話は、再び降雪前の秋に戻ります。長屋には家風呂がなく、共同風呂でした。自治会が出来、共同風呂と家庭ゴミの集積回収所の清掃当番を話し合ったり、会長などの役員輪番を決めていました。長屋の各家庭の状況も話の中に出てきて、仲が良かったと思います。母は、働き始め、私が病気がちな一人っ子だと切り出し、向かい棟のお兄ちゃんのお母さんとママ友となり、一人っ子のお兄ちゃんと気が合うと察知、家族ぐるみでおつきあいするきっかけになりました。母の目論見通り、お兄ちゃんとは気が合い、放課後や休日に相手をしてもらうことになりました。お兄ちゃんは通学班のリーダーで、面倒見が良かったです。年上の子と遊ぶと、真似して色々学べるし、年下の子に優しく接するようにもなりました。私の人格形成に大きな影響を与えてくれました。
さて、私の母は、始発の8時8分のバスに乗って行き、見送りを終えて戻るのは8時20分あたり。その時間頃にお母さんはお父さんの送りからベンリィちゃんに乗って帰って来ます。そして、私は荷物を用意し、お母さんとお兄ちゃんに見てもらい、鍵閉めをしっかりして、通学班集合の8時30分を迎えます。お母さんがギアを上手く使い、いいエンジン音を立てて坂を登り、アパート前の取り付け道路に入って来るのを見て、自転車に乗れてあちこち走れるようになったから、動かしてみたくなったのです。