第五話【悪魔の囁き】
就職して初任給が27、000円の頃、マイカーが欲しくて、日産プリンスのショウルームに飾られていたスカイライン2000GT-R(GC-10)が価格120万円で販売されていました。朝一番でスカイラインGT-Rがテールウイングを付けて日産プリンス販売店から5~6台つながり出て来るとカッコいいなーと思いながら憧れの目で見ていました。今の給料では軽自動車を買うにもとても手が出ず仕方がないので各メーカーのハードトップカーのホイールカバーを集め部屋の壁に掛け眺めて満足していました。会社の先輩がサニークーペKB10の中古を乗って来て『この車16万円で売るよ』と言われ、水垢だらけの車でしたが買うことにしました。それから嬉しくてボディーをコンパウンドで磨きワックス掛けをしてピカピカに仕上げレーシングテープ張マーシャルのフォグランプにマルコのトランジスターホーンを取り付けてハンドルは太めのグリップが切れの良い30φウッドハンドルに換えて、純正12インチホィールからから13インチホィールのトピーのワイドホイールに今はタイヤも50・45が当たり前ですが、この頃はホイールも鉄の塊でしたから70タイヤが殆どで太めのラジアルタイヤをスペンサーで幅広にして装着すると陸上選手が鉄下駄を履いて走るのと同じでズシリと重くなりますが、全体のバランスを見ると隙間が無くレーシングカーの様に見えてとても良く纏まって完璧に出来たと思いました。これで外見はドレスアップしましたがエンジン回りは水垢に錆びがこびり付きボロボロで電気系統が故障ばかりして1ケ所直すと関連して他が悪くなり殆ど修理することになりました。(今考えると先輩と中古車販売のセールスマンとグルになり騙されたような気がします。)『こんなポンコツを掴まされて馬鹿だな』と同僚に馬鹿にされましたが、それでも自分としては車を持て事が嬉しくて気にしませんでした。この頃はレジャー等で荷物がいっぱい入るようにトランクルームを広く取り、エンジンルームは素人でも楽に用品など取り付ける事が出来、大して馬力アップしなくても高い部品買って変える事が出来ましたが、現在はファミリー層を重視して車内を広く取りトランクルームやエンジンルームは狭く出来ていてコンピューター仕様ですので素人では手を入れる事が出来なくなり、部品や用品自体が社外品より、純正品の方が見栄えと性能が良く高級感が有り車体に収納されているので使い易くてとても便利になりました。
つづく
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