先日、「ワインと書物でフランスめぐり」(福田育弘著/図書刊行会)なる本を読みました。
この中に下記のような記事が99ページにあった。
「いかにていねいに気をつかって運ぼうとも、本質的にワインはそれが生まれた土地と
それ以外の土地とでは同じではない。
~略~
フランス国内でさえ味が変わるのに、「業界」では禁句とはいえ、
輸出用に酸化防止剤を用いたワインはもとのワインと科学的にも同じものではないのだ」。
これは明らかに誤解です。
確かに日本に流通しているワインには、酸化防止剤(亜硫酸塩)含有と表示されています。
フランスで飲むワインのボトルには、これは表記されていない。
だからといって、酸化防止剤が入っていないわけではありません。添加剤として立派に使われています。
なぜか。日本と違ってフランスは添加物の表記にうるさくないだけ。それだけでなのです。
したがってフランスで飲もうが日本で飲もうが、基本的には同じワインです。
この亜硫酸塩はポリフェノール類などの酸化しやすい物質と結合することでワインの酸化を防ぎます
亜硫酸と聞くと、恐ろしそうであるが、ワインに添加すると、そのほとんどが化学反応を起こし
無害な物質に変化するので、残留する量はごく僅かだとか。
亜硫酸塩がなかったとしたら、ワインを30年間にわたっておいしく熟成させることは出来ません。
亜硫酸塩が入ってないワインなんってないのです。
福田育弘さんは早稲田大学の仏文の先生とか。
次回版を改訂なさるとき訂正なさったらいかがでしょうか。
よろしく、お願いいたします。