心臓の「若返りホルモン」=高齢マウスで効果―臨床応用目指す・米研究所
時事通信 5月10日(金)1時10分配信
心臓の老化現象である心肥大を治すホルモンを若いマウスの血液から発見したと、米ハーバード幹細胞研究所などの研究チームが9日付の米科学誌セルに発表した。この「若返りホルモン」の役割を果たす「増殖分化因子(GDF)11」はヒトの血液にもあり、研究チームは4~5年後の臨床試験を目指している。
高齢者に多い心肥大は、心筋細胞が異常に大きくなって心臓の壁が厚くなるため生じる。血液を送り出す力が弱くなり、心不全に至る危険性が高まる。
研究チームは、生後2カ月の若いマウスと同23カ月の高齢マウスを手術で結合し、若いマウスの血液が高齢マウスに流れるようにした。4週間後に高齢マウスの心臓の大きさを調べたところ、通常の高齢マウスより小さく、若いマウスに近かった。
若いマウスと高齢マウスの血液成分を比較した結果、高齢マウスではGDF11が減っていることが判明。GDF11はさまざまな器官から分泌されるが、高齢マウスでは特に脾臓(ひぞう)で生み出される分が大幅に減少していた。高齢マウスの腹腔(ふくくう)にGDF11を30日間注射すると、心肥大が改善された。
血液中にはGDF11以外にも若さを保つのに必要な成分があり、年を取るにつれ減少すると考えられている。