平安中期の公卿、藤原道長(966~1027)のはなし。
今から一千年昔の公卿は、世の中は、このようなものだったのかと思う。
庶民が疫病に見舞われても、公卿は我関せずとし、庶民の死体は巷に川に流される。
公卿は、一族の栄達のみを気にかけて、他を陥れる政治の世界!
内裏は幾度も焼失しているようだが、これは庶民による放火だったのだろうか?
歴史小説は、なんだか読み辛い本が多いのだが、
この本は、道長と倫子(りんし)、明子との恋愛小説のようにして始まり、読みやすかった。
道長は、平凡な人だったらしい?
当時の公卿の栄達の道は、自分の娘を帝や皇太子の後宮に入れ、
帝の外祖父となって、摂政や関白の地位をつかみ取る事により、達せられたらしい。
その為には、他人を、場合によっては帝まで陥れ、邪魔なものは、祈祷師を使って呪い殺す!?
平凡人だった道長は、微妙な平衡感覚をもって難関に立ち向かい
幸運にも、娘を中宮、皇太后、大皇太后と上らせる。
この世をば わが世とぞ思う望月の かけたることもなしと思えば
なんて歌って・・・ この頃が、藤原貴族の絶頂期???
この後の、息子の藤原頼道の時代を含めて、藤原氏の全盛期?
物語は、恋と歌と管弦と舞、きらびやかな宮廷絵巻。
清少納言や紫式部も登場してくる!
貴族の日記等も参考にして、この小説は描かれているらしい。
1019年には、刀伊族が壱岐や対馬に攻めてくる。
1028年は、平忠常の乱。
平安時代は少しずつ動いていく。
歴史は面白い。
私のお気に入り度:★★★★☆
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