Walking Holidays ~ニュージーランド編~

大好きなトレッキングを中心にニュージーでの生活を綴ります。なのでWorkingではなくWalking Holidays!

Rees Dart Track -自分との冒険-

2013-04-26 | ニュージーランド・トレッキング
リーツ・ダート・トラック。

それは自分の中では、どのトラックよりも特別な場所。
理由は、他に歩いたトレッキング・トラックとは異なり、バックカントリー・トラックであったから。

ちなみに、「バックカントリー」という言葉、スキーの種類の一つとして聞いたことがある方も多いんじゃないでしょうか。
バックカントリースキーは、スキー場にように整備されている所ではなく、自然のままの雪山を滑るアクティビティーのことですよね。

バックカントリー(Back country)とは、未開拓地、奥地、へき地などといった意味です。
トレッキングでいうバックカントリーは、一般のハイキング・コースのようにしっかり整備された道ではなくて、基本的には自力で方位や道を調べながらwilderness(荒野・荒れ地)の中を歩いていくものです。


話は戻って。

今日は満月。ちょうど一ヶ月ほど前の満月の日を思い出していました。
ああ、もうリーツダートが終わって一ヶ月経ったんだと。
リーツダートのことを書くときは、意気込んで書きたいと思って眠らせていたんですが、記憶が遥か遠くに行く前に書きます。


リーツダートは、はじめてソロで挑んだバックカントリートラックでした。

泊まりがけのバックカントリー自体初めてなのに、一人で大丈夫なのか?
誰かパーティーを組む人がいてくれたら、どんなに心強いか。

け れ ど、

心の底では、一人で挑戦してみたいと思っている自分がいました。
すっごい不安で怖い思いはあるのだけれど、「ソロで大自然の中に身を浸す。」という憧れをやってみたかったから。


結論としては、
ソロ挑戦をしてほんとうに良かった○

けれど、私が行っていた4日間のうち半分は大雨。
どんな天候も想定にいれて行動しなければなりませんが、正直、今までのトリップで大雨の経験がありませんでした。
今回、バックカントリートリップで大雨を経験して、どんな天候、事態に巻き込まれても、自分自身を守る知識・技術がなければソロで行ってはいけない。自分には、その知識・技術が足りていないと痛感しました。

今回は、運良く同じ行程で歩いた人たちが5人いました。
なので、天候が悪いこともあり、雨天時は常に一緒に行動していました。

けれど、もし一人で雨の中歩く事態になっていたら・・・・。
一人では、増水して濁流になっていた川は恐ろしくて渡れなかったでしょう。
増水したせいで通常の歩くルートが川の下に消え、ブッシュの中を藪漕ぎしていくルートを見つけることなど、増水した川を見た瞬間パニックになり、呆然と立ち尽くしていたでしょう。

おそらく、一人だったら、小屋で一日、二日、天気が回復するまで待機するという選択肢をとっていたでしょう。
けれど、たとえ天気が良くても、滑落したり、遭難したら・・・。
もしものために、Personal Locater Beaconというアイテムを持ち歩いていましたが(緊急時にボタンを押すと、GPSが作動し、その情報をもとにレスキューがきてくれるシステム)、そういう問題ではない。

覚悟はもってきたつもりでしたが、自分の技術の浅さと行動を反省しました。

雨でよかったことは、
ふだんの良い天候のときには気づけない、上に書いたようなことに気づけたこと。
そして、一緒に歩けた熟練ハイカーの行動を見て、どういう経験・知識が必要か勉強になったこと。
そして、雨嵐で違った一面を見せる大自然の姿を見れたこと!!

ふだん、あえて大雨の中、大自然の中に挑んでいくことって、あまりないと思います。
(たぶん、台風中継するレポーターぐらいじゃないですか 笑?)
なので、荒々しい姿を見れたのは、まるで想像上の生物「龍」を見たかのように、ただただ圧倒されていました。


あら、リーツダートのことを細かく書こうと思ったら、導入でこんなに書いてしまいました・・・。
ということで、次回より細かく綴っていきます。


リーツ・ダートの写真はこちらへ!!





