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「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」

第87回アカデミー作品賞を受賞した。
監督のアレハンドロ・イニャリトゥは監督賞も獲得している。
今年度も作品賞にノミネートされた作品は秀作ぞろい。
どれも見る者を感動させ、深い思いを抱かせるものばかり。
そんな強豪を抑えて今作が選ばれた理由は?
見れば誰もが納得するだろう。
頂点に立つのは、やはり、これ以外には無かったと言える。

全編まるでワンカットで撮影したような映像は、一瞬たりとも目をそらすことができない。
実際は編集でつないでいるのだが、俳優の完璧な演技タイミングと撮影の勝利。
撮影監督のエマニュエル・ルベツキは「ゼロ・グラビティ」に続き、今作でもアカデミー撮影賞を受賞した。

単なる有名人と見られることに抵抗するリーガン。
発達したネット社会では、誰もが簡単に“有名人”になりえる。
有名になることこそが成功の証しと、ネットで拡散されることに夢中な人々。
そんな異常な風潮への皮肉が効いている。
また、舞台芸術や映画界への皮肉、批評家への皮肉も満載。
今作は突き刺ささるコメディなのだ。
BGMのドラムとバードマンの声は、リーガンだけでなく、見る者もさいなむ。
鑑賞には体力が必要。

メキシコ出身イニャリトゥの受賞スピーチ。
「アメリカに住むメキシコ人に公平な社会を。アメリカは偉大なる移民の国なのだから。」
プレゼンターのショーン・ペンが作品賞発表前に檀上で発した言葉も話題。
「こいつにグリーンカード渡したのは誰だ?」
差別発言ではない
。監督と親しいペンが、移民差別を批判しての、一流のユーモアだ。
最高にクールな作品と映画人たちを称賛したい。
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