そのことに触発されて、私がこれまでに訪れた寺院で見た仏像の思い出をまさぐってみました。
奈良にいたころ、東大寺や興福寺その他、寺院には結構行っているが、特にあの仏像とかいう記憶は刷り込まれていないのが残念です。
只1か所、法隆寺の百済観音というのだけは、鮮明に思い出すことができるのです。
法隆寺は、聖徳太子が推古天皇の飛鳥時代(607年)に創建された日本でも最古級の名刹。
私は、2度ほど法隆寺にお詣りしているが、百済観音さまだけは特に強い印象をもって記憶しています。
観音さまは、台座を含め210.9㎝と私らよりも長身。
しかも、仏像というのは殆どがふくよかで、ずっしりとした体型ですが、百済観音はとても痩身、なよっとしている。
手の指先は繊細で、左手に水瓶をつまんでいるお姿は軽やかすぎるぐらい軽やか。
法隆寺に沢山ある仏像の中で、これだけが異色のピアニシモのような点、強い印象なのです。
法隆寺にもとからあった観音さまではないらしい。
作者は判らない。
百済観音と名があるから、渡来仏らしいが、使用材はクスノキとヒノキが使われているから日本で造られているといわれている。
いつ頃、寺にきたのか記録がない。
とにかく、法隆寺の1400年の歴史の中で、素性の判らない、記録もわからない百済観音が異彩を放ち、私ごとき朴念仁の記憶さえ、捉えて離さない、これは稀有な観音さまなのです。
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