渉の足跡

SL230からSEROW250Sへ変化しても、ひき続き「バイク旅」を主な話題に ぐだぐだと書き綴るブログです。

おもしろかった本(日本の神話)

2012-12-09 21:18:59 | おもしろかった本



(その10)は、 河出文庫 高橋鐵(たかはし・てつ)著 日本の神話(性のユートピアを求めて)です。





この本は、ビックリするぐらい古い本でした。
いつものように図書館で見つけて、ぱらぱらめっくって面白そうなので読み始めたのですが、まえがきの最後に
"なお、この本には、戦後世代の読者のために、各章のはじめに神話の<あらすじ>つけておいた...." 

ん?
いつごろ書かかれた本だろうと疑問に思い、最後のページを見てみると "初版発行 1991年8月2日"
な~んだ、そんなに古くはないではないか っと その前のページに目をやると

"本書は、1967年「カッパ・ブックス」(光文社)として刊行されました。" と書いてあったのです。  お~、45年前だ!
ま、古事記や日本書紀が書かれた時代より遥かに新しいですけどね


読み進めてみると、古臭さはまったく感じません。 かえって表現がストレートだったりして、面白くて解りやすかったりするのです。
元々、日本の神話は 全体の整合性が取れてなくて解り難いんですけどね~、その辺についてもちゃんと解説されていました。





この本についての能書きは出尽くしているでしょうから、要旨と目次、それに はじめに からの一部抜粋だけです。

古事紀・日本書記が伝える日本の神話が私たちに語りかけるものは果して何か?
イザナギ・イザナミの国生み、天の岩戸、ヤマタの大蛇、イナバの白兎、天孫降臨、海幸・山幸など、誰もが知っている神話を
民俗学的・精神分析学的に捉えなおし、その奥底に秘められた日本人の大らかで豊饒な性意識を解き放った画期的な名著。
戦後セクソロジーの先駆者として生涯を貫いた著者の文庫コレクション第1弾。

<目次>
 はじめに なぜ - 神話のベールを剥ぐか
1 オノゴロ島―はじめ女性が上だった
2 ヨミの国―屍姦の願望
3 アマテラスとスサノオ―姉弟婚とその破局
4 天の岩戸―女性器崇拝の心理
5 ヤマタの大蛇―古代の略奪・輪姦事件
6 イナバの白兎―古代の人口くらべ
7 オオクニヌシ―さまざまな結婚のしかた
8 天孫降臨―女が先頭に立った時代
9 コノハナサクヤ姫―日本人起源論を解くカギ
10 海幸・山幸―性のユートピアを求めて
 むすびに - 日本の神話の特徴


目次を見ただけで、この本が エッチな本だということが理解できると思います。
それに、↓↓↓表紙の左上のイラスト、普通 文庫本にこんなのつけます?





日本人は、神代の時代からエッチだったんですね~ いや、世界共通でしょうか。
誤解がないように一言... エッチな本だから借りてきたのではありません。 「日本の神話」に興味があったのです。

いや正確には、神話じゃなくて、日本人の起源や民族の成り立ち、渡来人なんかに興味があるんですけどね~



まずは、なぜ日本神話が解りにくいのかについて、明確な解説がありました。

二つの書(古事記、日本書紀)が、当時までいろいろ語り伝えられていたさまざまな神話や伝説を取り入れ、
それらそずつぎはぎしているので、はなしがうまく続いていないことが原因である。

神代の神話を大別してみると、"アマテラス大神系の高天原神話"、"スサノオノ命とオオクニヌシノ命の出雲神話"
"神武武天皇につながる筑紫神話"の混在している。

これらの書物は、当時日本各地を平定した大和朝廷が、自己を権威づけるために政治的意図を加えて作られているので
さらに難解になっている。


また、なぜ書いてある内容がモヤモヤしているかについては、

これらの書物が記録された奈良時代初頭は、性を隠す風潮もだんだん強まってきたために、性をずばり表現せず
何かほかの描写に語っていることが原因である
そのために、ベールがかかっているので、何を言っているのか意味がつかめない。

現代人には、性への興味にみちみちた神々の話が、たわいもない子供向けのおとぎ話としかうつらないのである。


とのことです。



最後に、著者 高橋鐵(たかはし・てつ) につて

高橋 鉄(たかはし てつ、1907年11月3日 - 1971年5月31日)は、日本の小説家、性風俗研究家。 東京出身。日本大学卒業。
小説を書き、社会主義に関心を抱くが、のちフロイトに関心を抱く。戦後は性科学の研究を始め、1950年に日本生活心理学会を設立、
『あるす・あまとりあ』がロングセラーとなる。また同年に「人間探求」(第一出版社,1950年5月~53年8月)を創刊する。
1954年、わいせつ文書配布で告発されるが、日本生活心理学会の機関誌『Seishin report』を刊行し続けた。


略歴でおもしろいのは、カルピスの宣伝部に勤務していたとき「カルピスは恋の味」というコマーシャルを制作されたそうですが、
私には ちょっとばかし 縁遠い人だったようです。

では、では、



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