1月26日・日曜日
実は、救急車で運ばれそのまま入院した惠子と私は、夫婦ではない。
私と惠子は、一昨年暮れに離婚している。
運が悪いことが続く。姓を変えたと言い出し、
旧姓に戻るために、彼女が離婚届を出した。だから法律的には他人。
病院ベッドの横にいても、これから私が介護するのだろうなぁ。
ボーッと、まるで人ごとのようにしか思えない。
こんな私でも、愛してる?
寝返りを打てない体。首を傾け、絞り出すような声で聞いてくる。
一瞬、ギクっとする。
逃げるのなら、逃げられる。法的には何のとがめもないはずだ。
一体、夫婦って、なんなのだ。
正直、この信じたくない悪夢のような状況から逃げ出したい。不安、絶望。
すべての始まりは、あの救急車のサイレン。
アタマの中でワゥ~ン、ワゥ~ン、こだました。
この先どういう展開が待っているのだろうか。