけて練り上げてきた結果なのだと思います。

　彼らがアメリカを初めて訪れた1964年の 2月でも‘Till There Was
You ’をワシントンD.C.のコロシアムで披露していますが、聴衆は皆
彼らの「多様性」に言葉を失いさぞかし感激したことでしょう。






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