渉の足跡

SL230からSEROW250Sへ変化しても、ひき続き「バイク旅」を主な話題に ぐだぐだと書き綴るブログです。

おもしろかった本(女チャリダーふれあい日本一周ひとり旅)

2015-09-12 23:57:15 | おもしろかった本
  
 

2015年9月12日(土)
ひさしぶりの おもしろかった本シリーズ(その19)は、くぼた まきこさん(イカロス出版)の
『女チャリダーふれあい日本一周ひとり旅 -よく泣いてよく笑った700日自転車旅日記-』です。





図書館でこの本を見つけたときの最初の感想は、"分厚くて重たそう"
本を読むのは、ほとんどが通勤のバスや電車の中なので、できれば厚くて重い本は避けたいのです。





それに、女の子が自転車で日本一周なんて「パンクしちゃった! どうしよう」などといったチャラい話や
食べ物のことばかり書いてあるに決まってますから... などと思いながら、ぺらぺらと立ち読みしてみると

ん!、これは意外とおもしろいかも
それから1週間、重たいカバンをかかえての通勤となったのでした。

本の内容はタイトルそのままで、こんな↓↓↓書き出しからはじまります。

20代のうちに自転車で日本一周したい――三十路を目前に控えた28歳の<私>は、長年抱いてきた夢を叶えるべく、仕事を辞めて旅に出た。
故郷の岡山を出発し、四国、中国、九州を経て沖縄へ。離島まで足を延ばし、日本の実質的最南端の波照間島、最西端の与那国島を訪れる。
九州に戻り関門海峡を越えてからは日本海沿いを北海道まで北上し、日本最北端の宗谷岬を経て、今度は太平洋に沿って南へ南へとひた走り岡山へ。

汗をかきかきペダルを踏んで、700日かけて日本一周を達成した。道中ではたくさんの人に会い、いろいろなものを見て、この先の人生を考えた。
自転車での日本一周は想像以上に辛く、何度もくじけそうになったけど、そのたびに誰かが背中を押してくれた。
よく泣いて、よく笑った、より道ばかりの女ひとり自転車旅日記のはじまり、はじまり~。


では、なぜこの本がおもしろいのか
まず、このお姉ちゃん(失礼、くぼた まきこさん です)は、まったくチャラくないどころか、学生時代は陸上部で、
社会人になってもトライアスロンをやられていたそうで無類の体力の持ち主。
さらに、多いときは日に何度ものパンク修理を自力でこなし、宿泊場所の大半が道の駅や公園の片隅での野宿だったりするのです。

 



本の副題にもなっている旅の途中での「ふれあい」は、著者の豊な人間性が発揮されて面白く また、羨ましくもありました。
この辺りの話は「若い女性だから...」といったところも感じられたりもしますが、その反面、苦労も多かったようです。





そして、不覚にも満員のバスの中で涙ぐんでしまった場面が2箇所。
1ヶ所は、鹿児島から那覇行きフェリーの出発時間が迫り、親切なおじさんに道案内をしてもらうところ



「那覇行きのフェリー乗り場に行きたいんです!」と叫んだ。焦るあまり声が震えていた。 「那覇行きはここじゃない、向こうだ!」
おじさんは私が走ってきた道の方向を指さした。 雨が激しく、おじさんも大声で叫んだ。
「案内してやるからついてこい」そう叫んでおいて、おじさんはどこかへ走っていったと思ったら、駐車場から車を出してきた。


おじさんも一生懸命だった。車が信号にかかると、雨で濡れるのも構わず窓を全開にして「先に行け!」と叫び
大きく手を手をふって合図を送ってくれる。



なんで、ここで涙が出たのかよく分からないけど、たぶん おじさんの気持ちが理解できたからだと思う。
こんな旅はもう出来ないけれど、せめて他人のために全力を尽くすことができる おじさん(もう、おじいさんだけど)になりたい...

2ヶ所目は、11年前、はじめての一人旅で親切にされた 秋田県能代の本屋さんを再訪するところ。



お昼ご飯にと、わざわざ料亭のお重に入ったお弁当をふたりぶん注文し、すすめてくれた。しかし、おばちゃんは箸をつけようとしなかった。
食事がのどを通らないという。一つは私がいただいて、もう一つは別の容器に移しかえ、中身がこぼれないようにと厳重に袋をしばり、
11年前と同じように持たせてくれた。お菓子も別の袋に詰めてくれた。







でも、この本を夢中になって読んだ本当の理由は、
このような旅に憧れはあったものの、現実は1つの会社で平々凡々と定年退職を迎えてしまった自分の生き方の対する後悔かも





その後 くぼた まきこ さんは、旅の途中で知り合った方と結婚され、母親として活躍されているようです。 お幸せに~



では、では、



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4 コメント

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おはようございます。 (チェッチェッチェロー)
2015-09-13 06:48:12
初めてお邪魔します。
通学途中に、読書していました。
今みたいにスマホもゲーム機もありませんでしたから、時間をつぶすには読書でした。
映画も本も、歳を重ねるにつれて、見方が変わりますね。主人公に迎合していたのが、読み返してみるとほかの登場人物に心を動かされたりしますね。
返信する
チェッチェッチェローさん (わたる)
2015-09-13 11:05:00
未だにガラケーなもので、通勤途中はもっぱら読書タイムです。
たぶん、ボーっと車窓から外を眺めている時間が長かったりしますけど

「serowでお散歩」ときどき覗かさせてもらって参考にさせてもらってます。
これから、神奈川県内の林道探索に本腰を入れようと思っておりますので、機会があればご一緒させて下さい。


では、では、
返信する
涙モノですね。 (かっき~)
2015-09-14 14:14:59
いい本に出会っていいお話をお聞かせ下さり、ありがとうございました。
こういう旅は、自分自身への挑戦と、時には葛藤もあったことでしょうね。でも、女性だからムリ…という概念を払拭してくれたいい記事だったと思います。旅路で出会う数々の思い出や触れ合う優しさ。日本人の和の心に感謝感激ですね。

ところで、神奈川県の林道探索をされるという事ですが、近年の神奈川の林道は、やはりゲート閉鎖がネックになっています。まぁ、オープンな林道も当然ありますが、より絶景や高地を求めて行くとなると、やはりゲートの先にある景色を求めてしまいます。南足柄や小田原周辺はいい所が沢山ありますよ(^^)
返信する
かっき~さん (わたる)
2015-09-14 20:20:16
こんばんは、
短い期間の一人旅でも、自分との葛藤があったりするのですよね。
この手の本を読むと、旅の後半は野宿をやめたり、ぐじゃぐじゃの言い訳ばかりになったりすることが多いのだけど、
この方(失礼、くぼた まきこさんです)は、強い意志をお持ちのようで感心させられました。 女にしとくのがもったいない。
たぶん、主婦業も子育ても立派にやられていることでしょう。

では、では、
返信する

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