ついに出た。出たといっても幽霊ではない。
センター試験の国語の問題に源氏から「夕霧」が出題されたのだ。
センター試験が開始されてからこのかた「源氏」はタブー視され続けていた。
「夕霧」は「鈴虫」に続く三十八帖。
光源氏はこの頃すでに壮年期にいたっている。
当然ながら物語の主人公は夕霧や落葉の宮らの若者の世代へと移り変わっている。
息子の夕霧は光源氏とはちがって堅物・きまじめな男である。
そんな男がどうして他の女性に心を移してしまうことになるのか?
なんだか朝ドラの悠太郎の浮気の場面を想いおこしてしまいそうだ。
悠太郎はまじめな建築設計師ということになっていたはずなんだが。どうしてああいうことになってしまったのか。男というものはまったくしょうもない動物だ。
朝ドラではあろうことか悠太郎が家を追い出されてしまうけれど、夕霧の巻では夫の浮気を知った妻の雲居雁が方違えにかこつけて実家に帰ってしまう。
このあたりは夫婦の仲たがいの古典的なパターンであろう。
センター試験ではさすがに夫婦問題までは取り上げられなかったようだ。