Walking Holidays ~ニュージーランド編~

大好きなトレッキングを中心にニュージーでの生活を綴ります。なのでWorkingではなくWalking Holidays!

Routeburn Track ー山岳散歩ー

2013-04-11 | ニュージーランド・トレッキング
2泊3日のルートバーン。

距離は短いけれど、とってもよかった!

イメージですが、ぎゅっと小さくしたアルプスを見てきた感じです。
または、可愛らしく多少の丸みをつけたカナダ・ロッキー山脈といったところでしょうか。

グレートウォークは歩きやすいので、険しくもないし、熊などの猛獣もいないし、
いわやる日本人が思う「山」といった感じの山々の風景が楽しめるので、日本の
山岳好きの方にはオススメです。ただ、ガッツリは登りません。

眼下に広がる谷間はHolyford Trackがずーっとタスマン海まで続いています。
そして、渓の向こうには氷河や雪がついた山々が広がっています。
そしてそして、進んでいく道の遥か先を見れば、タスマン海が山と山の合間に
うっすら見えるんです!

本当に可愛らしいアルプスを散策しているようで、思わずスキップしたくなりました
あ、けれどスキップするには、若干道幅は狭いです。または、下に転がっていきます 笑。

二日目の山小屋でのこと。
たまたま同じテーブルを囲んだのは、kiwiのおじさま3人組とドイツ人のカップル。
おじさんが、カップルに「旅行できているの?」と聞けば、
女性の方が「ハネムーンなんです。」と。

新婚旅行でハイキング?!

今まで、日本ではそんな新婚さんに会ったことがなかったので、とても斬新でした。
なんだかステキなカップルが、より爽やかなに見えました。

そしたら、おじさんが「え、そうなの!向こうに座ってるカップルは
今日歩いている途中にプロポーズしたそうだよ!」と。

!!!!


彼か彼女、どちらがプロポーズしたかは知りませんが、格好良すぎます。
言われた方も断るに断れないじゃないですか 笑。

以前、ニューヨークに行った時、ホームアローンでおなじみのロックフェラーセンターの
クリスマスツリーの下でプロポーズをしているカップルを見ましたが、それにも負けない
ドラマチックなプロポーズです。


グレートウォークの山小屋では、だいたいの小屋で、
毎晩、駐在DOCスタッフによるSafety Talkというものが行なわれます。
話の内容は、明日の天気の話だったり、明日はどんなコースを歩いていくか、
小屋の使い方などが説明され、そのあとは、それぞれのスタッフ次第で話が
続いたり、すぐに終了したりします。

この日はとっても長かった。

ニュージーランドの固有の鳥を外来獣から守る話だったのですが、一緒に座っていたドイツ人カップルが
ごはんをちょうど料理している最中に話が始まったので、ごはんがお預け状態になっている二人 笑。
そっちの方が気になってしかたなかったですよー!

というのは半分冗談で、スタッフの方が言った一言がとっても印象に残っているんです。

「昔のように、今よりも多くの鳥が飛び交う森を、次の世代が見れるようにしたくないですか?」

彼は、ルートバーントラック中に置いている外来獣を捕らえる仕掛けの話を熱心にしてくれていました。

人間の手によって持ち込まれたポッサムなどのせいで固有の鳥が食べられてしまっている。
ポッサム自体は悪くないけれど、人間が作った原因だから、人間が責任を取らなければなりません。
現在はポッサムが来た当初より、少し鳥の数が回復しています。この調子で、将来、昔のように、
たくさんの鳥が飛びまわる光景を見ることができるのです。

自然環境は、結果的には人間が存在する限り回復することは難しい、
とどこかで思っている自分に気がつきました。

今より、ちょっと前より、未来の方が良くなっている。
過去の姿が再び未来に存在する。

地道な努力が確実に可能へとこぎ着けるんだ。

スタッフの自然を愛する熱い気持ちを聞いた気がします。


ルートバーンの写真はこちらをご覧下さい











Keplar Track(ケプラー・トラック)の記2

2013-04-10 | ニュージーランド・トレッキング
2日目は思い出に残る一日でした。

山小屋から約2時間くらいだったでしょうか、ひたすら荒れた森の中を登ります。

やっぱり目から入る世界が荒れていると、心も穏やかでない。

空からは霧雨のような雨。

まだかな・・・。
もうそろそろ、もうそろそろと、
飽きてきた自分に言い聞かせるように登っていると見えた!