Routeburn Track 最終ー山岳散歩ー

2013-04-19 | ニュージーランド生活
サイドトリップのコニカヒルに登った後は、下りのはじまり。

同じ湖だけれど、陽があたると隠された美しさが露わになり、
その輝きに引き寄せられてしまいます。



誰もいない。
音もない。
聞こえるのは、むこうに流れている滝の音だけ。

当たり前だけれど、滝や川は24時間絶え間なく流れている。
朝もやのかかる早朝だって、真っ暗なやみ夜の中でも。
人間が気づかなくても、見ていなくても。

ただ、それだけでスゴイなって感激なのです。

この前、ぽろっと同じようなことを人に言ったら、キョトンとされました(笑。
当たり前じゃん、って。

たぶん、こんな風に考えるのは、自分が小さい頃から都会で人工的なものに
囲まれてきたのが影響してるんだと思います。

近所の公園の滝や噴水は、5時になると水の流れがとまる。
夏の水不足のシーズンも止まっているときがある。
遊園地の滝や川は、閉園時間になったり、休園日は止まっている。
そもそも、天然の滝なんて身近になかったし!

きっと、人がいない時、眠っている時=水は止まっているというイメージが無意識の中にあるのだと思うのです。
だから、大自然の中で真夜中に滝がゴーゴー音をたてて流れているのを見ると、思わず、「おお生きている」と、ちょっと怖くなるのかもしれません。

頭で考えたら、滝が絶え間なく流れているのは当たり前なのだけれど、「体験値」が足りないから、
実際その光景を見ると、今までの経験との大きな誤差がうまれて、頭がおかしな発想をするのでしょう。


けどね、

私の好きな、写真家であり作家である星野道夫さんの言葉で、こんな言葉があるんです。
「すべてのものに平等に同じ時間が流れていること-満員電車に揺られながら学校へ向かう途中や東京の雑踏の中で、今同じ時間にヒグマが原野を歩いていることへの不思議な気持ち。」

これを本で読んだ時、自分の今目の前に見えていない地球上の大自然の世界を想像し、ロマンだなあと思ったのと同時に、豊かな気持ちになったような気がしたのを覚えています。そして、いつも、頭の片隅にその世界を忘れないでもっていたいと思いました。

私にとっては、滝も同じなのです。
自分が余裕なくカツカツ生活しているときでも、滝はあいかわらずゴーゴーと音をたてて、悠久の流れを作り出している。だから、その光景を心の中に描き出せると、ホッとするし、今、目の前にある世界だけが世界ではないと、少しの余裕を思い出せるのです。


なんだろう、
悠久の時の流れというのでしょうか。人間の私とはるかに違う時間軸で存在するものの時間の流れを
自分の感覚に刻んでおくことって、自分の軸を豊かにしてくれるものだなと思っています。


そんなことを思いながら、最後の宿泊をするハットへ。

じゃん、今晩の宿泊人数、私含め4人(笑)。

今までのグレートウォーク・ハットでは、あり得ない人数の少なさ!

なぜかと言うと、立地的にトラックのスタート&ゴールポイントから2時間弱のところにあるハットなので、通常なら泊まるには微妙な距離のため、みんなスルーしてしまうのです。が、私は翌朝10:00のバスに乗るために、ここを選んだのです。

いやあ、山小屋っていうより、誰かの家に滞在したような静けさでした(笑)。
まあ、色々おしゃべりできたのでよかったですが!

ルートバーンの写真はこちらをどうぞ。









Routeburn Track3 ー山岳散歩ー

2013-04-16 | ニュージーランド・トレッキング
二日目、ランチを取った後、人気のサイドトリップ(side trip)、コニカヒルへあがりました。

ちなみに、サイドトリップ(Side Trip)とはなにか!

サイドトリップとは、メインのルートからは見ることの出来ない見所へ設けられた脇道、支流ではなく支道(←こんな日本語あったかな?)へのトレッキングのことです。
往復10分くらいのものから、片道4時間など、けしてサイドと言ってもオマケ的な気持ちでは歩けないものまで色々あります。
共通していることは、サイドトリップはだいたい向こうへ抜けていけないので、メインルートへ戻ってくる往復ウォークになります。

ニュージーのトラックには、サイドトリップがたくさんあると思います。
興味があれば行けばいいと思うのですが、個人的には、ただひたすらメインの道を進んで行くのではなく、サイドトリップへの寄り道をしながら進んでいく方が、トラックをより味わえるのではないのかなと思います。

ミルフォードを歩いたときに感じたことなのですが、
ミルフォードは超人気トラックとあって、一日の歩行人数や宿泊するハットが厳密にコントロールされています。
なので、「私はたくさん歩けるから次の次のハットまで歩きたい」と言っても叶いません。
たくさん歩ける人も歩けない人も、みんな3泊4日の行程で動かないとなりません。
この毎日の朝出発して(産まれて)から、到着する(死ぬ、または何かの節目;就職・進学・結婚とか)までの行程って、人の一生の縮小のようだなと感じたのです。

