塩野七生 著 「ローマ人の物語 17・18 悪名高き皇帝たち[一・二]」 新潮文庫
第一部 皇帝ティベリウス(在位、紀元14年9月17日~37年3月16日)
ティベリウスの治世のはじめの10年間は善政、それに次ぐ7年間は善政と悪性の混じりあい、最後の6年間は悪政であったらしい
ライン河をゲルマニアとの境界と確定させた。ティベリウスは、カエサルのような強さは無く、アウグストウスのように悪賢くもなく、毅然として政治を行うが、まじめで面白味のない人だった。国の出費が増えると、税率を上げるのでなく、市民の楽しみである祭事を少なくして節約しようとした。ケチとみられ市民には不人気だった? ローマ帝国を盤石なものにした人!
ティベリウスは先帝の愛妻の連れ子で、弱い立場だった。愛妻と離婚させられてまで、先帝の娘を押し付けられて結婚をしたティベリウスの思いはいかばかりだったろうか。先帝の娘の間には子は恵まれなかったが、先帝の娘には、先に死別した夫アグリッパの間に子があった。その先帝の孫にあたるの男子も全員若死にしてしまって、皇帝の立場がティベリウスに回って来てしまった。
養子ゲルマニクスの妻で、先帝の孫娘アグリッパーナとの不和が、悪政となった原因ではなかろうか? ゲルマニクスは早く亡くなり、ティベリウスが殺させたのではとアグリッパーナは疑ってしまう。アグリッパーナは先帝の血を引いた孫娘で、自分こそが皇帝の正統の血筋と思ったのではなかろうか。
ティベリウスは、家庭での不和もあり、元老院議員たちとの対応も上手く出来なくなって、鬱になってしまったのでは? ローマから逃げ出してしまう。カプリ島に籠り、其処からの遠隔政治。ティベリウスの人気は増々悪くなる!!!
アグリッパーナ派を近衛軍団の長官セイアヌスを利用し一掃してしまう。アグリッパーナとその長男のネロ・カエサルは島流し、次男は幽閉。それが済むと要なしのセイアヌスも排除
第二部 皇帝カリグラ(在位、紀元37年3月18日~41年1月24日)
ティベリウスが死ぬと、アグリッパーナの三男カリグラが跡を継ぎます。ティベリウスの市民、元老院からの不人気を知っているので、その逆をした。市民が楽しめる剣闘士試合とか戦車競技を主催して金を使ったのだ。四頭立ての馬車を使ってのF1レースがこの時代に行われていた?
25歳の若さで権力を得てしまったカリグラは、政治そのものが判っていなかった。享楽ばかりに走り、それまでの堅実な政治で蓄財していたものを浪費してしまい、金欠になってしまう。金がなくなると、恐怖政治をして元老院議員たちの蓄財をむしり取る。暴君になってしまったのだ。内政・外交にも失策、不人気となり、近衛軍団に殺されてしまう。
ローマ帝国は、カエサルが方向性を示し、アウグストウスが構築し、ティベリウスが盤石なものにしていた。しかし一人の若者が壊してしまった?
この小説では、ユダヤ人とローマ、ギリシャ人との違いを書いている。、自分を神だと言ってのぼせ上ったカリグラのような皇帝とは、一神教を信じるユダヤ人には折り合いを付けられない。
この小説のお気に入り度:★★★☆☆
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