小説現代に9年間連載された
宮城谷昌光さんの「湖底の城 呉越春秋」。
全九巻をkindleで。
最初の6巻くらいは伍子胥の物語がメイン。
その後7巻くらいから9巻は范蠡の物語がメイン。
伍子胥が楚から呉に移っていく過程と、
呉王闔閭を兵法で有名な孫武と共に支え、
呉を一流の国にしていく。
伍子胥の魅力に引き込まれ、あまりにも感情を持っていかれてしまい
孫武や闔閭の死後、新王夫佐が佞臣のせいで伍子胥を疎むようになってから
結末がどうなるかわかっているだけに段々と読めなくなってしまった。
で、その後1年間放置。
気持ちが落ち着いて、もう一度本を手に取ることができて
後半の越の范蠡の物語になったらまた一気に読むことができた。
昨年秋に台湾に行ったとき、
伍子胥の冒険の一番面白いところで、
カフェに入っては読み、カフェを出て歩き、
でもまた読みたくなって、またカフェに入り・・・。
を繰り返していた。
中断していたのを今年また読み始めたのも
台湾に行ったのがきっかけ。
1年経ってまた台湾で同じことをしちゃった。
宮城谷さんの本は人物をだいぶ美化しているとも言われているけれど、
でもこれだけ長い間記憶されている偉人たち。
稀有な人々だと思う。
伍子胥がいなければ「孫氏の兵法」が世に出なかったかも。
伍子胥と孫武の活動が生き生きとしていて本当に面白い。
闔閭とこの二人の出会いが呉の隆盛を作り、
そしてその栄華が夫佐というダメな王を作り、
夫佐との因縁で越が覇者となっていく。
臥薪嘗胆の物語。
時代の流れが美しく残酷。
ラスト、夫佐が「呉員(伍子胥)に会わせる顔がない」的なことを言って死んでいく。
そこは本気で涙が出た。
読み終わって、つくづく良い本を読んだと思った。
もう一度読み返しても同じように楽しめると思う。
伍子胥や范蠡のような賢さをほんの少しでも身に着けたいと思う。
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