各人によって歩き方はさまざま。
ひたすら、前に進んで先へ先へと歩いていく人。
写真を撮ったり、休憩しながら、自分の世界を満喫して進んでいく人。
川で泳いだり、昼寝したり、寄り道をしまくって進んでいく人。

自分は一日という白地のキャンパスに、どんな絵を描いていきたいのか。

日本人だからなのか、単に小心者だからか、自分が精神的に安心する選択肢は、『早くゴールに着きたい。だから早くはやく進んでいく。』だと思う。けれど、振り返ったとき、その行程はひどくチープで、何を見てきたんだろうと感じると思う。

なので、小心者でビクビク、ドキドキもしているけれど、自分の興味と好奇心に従って、道中で色んなものを体験したい。
暗くなってからの到着は嫌だなと思いつつ、この道を歩けるのは一度だけ。
やっぱり、めいいっぱい、この道を堪能したい。

寄り道、バンザイ☆
サイドトリップは、主食を引き立ててくれる素晴らしい副食だ。


人生は寄り道だ。
人生はひまつぶし。

かつて聞いた、著名な方の言葉です。


人によって、考え方はそれぞれだと思うけれど、色々な経験は人生を豊かにしてくれると私は思う。

一日の終わりに、今日の良いウォークをしたベストウォーカーはアナタ!
なんて評価は与えられないし、誰かに評価をしてもらう、してもらいたいって考え方自体が、組み込まれた良くない習慣なんだろうな。

誰になんて言われようと、自分が最高だと思ったら、間違えなく最高なんだよね。

トレッキングでなら、設けられたサイドトリップを歩いたり、
自分だけのサイド○○を探して、満足できる自分時間を描いていきたい。


・・・・ああ。
今回は、今回も、ものすごく脱線しました。
ルートバーンからミルフォードにいき、トレッキングから離れた話に。
だいぶ脱線したので、今日は脱線したままで終えたいと思います 笑。

でも、山歩きって色々と考えるには最高で、やめられません!
















Routeburn Track2 ー山岳散歩ー

2013-04-16 | ニュージーランド・トレッキング
二日目の山腹をずーっと歩いていくウォークは、本当に最高でした。

山好きのハイカーにとっては、山の楽園をお散歩している気分でした。

もちろん晴れていたからですが、見える景色を例えるならば小さなアルプス
・・・実は本場のアルプスには行ったことが無いので、イメージですが(笑)、
ロッキー山脈を小さくしたようって言うよりは分かりやすいでしょ?

(ちなみに、昔むかし、ヨーロッパの人がロッキー山脈に来た時、「ここはアルプスを100こばかり集めたような場所だ!」といったそうで、それほどロッキーは広大な山の世界なんだと思います。今でもヨーロッッパからの旅行者の方々に聞くと、「いやあ、アルプスもいいけれど、ロッキーは規模が半端ないわあ。」と言いいますね。)

私にとっては、ロッキーは昨年しばらく住んでいた場所なので
かわいらしいロッキーに出会ったようでした。

氷河や雪のついた山々を見ていたら、ロッキーの思い出が頭をよぎり、
山や出会った人々、ちょっと恋しくなってきてしまいました。みんな、元気かな。

不思議なものです。
正直、ロッキーの山々は、東京者の私には、あまりに荒々しすぎて、心落ち着く感はありませんでした。
けれど、冒険的な体験ができ、自分の人生にすばらしいものを与えてくれた場所だし、また行けば、
与えてもらえると分かっているから、心惹かれる場所なのでしょう。

さて、ルートバーンに話をもどして

その山腹ウォークは、Divideからトラックに入ると海の方を正面に歩いていくことができるんです。
海といっても、約100キロぐらい先にタスマン海が見えるので、遠いです(笑)。
けれど、山々のずーっと先、谷間の向こうにぼやっと見える砂浜と青い海は、やはり感激です。
ああ、海に続いているんだっと。

(ちなみに、山から海まで行きたいぜ!という方は、ルートバーントラックの下にHollyford Trackというトラックがあります。
グレートウォークでないので、ちょっと大変かもしれませんが海まで歩けるコースです。
しかし、海までは谷間、谷底をひたすら歩くので、日本の山歩きに慣れている方には・・・・忍耐の要求されるウォークになるんじゃないかと思います、修行です(笑)。

谷間を挟んで向かいには、氷河のついた山々が連なっていて、思わずスキップしてハナ歌をうたいたくなってしまいます。はるか前を見ても人はゼロ。うしろもゼロ。大声で歌を歌ってもオッケーだと思いますよ 笑。

