おわら風の盆
富山市でも相当内陸部の八尾(やつお)に伝わる夏祭りの盆踊りだ。
300年も前からのことだろうか、9月の始めの3日間、この地区の盆踊りの習俗が伝わっていると言う。
風の盆とは、この季節、時として飛騨の大山塊から強風が吹き下ろしてくる。
すると、折角稔った稲が、収穫前に吹き倒されてしまう。
風よ、穏やかであってほしい。
そういう民衆のねがいを込めた盆踊りだという。
それで、盆踊りのお囃子は、ゆっくりした穏やかな調子。
抑制のきいた胡弓と三味線のお囃子。
踊り手は、男も女も菅笠で顔を隠し、哀切な舞いに終始する。
今でこそ、この盆踊り、全国的に有名になっているが、昔はもっと質素な、この地域の習俗であったようなのだ。