ついに、待ちに待った山稜線が。

感激と記念に尾根に出てきた写真を一枚ぱちり。
そうしたら、モクモクと虹が目の前に現れてきたのです。

みるみる出来上がっていく虹の橋。
勝手に、山が歓迎してくれていると受け取って(笑)、
とても感激でした。

まるで隠れんぼをしているかのように、
虹は音もなく消えたり、現れたりを繰り返します。

何度振り返ったでしょう。
虹をずっと見ていたい。けれど、前に進まなくてはならない。
尾根を進んでいく度に、後ろを確認。


今まで虹は見上げるものでした。

けれど、今日は虹が目の前。
足のはるか下から虹の架け橋が架かっています。


この光景は、一生忘れないでしょう。


それから約12kmの尾根歩きが続きます。

山でどこを歩くのが好きかと聞かれれば、断然、尾根。

私が山へ登るのは、高い場所で見晴らしを楽しみたいため。
なので、尾根は天空を歩いているかのような気持ちになって、
時間も距離も、疲れることも、わすれてしまう場所。

向こうの尾根に米粒のように人が見えたり、
フィヨルド渓谷を眼下に眺めたり。

静寂の中、キラキラ光る湖を見て、自然の大きさを感じていました。

自然は昨日も今日もそっと動いている。
人間に気づかれようが、そうでなかろうが、ただそこに存在している。

人間の寿命が日本人なら約80年。
けれど、今見えている山、湖、渓谷は何千、何万年という月日をかけて
目の前に存在している。

私たちの一日はめまぐるしくたくさんのことが起きる。
自然にとっての一日は、人間の何日分なんだろう?

そう考えたら、自然は圧倒的に大きくて、80年もほんの一瞬なんだろうなっと。
けれど、そんな大きな時間軸、寿命(?)を持つ自然を、人間はすごい速さで壊しているんだ。

永遠のように長い存在を目の前にしたとき、やっと、自分(人間)がしていること、
人間がもつ破壊力の強さを実感しました。

この雄大な自然に抱かれて、守られて、食べさせてもらって。
時に恐ろしさも与える自然だけれど、やはり圧倒的にたくさんのものをもらっている。
けれど、自分は木を一本すら植えたことはあっただろうか?

まだまだ貰ってばかりの自分。これからもそうかもしれない。
けれど、少しでも返していきたい、いこうと誓った。あらゆる方法で。

いろいろなことに出会えた、穏やかな時間を過ごせた尾根歩きでした。

写真はこちらで、どうぞ。

















Keplar Track(ケプラー・トラック)の記

2013-04-08 | ニュージーランド・トレッキング
「ここは、虹がたくさん見えるんですか?」

TeAnauからスタート地点のRainbow Reachへ
送迎してくれているドライバーさんと
話すこともそろそろなくなってきたので、
冗談半分で訊いてみた。

「うん、そうだね。天気によっては見えるよ。」

名前だけかと思っていたら、本当に見えるんだ。

そんなことを話していたら、スタート地点に到着。
人がまばらだ。

本当は、TeAnauから出発し、Control Gateでトラックに入り、
反時計回りで回ろうと思っていた。

自分の住む街からの交通手段やら宿を調べて、
よし山小屋を申し込もうと思った矢先、
わずかなタイミングで1泊目に泊まろうと
思っていたLuxmore Hutが埋まってしまった。

どうしよう・・・・・。

日程的に先にはもう伸ばせない。
そして、今まで調べたものが・・・泣。

きっと、手段はあるはず。

焦りつつも探し直すと、
Queenstown-TeAnau-Rainbow Reachの
バスがあることが分かった。

歩くルートを反対回りに設定し直し、色々調べ直し、
全ての予約を終え、どうにか予定通りに行けることに。

良かった。

QueenstownからTeAnauに到着したバスが遅延していたため、
Rainbow Reach行きのバスは乗れなかった。。。
けれど、すぐにワゴン車が私だけのためにやってきてくれた。

なので、トラックのスタートを切るのは自分一人で。

前回のミルフォードのスタートが、なんだかお祭りのような
雰囲気だったので、今回は、あまりに何気ないスタートだった。

けれど、橋を渡り、Kiwi Zone
という看板を発見し、キウイがいるのかとワクワクしたり、
ブナ林の下、ふかふかの天然のウッドチップの道を歩き、
気分は爽快!