視界に入る限りの範囲に人がいないと、ほんとうに贅沢な気分になります。


しかし、こんな谷間の山腹にトラックをつくった人、つくろうと思った人って、
すごいなといつも思うんです。

自分はたとえソロで歩いて「冒険」的な気分になっていても、
あくまで誰かが作ってくれた道に沿っているだけだから「探検」や「開拓」ではなく、自分の中での冒険。

なので、
初めてパイオニアとして来て、道を拓いた人。
グレートウォークにして、多くの人が歩けるようにと、こんな危ない斜面で工事を頑張ってくれた人。
そんな方々の勇敢さとたくましさには、いつも「すごいなあ」と尊敬と感謝でいっぱいになります。



ルートバーンの写真はこちら
















Routeburn Track ー山岳散歩ー

2013-04-11 | ニュージーランド・トレッキング
2泊3日のルートバーン。

距離は短いけれど、とってもよかった!

イメージですが、ぎゅっと小さくしたアルプスを見てきた感じです。
または、可愛らしく多少の丸みをつけたカナダ・ロッキー山脈といったところでしょうか。

グレートウォークは歩きやすいので、険しくもないし、熊などの猛獣もいないし、
いわやる日本人が思う「山」といった感じの山々の風景が楽しめるので、日本の
山岳好きの方にはオススメです。ただ、ガッツリは登りません。

眼下に広がる谷間はHolyford Trackがずーっとタスマン海まで続いています。
そして、渓の向こうには氷河や雪がついた山々が広がっています。
そしてそして、進んでいく道の遥か先を見れば、タスマン海が山と山の合間に
うっすら見えるんです!

本当に可愛らしいアルプスを散策しているようで、思わずスキップしたくなりました
あ、けれどスキップするには、若干道幅は狭いです。または、下に転がっていきます 笑。

二日目の山小屋でのこと。
たまたま同じテーブルを囲んだのは、kiwiのおじさま3人組とドイツ人のカップル。
おじさんが、カップルに「旅行できているの?」と聞けば、
女性の方が「ハネムーンなんです。」と。

新婚旅行でハイキング?!

今まで、日本ではそんな新婚さんに会ったことがなかったので、とても斬新でした。
なんだかステキなカップルが、より爽やかなに見えました。

そしたら、おじさんが「え、そうなの!向こうに座ってるカップルは
今日歩いている途中にプロポーズしたそうだよ!」と。

!!!!


彼か彼女、どちらがプロポーズしたかは知りませんが、格好良すぎます。
言われた方も断るに断れないじゃないですか 笑。

以前、ニューヨークに行った時、ホームアローンでおなじみのロックフェラーセンターの
クリスマスツリーの下でプロポーズをしているカップルを見ましたが、それにも負けない
ドラマチックなプロポーズです。


グレートウォークの山小屋では、だいたいの小屋で、
毎晩、駐在DOCスタッフによるSafety Talkというものが行なわれます。
話の内容は、明日の天気の話だったり、明日はどんなコースを歩いていくか、
小屋の使い方などが説明され、そのあとは、それぞれのスタッフ次第で話が
続いたり、すぐに終了したりします。

この日はとっても長かった。

ニュージーランドの固有の鳥を外来獣から守る話だったのですが、一緒に座っていたドイツ人カップルが
ごはんをちょうど料理している最中に話が始まったので、ごはんがお預け状態になっている二人 笑。
そっちの方が気になってしかたなかったですよー!

というのは半分冗談で、スタッフの方が言った一言がとっても印象に残っているんです。

「昔のように、今よりも多くの鳥が飛び交う森を、次の世代が見れるようにしたくないですか?」

彼は、ルートバーントラック中に置いている外来獣を捕らえる仕掛けの話を熱心にしてくれていました。

人間の手によって持ち込まれたポッサムなどのせいで固有の鳥が食べられてしまっている。
ポッサム自体は悪くないけれど、人間が作った原因だから、人間が責任を取らなければなりません。
現在はポッサムが来た当初より、少し鳥の数が回復しています。この調子で、将来、昔のように、
たくさんの鳥が飛びまわる光景を見ることができるのです。

自然環境は、結果的には人間が存在する限り回復することは難しい、
とどこかで思っている自分に気がつきました。

今より、ちょっと前より、未来の方が良くなっている。
過去の姿が再び未来に存在する。

地道な努力が確実に可能へとこぎ着けるんだ。

スタッフの自然を愛する熱い気持ちを聞いた気がします。


ルートバーンの写真はこちらをご覧下さい