そんな気持ちよい森林を歩いていて、日本で勉強していた
森林セラピーのことを思いだした。森林浴でリラックスを
したいなら、どんな森林でも歩けばいいのではなくて、
自分が安全だと感じられること、なんだか気持ちがいいな~
と思えること、主観で「感じのイイ森林」と思えることが
まずは大事だなあと思った。

今日は渓谷の間をずーと歩いていくのがメイン。
うーん、正直、谷底をずっと歩いていくのは好きではないんです。

森や渓間のトレッキングは視界が悪い。
けれど、森の中を歩く場合の良い点は、何かに守られている
感じがあること。
ちょっとかたく言うなら、沈静作用を与えてくれる気がする。
だから、自分とじっくり向き合うことができる気がする。
これ、一切遮るものの無い平原や尾根を歩いているときは、
できないんですよね。

森のチカラなのでしょう。


まだかな、まだかな。
もーう、そろそろ。

標識も出てこず、自分があとどれくらい歩くのか分からない。
迷ってはいないと分かっているのだけれど、先の見当がつかないのは、
人生でも山道でも、何度経験しても落ち着かなくなる。

ふと森の向こうに明るい場所が見えてきた。

「ハットだ。」

今日のハットは、アジア人は自分だけ。

前回のミルフォードでは、私の他にもアジア勢がいたので、
アジア人がいないのは、ちょっと寂しい。

一瞬、アジア人ぽい人たちを発見したが、
ハットでは顔を合わせなかった。
気のせいだったのかな・・・。

翌日分かったことだが、キャンプ場に泊まっていたそうで、
日本から卒業旅行でやってきた男の子たちだった。


















ミルフォードの記~風の抜ける峠~

2013-03-27 | ニュージーランド・トレッキング
ミルフォード3日目。

前日の夜、山小屋のレンジャーのお姉さんが
「明日は天気が悪くなるかもしれないので、峠には早めに行くのをオススメします。」
と言っていたので、早めの出発をする。

ここ1ヶ月、雨が無いとかで、ミルフォードの川はカラカラ。
たくさんのあるべき川には、石ころが転がっているだけの状態。
ミルフォードの「売り」の潤った苔と滝もカラカラ。

そんな「エアー川(笑)」に架かる橋で、おどろく表記を発見。

これ、見落としたら大変かもねー!


さてさて。

やっぱり、登りはしんどい。
けれど、日本の山登りと比べたら、横へ横へと進む感じなので、歩きやすい。

上へ進むたび、周囲を見渡すと開けてくる視界。
視界の広がりは、いつも登りのしんどさを忘れさせてくれ、時間さえも忘れてしまう。

気づいたら、こんな雲海の上にいた。


谷間にはまってしまったかのような雲たち。
きみたち、いったいどこへ抜けていくんだい?と聞きたくなってしまう。

あと少し、あと少し。
雲海を見下ろしながら、自分に言い聞かせ登っていると、

目の前に、言葉にならない風景が現れた。

pass(峠)を雲が抜けて行く。
ただそれだけの現象なのに、なんて美しいんだろ。



そして、また数歩登ると、
大きな山腹に雪を載せた山が見え、感激して涙腺がゆるむ。。




朝露をしっとり浴びて、たたずむ花々。




そこからは天空の世界に来たような風景が待っていた。












もう、この美しさ、私の乏しいボキャブラリーでは語れません。


「きれい」「美しい」という表現以上に言葉が欲しい、
そう思わせる光景ばかり。





山って、大きいなあ。